
ボケとツッコミ
ダウンタウンは結成30年を越えたが、
いまだに芸人の世界のトップランナーだ。
漫才師はボケとツッコミに分かれるが、
浜ちゃんがボケで金髪でもうまくいかないし、
松ちゃんがMCをこなすツッコミでもダメだ。
漫才をほぼ披露しないダウンタウンの2人は
サッカーならメッシやエムバペだと思っていい。
ボケもツッコミも笑いもトークも決めるが、
もう何をどうすればいいかなんて考えてない。
私は転職を繰り返してきたが、
うんざりする上司や同僚をたくさん見てきたし、
終わっている組織の体質にも手を焼いて来た。
彼らのダメさ加減は「ボケ」なのであって、
こちらが臨機応変に「ツッコミ」を入れないと
完全にすべってしまうのが日本社会だと思う。
もちろん、浜田雅功のように
高橋秀樹や中尾彬をどついたりできないし、
その力量も説得力もない。
また同時に、
松本人志が「おまえそれはあかんぞ」と
嬉しそうにツッコミを入れるからこそ、
浜田雅功が「どつく」はボケになりうる。
コンビ、相方、にあたる存在は
社会に出たら普通はいなくてあたりまえだ。
いずれにせよ人間はピンで勝負してなんぼだ。
夫婦であっても、家族であっても、
ボケとツッコミは成立する局面には
必ず幸福感が増すと経験から断言できる。
緊張と緩和。
桂枝雀師匠は高座のまくらでその言葉を使った。
松本人志も常に同じ言葉を使う。
師匠の熱烈なフアンだった志村けんが
枝雀師匠の自宅に出向き「だっふんだァ」を
使わせてくださいと直談判した話は有名だ。
ボケて緩和した空気を
ツッコミで緊張させることもあれば、逆に
ブラマヨの吉田のようにボケが緊張感を高め、
小杉のツッコミでホッとすることもできる。
なんだチミは?ってか?
そうですワタスが変なおじさんです。
そんな上司には出会うことはなかったし、
全員がズッコケてくれる職場もなかった。
私は不器用だからボケては仲間から浮き、
ツッコミを入れすぎては組織から干された。
そうですワタスが変なおじさんです。
そう言える年齢と境地に達したいまは、
この言葉の深さを理解できるようになった。
そう書いていて、
ふと、思わず涙ぐんでしまう。
もう上島さんも、志村師匠もいない。
そうです、私が変なおじさんです。
そうです、私が、変な、おじさん、です。