【短文】Charyn(チャリン)マイルCS総評
前回の記事、謝辞
ええと、おはようこんばんにちわ。
Pharoah@misskey.ioです。
…正直な感想を述べますが、ネットの便所の落書きの中でもより低層に位置すると考えていた前回の記事に、思っていたよりもスキなどが付き多少困惑を覚えた次第でございます。本当に需要あるんかワレェ…?
ともかく。
まずはお読みいただいた方々へ最大の謝辞を述べさせていただくこと、そして、少しでも面白いと言っていただければ幸い、と思う所でございます。前回の記事はちょっと急いだ部分があるので荒っぽかったですが初めてとしてはそれなりにできていたのかなとは思っております…
で、まあ毎週更新は流石に厳しいというか忙しいもので、だったらあんなボリューミーなもんでなく日々Misskeyにぶん投げてる内容のまとめ版で首の皮をつないだらいいんじゃねえのって話になるのでは????という気がしたので、重たく書き込みたいネタが見つかるまではこっちの方向でやっていこうかなと思っております。
そう、さらっとね(後記:全然軽くなりませんでした…)
失礼ですがそこまで海外競馬を追っている身でもなく、今回馬券に関わるであろうことから改めて調べたというのが本当の所です。仕事と並行だと流石に身が持ちません故…
とはいえ、調べるという行為の外部委託はシンプルに「読む側に利をもたらす」よね?という話でありまして…
さっと調べた私の見解と、マイルCSの攻め方などを纏めていければ。
(後記その2…調べ間違い並びに誤字脱字、その他表現のお見苦しい所を直しております…特に1個大きなミスがありましたので、指摘頂いた点、感謝いたします…マジで…)
Charynってどんな馬?
しいて言えば去年までのこの馬はいわゆる「一流半」でした。
和洋問わずこの手の馬はよくおりますね、所謂いつメンとはいえ微妙に届かないという、「なかなか勝てない馬がいる」ではないですが何となく応援したくなる馬はいつの時代も欠かせない存在です。私はコスモバルクやカミノクレッセを:tsuyobi:で応援しております、はい。
しかしまあなんと、今年に入って大変身。欧州ではメジャーな部類に入る直線1600mG1を中心にG1を3勝し2着も2回と今年度はパーフェクト連対。ドバイで勝っているファクトゥールシュヴァルやG1を6勝しているインスパイラルなどにも楽勝ちし名実ともに欧州最強マイラーの地位に就いた上がり馬です。
というのが普通の話なのでここまではさらっと流しますが…
欧州馬って皆さんどんなイメージを抱きますかね?
何となく強そうだったり、重い馬場が得意そうだったり、パワーがありそうだったり、日本の野芝でやってどうなるかだったりと、人それぞれイメージは異なるのかなと思います。色々あってみんないい。
まず、この記事ではその辺を一つずつやっつけていきたいので、サクサクと次に。
何故マイルCS?
正直、おおよそ疑問の9割ってこの部分だと思うわけです。なんで欧州馬が日本のマイルを選んだわけ????と。
マイルCSに欧州馬が来るのは15年近く遡り、2011年になりますが、09年からなにやら毎年遊びに来てた、って感じのサプレザ以来となります(懐かしいNE…)
そもそもこの頃ってスノーフェアリーがエリザベス女王杯を2年連続取ってたりと地味~に欧州馬が秋G1に来て、まあそこそこ走っていたなという印象です(JCはぜんぜんなんだけどね)
サプレザ自体も多聞に漏れず、マイルCSへの挑戦は前述の通りこれで3年連続、この年も結局3着になり、彼女の挑戦は3-4-3着という結果で今見ればそれなりの足跡であったと言えるかと思われます。実際すごい!
