ギリアド、HIV感染治療薬レナカパビルが欧州で承認取得
ギリアド・サイエンシズは2022年9月1日、HIV感染治療薬レナカパビル(lenacapavir)が欧州委員会(EC)から注射と経口剤の両剤で製造販売承認を取得したと発表。適応症は「他の抗レトロウイルス薬との併用療法」。
パリ・シテ大学(Université Paris Cité)感染症学部教授のジャンミッシェル・モリーナMD(Jean-Michel Molina, MD)は、「同剤は複数の過程で作用機序を持つファースト・イン・クラスのカプシド阻害剤。薬物の長期投与で発生する、投与開始時と同様の効果が得られなくなる交叉耐性は認められない。既存治療でウイルスへの効果が得られなくなったHIV陽性者に、6カ月毎に投与する新治療選択肢となる。」とコメントを寄せた。
【レナカパビル/lenacapavir】
ファースト・イン・クラスの長時間作用型HIVカプシド阻害剤。他の抗レトロウイルス薬との併用で、多くの治療歴持つ多剤耐性HIV感染者へのHIV治療薬として、EUで承認された。同剤の複数過程での作用機序は、現在承認される他の抗ウイルス薬のクラスとは明確に異なる。ウイルスに対する治療効果が得られなくなった多剤耐性HIV感染者に向けた長時間作用型の治療選択肢として開発される。ほとんどの抗ウイルス薬はウイルス複製の1段階のみに作用するのに対し、同愛は、HIVのライフサイクルにおける複数の段階を阻害するよう開発されている。現在ある薬剤クラスとの交差耐性は認められていない。同剤は年2回投与で、唯一のHIV治療選択肢となる。
【CAPELLA試験(NCT04150068)】
同試験は、複数の治療歴があり、多剤耐性を持つHIV陽性者を対象に、同剤を6カ月毎に皮下投与した場合の抗ウイルス活性を評価する第2/3相、二重盲検、プラセボ対照、国際多施設共同試験。
同試験は、HIV-1を持つ男女を対象に、北米、ヨーロッパ、アジアの研究施設で実施された。複数クラスのHIV-1治療薬に耐性があり、既存治療でウイルス量が検出可能な被験者36人が失敗した現行レジメンと、2対1の割合で同剤またはプラセボに無作為に割り付けられた2群が、14日間の経口投与を受けた(機能的単剤療法)。
さらに、別の治療コホートに36人の被験者を追加。両コホートとも、6カ月毎に同剤皮下投与の安全性と有効性を評価する予定(現在進行中の維持療法期も含む)。主要評価項目は、現行の失敗したレジメンに加え、14日間の同剤またはプラセボを無作為に割り付けられた被験者の機能的単剤療法期終了時でのHIV-1 RNA量がベースラインからの減少量≥0.5 log10 copie/mlを達成した割合とした。
被験者は、同剤またはプラセボに無作為に割り付けられ、失敗したレジメンを継続しながら14日間の機能的単剤療法を受けた後、非盲検下で同剤および最適化されたバックグラウンドレジメンを開始した。
一方で、別の投与コホートに登録された被験者は、1日目から非盲検下で同剤および最適化されたバックグラウンドレジメンを受けた。現在継続中の本試験の維持療法期では、最適化したバックグラウンドレジメンとの併用で6カ月毎に同剤を皮下投与したときの安全性および有効性に関する追加の項目を評価している。