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ヘパリン製剤は大きく分けて3種類ある。まとめてみた。
ヘパリ類による抗凝固作用には、以下の2つがある。
① アンチトロンビン(AT)に結合してXa因子を阻害する。
② トロンビン(Ⅱa)を阻害する(ATも巻き込んで複合体を形成する)。
ヘパリン類は分子量が大きい方から「未分画ヘパリン」、「低分子ヘパリン」、「合成ヘパリン」の3つに分けられ、トロンビン阻害作用が大きいのは未分画ヘパリンのみ。
低分子ヘパリンと合成ヘパリンは、Xa阻害のみで、トロンビン阻害作用はあっても弱い(作用機序は後述)。
未分画ヘパリン:ヘパリンNaやヘパリンCaなど
低分子ヘパリン:エノキサパリン、ダルテパリン、ダナパロイドなど
合成ヘパリン:フォンダパリヌクスNa
トロンビンを強力に抑制すると、出血の副作用が強くなってしまうので、抗Xa作用の選択性が高いものの開発が進み、今のDOAC(NOAC)がある。
ただし、抗トロンビン薬より抗Xa薬の方がいいかというと臨床現場ではそういう訳でもないようで、使い分けがされている様子。
〈抗トロンビン薬のメリット〉
・使える場面、適応症が広い(抗Xa薬は適応症が限られている)。
・透析時の凝固防止に使える(抗Xa薬は透析適応なし)。
・一部のヘパリンCa製剤は「在宅自己注射」保険適応認可あり※1。
ヘパリンは、「ウロン酸とグルコサミン」という二糖単位が数十~数百重合した多糖類。
これらの重合度合いによって、分子量5,000~20,000前後を未分画ヘパリン、40,000~6,000前後を低分子ヘパリンとし、フォンダパリヌクスNaの分子量は約1,700程度である。
ATに結合できる配列は決まっており、下図の五糖配列がそれ。
これに17個以上の糖鎖がついていれば未分画ヘパリンとされ、トロンビンを包み込むように阻害できる(※2)。16個以下の場合は低分子ヘパリンで、トロンビンを巻き込めないため、ATおよびXaしか阻害できない。フォンダパリヌクスNaは五糖配列のみで、やはりATおよびXaしか阻害できない(下図参照)。
【情報元】
血液凝固学におけるトロンビンの作用から直接トロンビン阻害剤の特徴を考える
※1 抗血小板薬・抗凝固薬の薬理学
※2 一般社団法人 日本血栓止血学会HPより
【情報元】
※1 直接トロンビン阻害薬の可能性を探るスペシャルインタビュー(ベーリンガープラス)
※2 抗血小板薬・抗凝固薬の薬理学
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