フランスで働くとは
フランスで働くときには労働許可書(労働ヴィザ)を取得して雇用者と必ず契約書を交わすというのは必須になります。
私が渡仏した1998年頃にはフランスは失業者が多く、できれば外国人ではなく自国のフランス人を雇用したいという国の考えがあるため労働ヴィザの取得は非常に難しい状況にありました。会社が外国人を雇用するには、「他の人ではなくこの人でなければならない」という明確な理由と雇用側の強い意志を会社側が証明しなければならなかった。
フランス国にヴィザの申請をしても却下されることはよくあります。その理由のひとつとして、「あなたにはフランスに家族がいないので家族(両親、兄弟など)のいる日本に帰った方が良いです」のような理由もありました。
滞在許可書を取得する為には、時間がかかり、滞在許可書専門の弁護士に依頼する人も多くいました。現在は弁護士ではなく、代理申請を引き受けてくれる会社があるようです。
私がパリに行き、何年か経った頃、学生ヴィザを持っている人が正規雇用(plan-temps)の半分の時間(mi-temps)だけ働けるという制度もできました。労働許可書にはいろいろな種類があり、フリ-ランス(自由業)というポジションで働くこともできました。
ただ厄介なのは滞在許可書は1度取得できたからいいという事ではなく、毎年1年ごとの更新になり、これが外国人にとっては難題になるのでした。
日本人にしてみたら、その国に家族がいないことが滞在許可書申請却下の理由になるなんて理解できない方も多いと思いますが、『愛』、『家族』を一番大事にしている国フランスにしてみたら、一番正当な理由になるのではないかとか感じました。
フランスでは専門学校卒や高校卒業後の研修生に、法律でお金を支払うことが決まっています。その為どんな場合でも働くときには雇用者との間で契約書を交わすという義務があり、労働者が守られているという部分ではとても良い方法ではないかと感じました。
私にとってパリで働くことが出来たのは本当にラッキ-でした。
それは日本で経験をつんできた洋服を作る技術を持っていたからだと思います。そして7日本で身につけたお客様とのコミュニケ-ション能力も役に立ったように感じます。
世界中からパリでファッションの仕事をしたいと、集まってきている人達が大勢いるパリでは、自分じゃなくても変わりは沢山いるんだなと感じることは度々ありました。その為には、他に変わりがいないという、自分の絶対値を上げていくこと(自分の存在価値)でしか証明できないと実感しました。いわゆる、海外で働く為には他の人よりも優れた何かを持っていることが非常に重要になります。
フランス人は初めて会った時からすぐには、相手を信用することはせず、仲よくしようとすることもありません。それは、相手がどのような人かがわからない、いわゆる日本人とは違いすぐには人を信用しないという事です。相手がなにか目に見える結果を出すまでは相手に対する評価を保留にします。そして結果をきっちり出せることが証明されたならば、広い心で受け入れてくれ、どこの国籍であろうが何歳であろうが、その存在や能力をきちんと認めてくれます。そして、一度仲間と認めてもらった後は、かけがえののないとても近い存在になり困っているときには親身になって助けてくれるようになります。
実力や才能のある人を受け入れ賞賛するフランス!!
そういう意味ではいくつになってもチャレンジできる可能性のある素晴らしい国ではないかと思います。