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ストロングスタチンの安定性を見る(粉砕・半割含む)

 下表は、ロスバスタチンの湿度と光に対する安定性を示している(メーカー資料より)。
 湿度は問題なし。
 どちらかといえば、光の方が類縁物質が増えて含量が減るので、薬効そのものへの影響が大きい感じ。

 120万lx・hr(≒約4ヶ月)で含量が92.3%まで下がるので、ロスバスタチン半割もしくは粉砕時は2~3ヶ月が限度では無いかと判断される(詳細な経時変化のデータはない)。

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    ピタバスタチンは光分解を起こす。
    インタビューフォームによると、ピタバスタチン4mg錠の裸錠は120万lx・hrで規格範囲内だが、1mgの裸錠は約180万lx・hrで含量低下が認められている。
 また、2mg錠半割では30万lx・hrまでは規格範囲内、粉砕時では、わずか30万lx・hrで64%まで含量が低下する(DIより)。
    このことから、通常のODPは120日(4か月)分までなら問題なし(自宅の残薬には注意!)。
 半割調剤の場合、30日以上の処方では遮光が必須だろう!

 アトルバスタチンは添加剤に炭酸カルシウムを配合しているため、安定性試験で裸錠のまま6か月以上放置しても含量低下はなかった。
 この炭酸カルシウム配合は特許があるため、GEメーカーは代わりに酸化マグネシウムを用いたそう。その場合は安定化のために他にも添加剤を加えなければならなかったが、それでも裸錠の安定性試験では3か月目から含有量の低下が始まった(98%程度なので臨床上に問題はないが)。
 炭酸カルシウムでは安定性が長く続くのは、炭酸カルシウムがアトルバスタチン分子を“マウント”し、蒸散を防ぐためだとの事。 
 ※情報元:サワイ製薬MR(2015年11月)


仕事より趣味を重視しがちな薬局薬剤師です。薬物動態学や製剤学など薬剤師ならではの視点を如何にして医療現場で生かすか、薬剤師という職業の利用価値をどう社会に周知できるかを模索してます。日経DIクイズへの投稿や、「鹿児島腎と薬剤研究会」等で活動しています。