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第2話 父さん母さんごめんね。俺、テクニシャンになるみたい。笑

ナガーとの会食をした夜から半年を
過ぎた。その間、実はナガーと何度も
飯を食いに出かけた。

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今回は北谷町にある「ひとしずく」
というナガー行きつけの懐石料理屋で
関西から移住したと言う店主が
作るご飯が全て美味しかった
実在するお店でのお話。

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ナガーはスマートな身体に似合わず
酒を飲むのが大好きで、
とくに日本酒には目が無かった。

自分はと言うと、昔・・
割と稼いでる時はワインを好んで飲み
確かに美味しいがビールの方が好きで
好き嫌いなく一応大体いけた。

また、父が安酒の鬼殺しをよく飲んで
(単にリーズナブル、うまいよ。)
いたので、日本酒は焼酎と一緒と
捉えオッサンの飲み物扱いしていた。

・ナガー「信一郎も日本酒どうぞ。
     これは北陸うんたら
     かんたらお勧めだよ^^」

うんちくにはへぇ〜と言って流した。

ただ、オッサンの飲み物のはずの
日本酒もスタイリッシュなイケメンに
すすめられたら美味しく見えた。
(見た目って大切だなと思った。)

マスの中にグラスがあり、
グラス一杯に注がれた日本酒は
マスに流れ落ちた。

たまたま作法通りだとわかったのは
後になるのだが、
キツそうだなと思ったのもあり、
あまり一気に飲む気はなかったので
グラスに顔を近づけて、くちびる
だけをつけ、ずずずっとすする。

(うま・・・。)

・ナガー「いいね!どう?」
・私  「日本酒って
     こんなうまいん?
     ワインにも負けないぐらい
     フルーティーだね!
     しかもキリッとしてる!」
・ナガー「笑 じゃあこれは?」

ナガーは店主にお願いして焼き物の
ゴツゴツした器に、
先ほどの物と同じ日本酒をそそぐ。

(コレは?って一緒じゃん・・・)

・私  「(ゴクっ)?‼︎」
    「・・香りが深っか!
     めっちゃまろやか!」

ナガーはお前にもわかるのかと
言いたいように頷きながら喜ぶ。

・ナガー「でしょー^^日本酒って
     マジで楽しいんだよね。
     こうやって器で温度が
     変わり、味も変わるし
     料理との組み合わせで
     色々楽しめるんだよ?」

実際に聞いた事はさほど覚えてないが
ナガーが楽しそうだったから自分も
それだけでとても楽しかった。

しかもここの鯛飯や天ぷらときたら
絶品だった。

飯に行けばナガーが
自動的に奢ってくれた。
行くとこ全て豪華で、薬剤師とは
なんと贅沢な食生活が出来るのだろう
と感心した。

反面、今までの人生で彼と
あいてしまった社会的、金銭的な差
が寂しかったし、誇らしかった。

・ナガー「はぁ、
     最近キツイんだよね」
・私  「・・・
(こんなに恵まれてるくせに
 こいつは一体何を言ってるんだ?)
     ・・・どうしたの?」

聞くと、今事務をやっている
従業員が管理薬剤師の彼の言う事を
全く聞かないという。

また、彼は薬剤師一人当たり
法律で40枚のはずが、毎日1人薬剤師
状態で月に1000〜1100枚こなす
(1日平均50枚計算)と、
大量にこなさなければならなかった。

・ナガー「でね、信一郎にそろそろ
     ウチで働いて欲しいと
     思うんだ。」

省略の為要点にするとこうだ。
・事務2人、パート3人いるが、
 古株でいう事を聞かないから
 まとめてほしい。
・発注がいつも多すぎて赤字だ。
・分包したいが監査が間に合わない。

ナガー「でね、信一郎には
    テクニシャンになって
    欲しい」

私  「え?
(私は妻子ある身。いくら何でも・・
結婚も早いし経験は少ない。
しかも見ず知らずでご披露なんて
そんな・・・)」

と、いう心配があったかなかったは
酒を飲んでて覚えてないが、アメリカ
には、テクニシャンと言う薬剤師の
サポートで調剤をする人員がいるそう。

テクニシャンの説明に薬剤師の仕事が
関わる為、簡単に薬剤師の業務内容を
書くとこうだ。

・ピッキング
薬品だなから薬を集める。

・疑義照会
用法容量、分量、飲むタイミング、
保険点数的な患者への不利益、
アレルギー歴や禁忌、法的な最大処方数
麻薬、覚醒剤などの処方確認を
病院のドクターへ報連相する事。

・調剤、分包、一包化
複数種類の外用薬(軟膏、クリーム)
漢方、粉、錠剤粉砕、半錠へ分割
水性剤の混合など、手作業や分包機を
使って朝、昼、夕、寝る前、その他
タイミングに飲みやすいようパケ詰めを
機械で一つの袋に一包化したりする。
≠ヒート調剤・・メーカーから納品されたままのプチプチの袋から出さない

・監査
調剤済の薬品一つ一つのパッケージや
薬に刻印された字から、医師からの
処方に誤りがないか確認を取る作業。
軟膏や粉は0.01グラム単位で測り
証拠のレシートを見る。
→誤投薬の防止。ここで薬剤師印を
 使って監査済の印をつける。
 患者に責任を薬剤師は持っている。

・投薬
患者に薬を渡して、用法容量や禁忌
などの注意情報の共有。
定期受診ならちゃんと飲めてるか?
(服薬のコンプライアンス)
や、副作用やアレルギーのチェック
それを薬歴という記録にしPCへ残す。

しかし日本では、これらの作業は基本
薬学を学んだ6年生大学を出て
薬剤師国家試験をパスした者・・しか
やってはならない。
※中には慣れれば誰にも出来そうな
グレーで許されそうな作業もある。
しかし人の健康、命に関わる上
法解釈だから私に是非は書けない。

それを、薬剤師監修のもと、
主に監査、投薬以外の部分で
素人の私に任せるつもりなのだ。
※今なら断るだろう。

私  「超カッコいいね!」

正直安請け合いした。
次月12月私はテクニシャンとなる。

お父さん、お母さんに説明しても
ややこしすぎて、きっとすぐには
わかってはくれないだろう。

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