彼女自身も欧州牝馬マイルG1の名門サンチャリオットSを3連覇しており、言うなればG1級3勝馬、というかこのサンチャリオットSという欧州G1とマイルCSに3年連続出走したというところで、マジでめっちゃ丈夫でしっかり走って結果を残してるのがなかなかに異彩を放っており、なんというか馬主孝行がすぎやしないか?と涙無しでは語れない感じの名牝、名マイラーと言えるでしょうーーー
さて、チャリンの話に戻して。既に去勢されているセン馬であり、(後記:なんでかセン馬で紹介されているところがございましたが安心してください、ちゃんと残っております。正しくは牡馬でした、謹んでお詫び申し上げます)今年中に引退してしまうことが確定しているため、今シーズンはなるだけ勝てそうなレースを探しているような立場になります
前走のQE2世Cを楽勝し、あとは引退する年末までローテの都合に合うレースを探していて、おそらく3つの選択肢を陣営は考えたものと思われます。
・BCマイルターフ
・マイルCS
・香港マイル
の3つです。名実ともに欧州のTOPとなった彼に見合う格があるのはせいぜいこんなところでしょうか。もしかしたらオーストラリアも検討されたかもしれませんが…まあ、それはともかく。
この中で、BC挑戦はかの名牝ゴルディコヴァなんかも挑戦しているとはいえ現代の中1週長距離輸送は流石に厳しいというのが現実でしょう(そもそもゴルディコヴァは10月初めのフォレ賞からの転戦でやや余裕のあるローテーションでした)
ここで、普通なら「じゃ、香港行こっか」となり選ばれないのが我らがヤーパン不遇のマイルCSというレースの悲哀だったのですが、調教師の奥様が日本人であること、安田記念の結果から日本生産馬のマイル路線が疑われていること(香港は短距離王国ですからね)、中には「フランスの種牡馬選定の締め切りの都合」などが重なり、陣営で熟慮を重ねた結果、最終的にはマイルCSで有終の美を飾って引退する、という方針に舵を切った様子。
これに関して言えば、府中の海外馬受け入れ専用馬房は思いの外遠征馬たちの陣営に好評なのかもしれないと思いました。JRAやるじゃん。とても良いことですね。
ここであえて言えば、チャリンのこの挑戦は所謂記念出走といった類ではなく、勝ちを目指してきているのが明白ということを強調しておきたいところです。
なんというか、例を挙げるとデインドリームのJCのように「そのまま引退して日本で繁殖入りするからついでに出とくか」みたいな奴ではないとだけはお伝えしたいところ。
レース賞金よりは種牡馬ドリームを追いがちな欧州でもやっぱりある程度走るだけ走って賞金を咥えて帰ってきてやろうという熱いスピリッツで、結構なチャレンジとなる日本の出走を決めたという感じのようで熱い陣営のコメントも泣かせます。
結果として「欧州最強マイラー」の有終の美がここ日本の地になることが決定し、なんやら春先からビクターザーウイナーやロマンティックウォリアーら香港勢で散々賑わったというのに、この秋シーズンの短距離路線にまた強力なライバルが現れましたとさ…という事態になったわけでございます。
これで日本勢もNHKマイルからPalace Malice産駒ジャンタルマンタル、ヴィクトリアマイルの逆襲のテンハッピーローズらが…来ず、どころかヴィクトリアマイルでの敗戦からG1制覇に燃えていたマスクトディーヴァは非常に残念なことですが怪我で現役引退することとなり(マスクオフの血統は怪我とは切っても切れませんね…)、受けて立つのがナミュールとセリフォス、ソウルラッシュ、オオバンブルマイと言った、そんな強豪たちにも負けじと虎視眈々と頂点を狙っている面々となるようです
…正直なところ舐められている、というのは真実に近しい所であるため、それはそれでスカッと見返してやりたいですよね地元やし()
そもそも近年は90年代と違い「海外馬=脳死で切り」という馬券の民も多かろうということで(今のファンには信じられないかもしれませんが90年代のかなり後半までは「とりあえず外国の馬だから馬券に入れとけ、というか海外馬馬連BOXで当たらんか????」みたいな意識が大きかったことはお伝えしておきたい)ここからはチャリンの来歴やどんな馬かを紹介していきたいところでございます。
能力的な話
シンプルな比較としてまず用意したのがこちら
ジャックルマロワ賞の勝ちタイム
ゴルディコヴァ(09年)1:33:50 良(57.0kg)
ムーンライトクラウド(13年)1:33:39 良(57.5kg)
チャリン(24年)1:33:98 良(60.0kg)
