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見積もりをもっと楽しく効果的に!
プランニングポーカー、Tシャツのサイズ、ドット投票を活用する方法
プロジェクト期間やコストなどの見積もりは、プロジェクト設計の根幹となるステップです。しかし、この見積もりに正確な数値を求めすぎるあまり、議論が長引くことも少なくありません。
この見積もりにもアジャイルのフレームワークが役立ちます。
見積もりをより簡単かつ効果的に進めるための3つの手法「プランニングポーカー」、「Tシャツのサイズ」、「ドット投票」を、それぞれ具体例とともに見ていきましょう。
1. プランニングポーカー:短期プロジェクトの見積もり
概要:
プランニングポーカーは、短期間のタスクを見積もる際に有効です。
チームメンバーがFibonacci数列(1, 2, 3, 5, 8, 13)が書かれたカードを使って、タスクの相対的な大きさを評価します。
この数列は、小さな差異に敏感、かつ大きな差異にはそれにあったサイズ感を示すことができる絶妙な数値感覚を持っており、見積もりの精度を高めつつ迅速に合意を形成するのに適しています。ちなみにこの数値は日数ではなく、タスクの複雑性を数値化したものと考えてください。
手順:
見積もりたいタスクを1つ選び、全員で内容を確認します。
チームメンバーがFibonacci数列のカードを使い、タスクにかかる時間や労力を評価します。
一斉にカードを公開し、意見が大きく異なる場合は理由を議論します。
再見積もりを行い、合意に達します。
具体例:
マーケティングキャンペーンの準備プロジェクト:
SNS投稿用画像の作成(5ポイント)
メール配信用のコピーライティング(8ポイント)
ランディングページのデザイン(13ポイント)
例えば、画像作成とランディングページのデザインで意見が分かれた場合、デザイナーが「デザインテンプレートがあるので時間が短縮できる」と補足することで、見積もりの精度が向上します。
2. Tシャツのサイズ:長期プロジェクトに最適なざっくり見積もり
概要:
Tシャツのサイズ(XS、S、M、L、XL)を使って、タスクやプロジェクト全体の大きさを評価する手法です。これは長期間にわたるプロジェクトで、詳細な見積もりが難しい場合に有効です。
サイズの基準例:
![](https://assets.st-note.com/img/1735331853-6dhmXa01nEfZ2CBUHLjv8rKt.png?width=1200)
手順:
プロジェクトやタスクをリストアップし、それぞれの規模を個人でTシャツのサイズに割り当てます。
プランニングポーカー同様、チームで意見を共有しながら、XS~XLのいずれかのサイズを割り当てます。意見が大きく異なる場合は理由を議論します。
再見積もりを行い、合意に達します。
具体例:
新製品の開発プロジェクト:
市場調査→ M(1か月以内、8人、10万円)
プロトタイプの製造 → L(2か月、15人、30万円)
マーケティング戦略の立案 → XL(3か月以上、25人、60万円)
年単位の不確実性のある長期プロジェクトで、精度の高い見積もりができない場合に役立ちます。
3. ドット投票:優先順位付け
概要:
ドット投票は、タスクやプロジェクトの優先順位を決めるための手法です。ユーザーストーリー(「ユーザーとして、○○をしたい」という形式で表現されるニーズや要求)を基に、どのタスクを優させるかを視覚的に評価できます。
手順:
見積もりたいユーザーストーリーをホワイトボードにすべて貼りだします。付箋を用いるとよいでしょう。
各メンバーに一定数のドット(シールやマーカー)を配布します。一人当たり4~5程度持つのが一般的です。
各人が優先度が高いと思うユーザーストーリーにドットを投票します。
ドット数をもとに議論をして最終決定します。
具体例:
新機能リリースプロジェクト:
「簡単なログイン機能が欲しい」(15票)
「商品レビュー機能が欲しい」(10票)
「購入履歴を見やすくしてほしい」(20票)
「購入履歴の改善」が最優先事項、次に「簡単なログイン機能」が来るという具合に、チーム全体のコンセンサスを迅速にとることができます。
どんな仕事も楽しくなる
見積もり作成作業って嫌な仕事のベスト3ぐらいにはランクインしませんか?
特に不確実性の高いプロジェクトだと、ほぼ無理ゲーになってしまいます。
でもこういった方法を使えば、合意形成がしやすくなるだけでなく、エンタメ要素のおかげで楽しい仕事に早変わりします。
これらの手法はシステム開発だけでなく、他のプロジェクトや家庭内の大掃除などにも応用可能です。見積もり無理ゲーではなく、レクレーションにしてしまいましょう!
コラム: Fibonacci数列とは?
Fibonacci数列(フィボナッチ数列)は、数学や自然界で広く見られる不思議な数列です。この数列は、次のルールで構成されています。
最初の2つの数字は1(もしくは0と1)です。
それ以降の数字は、直前の2つの数字を足したものです。
たとえば、最初の数列は以下のようになります:
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, …
それぞれの数字は、直前の2つの数字を足した結果です。
1 + 1 = 2
1 + 2 = 3
2 + 3 = 5
3 + 5 = 8
…と続きます。
なぜプランニングポーカーで使うのか?
Fibonacci数列が特別なのは、値が小さいときには近接しており、値が大きくなると急激に増加する性質を持つことです。この特性が、見積もり作業にぴったり合っています。
小さなタスクでは、「1」や「2」などを使って、正確に見積もりたいですよね。
大きなタスクでは、不確実性が高まるため、ざっくりとした見積もりをしたくなります。例えば、「21」と「22」の違いにこだわる必要はないです。
Fibonacci数列をプランニングポーカーで使うことで無駄な議論を減らし、効率的な意思決定ができるようになります。
Fibonacci数列は自然界や日常でも見られる、不思議な法則です。
ヒマワリの種や松ぼっくり:配置がFibonacci数列に基づいています。
うずまき貝の形:貝の成長パターンが数列に従っています。
経済学やデザイン:黄金比と密接な関係があり、美しさを追求する場面で応用されています。
Fibonacci数列は、実用性だけでなく、数学の面白さを体感できるツールでもあります。
プランニングポーカーをする際には、ぜひこの数列の背景にある魅力もメンバーに紹介してみてください!