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「専門職時代」から「統合職時代」へ⑥:チャネル
ビジネスモデルキャンバスで言うところの「チャネル」は、製品やサービスをどのように顧客に届けるか、そして顧客に自社の価値提案をどのように伝えるかを考える重要な要素です。
効果的なチャネルを設計することは、ビジネスの成否を大きく左右します。本記事では、チャネルの基本概念から、実際の設計プロセスまでを解説します。
チャネルの基本:5つの接点
チャネルは顧客との接点のことを指しますが、この接点には5つの主要なステージがあります。
それぞれのステージが、顧客体験を形作る要素となります。
認知
顧客が自社やサービスを知る段階です。広告、SNS、口コミなどがこのステージに該当します。例: 新しいアプリをリリースする際、SNSでの動画広告キャンペーンを行い、多くの人に存在を知ってもらう。
評価
顧客が提供される価値を比較検討する段階です。ウェブサイトやレビュー記事などがこのステージで役立ちます。例: 製品の詳細情報やFAQを公式サイトに掲載し、他社製品との違いを明確に示す。
購入
顧客が実際に商品やサービスを購入する段階です。
ECサイトでの出品や大型店舗での販売など、消費者が購入しやすい環境を整えます。例: Amazonなど消費者になじみの深いサイトに出品する。
配達
購入した商品やサービスが顧客に届けられるプロセスです。
迅速で確実な配送が肝です。例: 在庫管理を徹底する、ECサイトや大型店舗などの配送ポリシーをチャネル選定の重要項目として確認する。
アフターサポート
購入後のサポート体制を構築します。アフターサポートの良しあしがビジネスの継続性に大きく影響します。例: チャットボットを活用した24時間対応の簡易カスタマーサポートと、メール、フリーコールなど連絡先が探しやすいホームページデザイン。
チャネル設計の成功事例
効果的なチャネル設計は、顧客満足度を高めるだけでなく、ビジネスの収益性にも直結します。ここでは、チャネルを上手に活用した2つの成功事例を紹介します。
1. サブスクリプション型サービスの認知戦略
あるオンライン学習プラットフォームでは、SNS広告と口コミを組み合わせて認知を拡大しました。
特にインフルエンサーとのコラボレーションが効果的で、短期間で登録者を倍増させました。
ポイント: 認知段階で「共感を得るメッセージ」を発信。
2. アパレルブランドの配達とサポート
ある高級アパレルブランドは、購入後の体験を重視し、個別にカスタマイズされたパッケージと手書きのメッセージカードを添えて商品を届けています。
また、購入後1年間の無料リペアサービスを提供し、顧客ロイヤリティを確立しました。
ポイント: 配達とアフターサポートで「期待以上の価値」を提供。
チャネルを進化させるためのポイント
顧客の行動を理解する
顧客がどのような経路で自社のサービスにたどり着くかをマッピングしましょう。カスタマージャーニーマップが有効です。一貫性を持たせる
各チャネル間でメッセージやブランド体験に一貫性を持たせることが重要です。オムニチャネル戦略が参考になります。テクノロジーを活用する
AIやデータ分析ツールを活用することで、チャネル設計をより効率化し、顧客体験を最適化できます。
チャネルの良しあしが顧客のロイヤリティを左右する
チャネルは単なる「販売の手段」ではなく、顧客にとっての価値そのものとなります。
「統合職時代」でのビジネスデザイナーの大きな役割として、各ステージの丁寧な設計、および継続的な進化があります。次回は、こうしたチャネル設計を支える「顧客関係」について深掘りしていきます。
次回もお楽しみに!