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アメリカのWHO脱退の影響
2025年1月21日、ドナルド・トランプ大統領は就任と同時にアメリカ合衆国を世界保健機関(WHO)から脱退させる大統領令に署名しました。この決定は、世界とアメリカの公衆衛生にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
アメリカのWHO脱退の背景
トランプ大統領はかねてより、WHOの新型コロナウイルスのパンデミックへの対応に大きな不満をもっていました。
さらに彼は、WHOは中国の影響を受けすぎており、WHOへの支出はアメリカの国益に見合わないと主張しました。
また前トランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)や、上院議員ジョシュ・ホーリーなどもWHOを厳しく批判しています。
メディアでも、保守系のFox NewsやBreitbart Newsなどがトランプ大統領の方針を支持しています。
アメリカ以外にも、オーストラリアやイギリスなどはWHOに対しては厳しい態度をとっています。
アメリカ脱退の影響
資金面
アメリカはWHO予算の18%を賄う最大の資金拠出国です。
アメリカの脱退によりWHOは深刻な資金不足陥り、HIVや突発性粘病などのウイルス対策プログラムが停滞することになります。
特に、これらのプログラムに依存している多くの発展途上国は、公衆衛生上の大きな打撃を受けるでしょう。
グローバルヘルスガバナンスへの影響
アメリカの脱退は、WHOの財政基盤を弱体化させるだけでなく、国際的な保健ガバナンスにも悪影響を及ぼします。
特に、今後ますます中国がWHO内での影響力を強めていくでしょう。これにより、国際的な保健政策のパワーバランスがより中国に傾き、アメリカの世界的な発言力の低下をもたらします。
ウイルス対策と研究への影響
アメリカの脱退に伴い、WHOとの共同研究やウイルス監視に属していた米国の専門家が撤退することになります。
これにより、感染症の監視やワクチン開発などの分野での国際協力の一部が停止し、新たな健康危機への対応が遅れるリスクが高まります。
国際社会の反応
ドイツなどの主要国は、アメリカの決定に深い懸念を示し、トランプ大統領に再考を促しています。ドイツの保健大臣は、この決定により世界的な健康危機が起こるだけでなく、アメリカの影響力低下と中国の台頭を懸念しています。
アメリカが受ける影響
国際的な信頼の喪失
アメリカがWHOから脱退することで、国際社会におけるリーダーシップと信頼がますます低下するでしょう。
今後また新たなパンデミックが発生した際に、アメリカは国際的な主導権を取れなくなります。
この結果、アメリカは国際的取り組みから除外され、孤立の道を歩むことになります。
またWHOとの連携が途絶えることで、アメリカ国内の公衆衛生機関が、感染症の発生や拡散に関する情報をタイムリーに受け取れなくなります。
これにより、感染症に対する迅速な対応ができなくなり、国民の健康を脅かすリスクが高まります。
結論
このようなセンセーショナルな大統領令を連発することで、行動力とリーダーシップを示し、一時的には彼の支持率は上がるでしょう。しかし彼は常に超短期的な自己利益しか考えていないため、そのツケを払うのは将来のアメリカ国民です。
アメリカのWHO脱退は、世界の公衆衛生に多大な影響を及ぼすだけでなく、アメリカ自身の公衆衛生にも甚大な負の影響がでます。また国際社会での主導権を自ら中国に譲るという結果にもなり、トランプ大統領の目的である「アメリカを再び偉大な国にする」というポリシーとは逆の方向に向かうでしょう。