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現状維持と判断保留のリスク
業界に大きな変化が訪れたにも関わらず、現状維持や判断を保留したりしていませんか?
日々の忙しさにかまけて、「まぁ、他社がやってから追随すればいいか」、「もうちょっと普及してから手を付けよう」、などと先送りすることって多いですよね。
現状維持・保留はある意味、不確定なリスクをヘッジしているにように思えるかもしれません。
しかし、この変化の激しい時代に、様子見をすることは大変なリスクになります。
本稿では、現状維持と判断保留がいかにリスクが高いか、そしていかにこの流れを断ち切るかといった具体的なアプローチを紹介します。
1. 現状維持が生むリスク
スキルの陳腐化
現状維持の大きなリスクは、新しいスキルを学ぶ機会を逃してしまうことです。
例えば、IT業界では常に新しい技術や理論などが生まれていますが、今もっているスキルでも大丈夫と高をくくってスキルアップを怠ると、新しい技術をもって入ってきた新入社員や転職者などにあっという間に職を奪われてしまいます。
キャリアの停滞
現状維持のぬるま湯に居続けると、仕事の刺激がなくなり達成感が得られなくなります。特に、モチベーションが上がらず、日々の業務がただの作業になり、キャリアが停滞します。
チームの士気低下
ひとりの現状維持圧力は、チーム全体に伝播します。それが一番楽だからです。しかしこれを繰り返していくうちに、やがてチームから新しいアイデアがでなくなり、活気が失われていきます。
たとえば、新規プロジェクトに自ら立候補する人がいなくなり、仕方なくアサインされた人がやらされ感で仕事をし、結果として組織のパフォーマンスが低下します。
2. 判断保留のリスク
チャンスの喪失
「もう少し考えたい」「今は忙しいから後回しにしよう」といった判断保留によって、一瞬しかないビジネスチャンス、成長機会を逃します。
たとえば、海外駐在のチャンスがあるときに、判断を先延ばししていると、同僚に先を越されて大きな成長のチャンスを逃します。
信頼の低下
判断を保留し続けると、同僚や上司から「頼りにならない」という印象を持たれることがあります。迅速な対応が求められる場面で決断力を欠くことは、チーム内の信頼関係を損ねる結果につながります。
ストレスの蓄積
保留中のタスクが増えるほど、解決すべき課題が山積し、心理的なストレスが大きくなります。特に、締め切りが近づくにつれ焦りが大きくなり、ますます正しい判断ができなくなります。
3. リスクを回避するためのアプローチ
(1) 小さな行動から始める
すべてを一度に変える必要はありません。小さなタスクや簡単なスキルアップを目標にすることで、現状維持から抜け出すきっかけを作りやすくなります。たとえば、新しいツールを試してみたり、オンラインセミナーに参加してみたりすると良いでしょう。
いきなりハードルを上げず、まずは0を1にしましょう。
(2) 意思決定の期限を設定する
判断保留を防ぐためには、タスクごとに期限を設定し、それに従う習慣をつけるとよいです。たとえば、「この提案は、1週間以内に結論を出す」といった具体的な目標を設定することで、対応がスムーズになります。
(3) チームと共有して意識を高める
チーム内で情報を共有し、挑戦を支え合う文化を作ることが重要です。たとえば、新しいプロジェクトや提案の壁打ちをみんなでおこない、熱い議論ができる雰囲気を作っていきましょう。
(4) 失敗を恐れないマインドセットを持つ
「失敗も学びになる」という前向きな姿勢を持つことで、新しいことに挑戦しやすくなります。失敗リスクよりも現状維持リスクのほうが高い、ということを、時には反面教師なども思い浮かべながら判断軸にしていきましょう。
4. まとめ
現状維持や判断保留は、いわゆるコンフォートゾーンです。しかし、コンフォートゾーンを抜け出さないと社員としての成長やキャリアの飛躍は望めません。小さな行動を積み重ね、変化に柔軟に対応する姿勢を持つことで、より充実した仕事生活を実現できます。
「変化を恐れず、むしろ楽しむ」ことが、あなたのキャリアを次のステージに押し上げる鍵となるでしょう。