メノエイドコンビパッチ®はなぜ冷所保存?(未解決 2019/9/20時点)

 これを利用してる患者さんから「1週間ほど旅行をしたいけど、バッグに入れて持ち歩いてていい?」と相談があった。
    インタビューフォームを見たら、製剤の安定性のところには下図のような表記だった。

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    温度に関する安定性試験は「加速試験」の25±2℃でしか行われていない!
    しかも結果は「1ヶ月まで安定」というコメントだけ。
    いつくらいから、どの程度安定性が低下するのか知りたい。
    しかもどう安定性が低下するのか・・・有効成分そのものに変化があったのか、製剤的に放出能が低下したのか、そういう記載もない。
    光安定性の項目についても「著しく低下」と書かれているが、何パーセントまで低下するのか、いつくらいからなのか、せめてそれくらいの記載は欲しい。

    ってことで、久光製薬のDI室に問い合わせ。
    ・・・がしかし!「分からない」「データがない」「データは開示出来ない」の一点張り。
    「IFには◯◯と書かれている」と・・・IF以上のデータが欲しかったのだが・・・。このDI担当者(年配男性っぽかった)は調べようとすらしてくれなかった。運が悪かったか。

 上記の表を見ると、パウチ包装の状態で25℃なら1ヵ月までは安定とのことから、夏場は気温が40℃近くになる時代でもあるので、常温保存は1週間くらいが限度か(エビデンス不明)

 長期保存試験は「5±3℃」で実施してる。通常の医薬品は25±2℃とかで実施されていることがほとんどなので、開発段階などですでに温度による影響が分かっていた可能性がある。
 ただ、同じエストラジオール(E2)やノルエチステロン(NET)を配合する他の製剤は冷所保存の規制はないので、パッチという剤形上の特性か、もしくは添加物の中に温度で影響を受けるものがあるのかも。
 また、E2とNET両方の配合剤はメノエイドしかないから、E2とNETが混ざり合うと温度に影響を受けやすくなるとか・・・?

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薬備(ヤクビ)〜保険薬局薬剤師のアカデミック備忘録〜鎌田貴志
仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。