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遺伝子治療と細胞治療ってなに?

「遺伝子治療」と「細胞治療」という言葉、聞いたことはありますか?
ちょっと難しそうな響きですが、実は私たちの健康に大きく関わる新しい治療法です。
この記事では、これらの治療法がどんなものなのか、そしてどんな病気を治せるのか、そしてこれからどんな未来が待っているのかをお話しします。


遺伝子治療って何?

遺伝子治療とは、私たちの体の設計図である「遺伝子」に直接働きかけて病気を治す方法です。
例えば、遺伝子に「誤字脱字」があるせいで起こる病気の場合、その部分を「正しい内容」に修正することで病気を治す技術です。

遺伝子治療の例

  • スピンラザという薬:遺伝子のエラーで筋肉が動かなくなる病気「脊髄性筋萎縮症(SMA)」の治療薬です。

  • ゾルゲンスマ:徐々に体が動かせなくなる病気の赤ちゃんを治療する、世界でも注目されている薬です。1回の治療で大きな効果を期待できます。


細胞治療って何?

一方、細胞治療は体の中の細胞を使って病気を治す方法です。
例えば、傷んだ体の部分を新しい細胞で修復したり、免疫細胞を強くして病気をやっつけたりします。

細胞治療の例

  • CAR-T療法:がんを治す治療法です。患者さん自身の免疫細胞をパワーアップさせて体に戻し、がんを攻撃します。

  • iPS細胞:どんな細胞にも変身できる「万能細胞」。例えば、目の病気で失明しそうな人に新しい目の細胞を作って移植する研究が進んでいます。


遺伝子治療と細胞治療で治せる病気

これまで治せなかった病気に対して、遺伝子治療や細胞治療は希望の光をもたらしています。

  • 遺伝性疾患:生まれつき遺伝子に問題がある病気。

  • がん:特に治りにくいタイプのがんにも効果が期待されています。

  • 神経系の病気:筋肉が動かなくなる病気や、アルツハイマー病など。


どれくらい効果があるの?

例えば、CAR-T療法を使うと、一部のがん患者さんの約70%が劇的に良くなるというデータもあります。また、iPS細胞を使った研究では、目の病気や心臓病の治療でも効果が出始めています。

ただし、まだすべての人に使えるわけではありません。研究は日々進んでいますが、限られた条件でのみ適応されることが多いです。


遺伝子・細胞治療の課題

1. お金がかかる

これらの治療法は非常に高額です。例えば、「ゾルゲンスマ」という薬は1回の治療で2億円以上かかることもあります。
製造コストをどこまで下げられるかがポイントです。

2. 安全性の問題

遺伝子や細胞をいじる治療なので、思わぬ副作用が出る可能性も。これを防ぐために、治療の安全性をさらに確認する必要があります。

3. 作るのが難しい

細胞治療は、一人一人の患者さんに合わせて「オーダーメイド」で作る必要があり、時間も手間もかかります。これを効率よく作れる技術が求められています。


未来はどうなる?

これからの研究や技術の進化によって、遺伝子治療や細胞治療がもっと手軽で安全に使えるようになると期待されています。

  • コストダウン:技術が進めばコストも下がり、多くの人が利用できるようになるかもしれません。

  • 新しい病気への挑戦:今は治療法がない病気にも使える可能性があります。

  • 予防医療への応用:病気になる前に遺伝子治療を受けて健康を保つ、という未来も考えられます。


製薬会社はどうしているの?

製薬会社は、この分野に莫大な投資をしています。例えば、がん治療や遺伝性疾患の研究を進めたり、コストを下げるための技術を開発したりしています。日本の会社では、武田薬品が特にこの分野に力を入れています。


おわりに

遺伝子治療と細胞治療は、私たちの医療を大きく変える可能性を秘めています。まだまだ高額で利用が難しい部分もありますが、技術が進むにつれて、もっと身近な治療になる日も近いかもしれません。今後の進展に注目していきましょう!

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