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小児へのレボチロキシン投与は低年齢の方が用量が多い
IFとガイドライン(マススクリーニング1998年版)共に次のような記載がある。
l-チロキシン10μg/kg/日から開始(重症例は12~15μg/kg/日)。
乳児期は5~10μg/kg/日、1~5歳で5~7μg/kg/日、5~12歳で4~6μg/kg/日が目安。
だが、あくまでも“目安”であり、血清TSHをコントロールする事が目的なので、実臨床では下表のように、患者ごとに大きな差がある。
ただし、年齢が進むと共に維持量を漸減していく傾向は重症例以外では同じようである。
この根拠となるのは論文「佐藤保 クレチン病、小児方原発性甲状腺機能低下症 綜合臨牀(総合臨床) Vol.35 No.8 (1986 : 8)」である。
その中では、以下のように述べられている。
血中T4濃度とTSH基礎分泌が正常に保たれる事を目標とし、血中T4濃度の正常域は7~12μg/dLと幅が大きいので上界附近(10μg/dL)に維持する。(中略)著者らは年齢の異なる9例の原発性機能低下症状患児にl-T4を投与し、TRH試験の反応性から、乳児:8~10μg/kg、1~5歳:5~6μg/kg、5~15歳:4~5μg/kg、15~20歳:3~4μg/kgの暫定的標準投与量を設定した。
その後の研究で「これが欠損性クレチン症に対する標準投与量とみなして支障はない」としている。
IFやガイドラインはこの研究結果から投与量を設定していると思われる。
また、先天性の甲状腺機能低下は発育障害を招くので、それだけは絶対に阻止する必要がある。
甲状腺ホルモンは成長に伴って分泌量が減ることが分かっており、新生児期・乳幼児期は発育障害を来たさないために絶対必要量を投与しなければならず、その目安が上記用量になる。
実際は、5μg/kgから投与を開始したりする事も珍しくはない。
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