ジャックルマロワ賞は日本ではタイキシャトルが勝ったことで有名ですが、直線1600メートルの平坦芝で行われる欧州マイル戦線で重要な立ち位置に当たるレースです、今年は7頭立てでなんとG1馬6頭。決してレベルが低いわけでなく、何なら過去20年程度遡っても3度しかない、「1:34:00」を切ってきた高速決着の年であり、その三回を比べると一番遅いタイムとはいえ斤量が抜群に多い60kgで、しかも二馬身ぐらい突き放しての楽な勝利であったことから、「欧州最強」を語るに充分であったことがうかがえます。3着インスパイラルだしね、ジャックルマロワ二連覇中でG1は6勝の名牝です。インスパイラル58.5kgでチャリンのほうが重かったわけで、それでこれなら世代交代に十分なインパクトでしょう。
そしてこの1分34秒切りのなかに、かの有名な「BCマイル3連覇」のゴルディコヴァが含まれていることは特筆すべきではないでしょうか。
というのも、これは欧州芝に比べれば軽めでプレーンな出来のアメリカ芝の速度にも、このタイム感で走破できればまず間違いなく通用する、という高速決着耐性への裏付けの一つとなり得るからです(とはいえ断言できるレベルではありませんが、あくまで一つの目安になるものであることは間違いない)
実をいうと前回の挑戦者であるサプレザにも、1400mのG2パレロワイヤル賞で1:19:20という超高速決着での勝ち鞍があるようで、これらを眺めていると、巷で言われているよりかは欧州の良馬場開催であればタイム感の比較はある程度価値があるように感じられるのが印象的です。
であれば、チャリンの今回の挑戦もタイム感で見た時、比較的実現性を持ったものと仮定するのは私的にそれほど無理筋だとは思いませんね。
血統的な話
チャリンは父☨Dark Angel☨の産駒です(母父Danehill)
父DarkAngelは今のところ日本ではそこまでメジャーでなく、頭数で言えば10頭かそこらですが、その中でもマッドクールやシュバルツカイザーがオープンクラスで走っており、というかなんならマッドクールが高松宮記念でG1を勝っており、名目上で言えば日本芝へ適性を感じる種牡馬と言って差し支えないところではあります。
ただ、どちらかと言えば超高速というより雨が降って重かったり、シュバルツカイザー辺りは夏場の北海道の洋芝開催で良績を挙げているように日本では少し重ための条件で、かつ産駒成績はマイルというよりかはもっと短く1200~1400ぐらいが適性になりがちだということが挙げられます。
これに関して言えば、欧州で巨大帝国を築いているFrankel産駒にも共通して言えることではありますが、欧州→日本と輸入される産駒たちが日本の馬場と展開に晒されると、欧州でベストとされる距離よりも適性が1Fほど短くなる傾向があるようで、欧州の芝1600で高いパフォーマンスを挙げているDarkAngel産駒であるチャリンが、そのまま日本の1600で同じような適性を示すか?と言われると個人的にはとても難しい顔になってしまう所ではあります。
3勝クラスだとジュノー辺りは1600でもやれてはいますが、やはり勝ち鞍は1400で、この産駒成績からも1600ベストとは言いにくいというのが本音です。
父直系はノーザンダンサーの直子系であり、父母父はマキャベリアン。どちらも日本芝に置いてはパワフルさが第一に感じられる系統で、もちろんスピードの質も高いレベルですがやはり本質的にはパンパンの良馬場でやるレースよりは、ある程度時計をかける条件が良さそうに思います
…とはいえ、これは合わないでしょ~って言うレベル感の話ではなく、ベストとは言えなさそうだな~ぐらいの感覚ですが…
この辺のニュアンスはちょっと難しさがあります。実際チャリンは日本で活躍しているDarkAngel産駒と比べると少し重さが取れてトモに厚みのある、溜めそうな馬体の作りはしていて、とはいえ首さしはかなり太くてパワーも感じる好馬体です。まあ見た感じから結構終いは伸びてきそうなタイプだというのは分かります。
あとは京都のコース形態もカギになるでしょう
そもそも、チャリンは実績として
直線6-3-1-3
右回1-1-3-1
という成績であり、(日本では開催のない)直線マイルと比べると右回りはやや重たく勝ち切れていないレースをするところがあります。
京都競馬場ってかなりどのレース、どの距離でも控えめに言ってディープの庭なのですが、これってやっぱりHighclare牝系やSSから来る「コーナリング性能」に端を発する日本競馬が年月を掛けて育んできた一種の才能が、まさに真価を発揮しているコースであって(この血統の申し子ともいえるディープもいっちゃんタイム感がバグっているのは天皇賞春だと思っています)この京都の3角下り坂~のコーナリングという、特にこの血の特色が出るトリッキーなレースコースに於いて、日本競馬特有のこのタイプの血統を含んでいないチャリンの京都適性(と右回り対応)には、そこそこ大きな疑問符が付くのかな、というのが一つ所感としてあります。
…ものの、冷静になってDanehill経由のND系なハービンジャー(SS等無し)が京都外回りを得意にしていて毎年夏競馬の洋芝で穴を開け続けているという事実があり、似たようなND直系DarkAngel(というか母系にDanehillがいる)にももちろんその権利はあると考えるべきだし、なによりDarkAngelの血統見た時に、IndianRidge経由ぐらいでしか乗ってこないAhonooraが父母父にドンと座ってることで、持続性のある高いスピード能力に対する安心感は凄いよね~
好みなんですよねこの系統~(完全に趣味なのでこれ以上は割愛)
…みたいな話になってくるとまあなんか普通にこなしそうですよね、とは思い直したりしました。
増してや週末雨予報らしく、そうなったらそんな捻ることなく明らかに重巧者であろうチャリンなんか脳死で買うし、同じようなノリでハービンジャー評価してナミュールなのではないかという気になりました…
これ、良のほうが馬券の捻りがいはあったかもしれないですね()
って言うかウインマーベルさん運が無さ過ぎでは…
R.ムーアの日本で一番印象的だったレース
結構な人が京都2200のエリザベス女王杯in2010年、スノーフェアリーのす~んごい脚!!!!のことを思い出してくれそうな気がするんですがこれは個人的過ぎるでしょうか?
ムーアというジョッキーを一言で言えば
「ゴリゴリに押して追える」
で、所謂ただの剛腕ジョッキーからは一線を画した判断力と折り合い力を持ちながら、ラストの直線は鞭もそこそこに手綱でグイングインと押し込む姿が世界一素敵で、有体な言い方で言えば「追える騎手」の模範的姿とも言えるでしょう。
馬券的には過剰人気の割に少しだけ飛びがち(本当に少しだけですが…求められてるレベルがかなり高いのが問題)で、回収は付いてこない割に穴を持ってくるという気質でもないため積極的に買うタイプの騎手ではありません。
やり方としては対抗に付けざるを得ない、みたいな買い方をしないといけないという雰囲気でしょうか…
チャリン自体とは、実は今年ベストパートナーだったデソウサからの乗り変わりで初騎乗ではあるのですが、チャリン自体が右だと差し損ねがあるタイプなのでムーアらしく3角辺りから押せ押せの踏み込みは早めで、京都の下り坂で加速して早め先頭から千切る…という雰囲気でやってくれれば合いそうなタイプって言うか、その乗り方ってスノーフェアリーでムーアは経験済みなんですよね。短期でやってくる欧州騎手の中で京都のG1でこの乗り方を経験しており勝たせているという意味では、メインJだったデソウサ含め他の鮮烈な乗り味の例が思いつかず、欧州からやってきたチャリン陣営としてもこれが望みうる最強の布陣なんだろうな、という強い意志を感じる選択で、この点に関してはとても評価が高いです。
まとめ
チャリンという馬は
・レベル感においては歴代のどの馬よりも高さを感じる、物見遊山的な訪日ではなくしっかりと「このレースを勝ちたい」という意思がある
・京都芝1600という舞台設定がベストだとは思わない、が、すこし時計が掛かるなら対応できても良い
・ムーアは脚質的にも日本の対応的にもベストの選択
だと考えており、頭で狙うかは流石に当日の馬場と枠も加味したいけどまあ2~3列目で塗るのは吝かではなさそうというのが結論です。
先週の京都芝はクッション値が11.1と、2020年以降確認できる範囲では最も「硬く」、それでいて連続開催&雨続きで芝は荒れている難しいバイアスを迫られた結果、結構な前々決着多発の先行馬場になっていました…
そこに今週は雨模様ということで、正直序盤はケンを決め込んでしっかりとトラックバイアスを考えるのが大事になってきそうな感じがあります。
とはいえ、せっかく欧州の超一流が日本で見られる滅多にない機会。しっかりと目に焼き付けて出来ればちょっとおこづかいをもらえたらもっと幸せだなって、そんな良き週末の手助けになることを願ってこの長文の仕舞とさせて頂きます。長々とご清聴、ありがとうございました。