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Descriptionの本来の使い方は「エモさを語る」ではないのか
本日はIngressのお話です。
長文が嫌いな人の為に今回のメインテーマを1行で先に出しときますね。
タイトルを見ろ
以上です。
さて、話を進めて行きましょうか。
わたくし、かじぃが住んでいる福岡県は大野城市の東部に乙金という地名があります。
割と難読地名だと思うんですが、読みは「おとがな」です。
この地名はこの地区にある「乙金神社」にあるとも言われていますし、古くは古墳時代以前からこの地に渡来人が居住し、冶金の技術を広めたからとも言われています。
この乙金神社、当然のようにIngressのポータルになっています。
神社なので例に漏れず石碑なんかもあります。
こちらは疫神。
その隣にはくずし字で読みにくい石碑が建っています。
この2つの石碑は「石碑」という、実にぐだぐだな名称でポータルになってます。
Descriptionには何も書かれていません。
Nianticがポータル審査をしていた頃の名残りで、今では「なんでこんなんが審査されて通るんや」という代物です。
その隣には「乙金宝満神社由来」という説明看板が立っています。
祭神は玉依姫命と神功皇后と応神天皇。
はい、以前にも出ました神功皇后と応神天皇。
糟屋郡宇美町の宇美八幡宮で神功皇后が応神天皇をお産みになられて、その産湯が宝満川の水だったという所から、武神である応神天皇の八幡信仰が太宰府市の太宰府天満宮の裏にある宝満山で結実して、ほんでこの一帯に水神、農耕の神として広まったという話のようです。
1番左に記述のある観音堂は参道の反対側にあります。
鳥居をくぐって本殿に進みます。
特に何ということもない神社です。
新しい道路の区画整理に引っかかって、整備された敷地や狛犬と引き換えに鎮守の森は消滅してしまいました。
新しい狛犬くんは、コロンとしていてなんだか愛嬌があります。
ところが、この乙金神社、本殿の左右に謎の石碑があるわけです。
本殿に向かって左の下手手前から奥に向かって4つ。
本殿に向かって右側上手手前から奥に向かって4つ。
大きさは高さ50cm程。
大きくありません。むしろちっさっ!ってくらい。
何も記されてないので、何を祀ってあるのか、どんな由来があるのかさっぱりです。
もし、この8つの石碑を申請するとするならば、どうするか?
タイトル「石碑」、Description「8つの謎の石碑」。
普通に考えればそんな感じでしょうか。
タイトルに凝ったとしても「謎の八石碑」くらいでしょうか。
これが近視点、ミクロの視点です。
視野をもうちょっと広げてみましょう。
由来が記されていた立て看板をもう一度見てみます。
八大龍王。
8つの石碑。
呼応してます。
そして、水神である玉依姫命と水を司る八大龍王も呼応しています。
更にはこの乙金にはこんな伝承もあります。
菅原道真公は藤原時平の讒言によって太宰府に左遷され、失意のうちに太宰府で病没し、怨霊の雷神となって朝廷の清涼殿に雷を落とし、焼失させたという伝説があります。
雷神は激しい雨を伴い、イメージは龍へと結び付きます。
八大龍王。
これが広い視野、マクロの視点で見たこの石碑の姿です。
もちろん憶測にしか過ぎませんが。
こうやって視野を広げ、解像度を高める事によって「エモさの欠片も感じられない謎の石碑群」が「もしかして、ひとつひとつの龍王を祀った石碑なの?この土地の人達は龍を崇めてたの?」という重厚な意味を持って立現れる。
これが歴史、郷土史、伝承好きにとってはたまらなく面白い。
どちゃくそエモい。
さて、こんな感じで「自分にとってエモい話」を長々と書いてきたわけですが、歴史や郷土史、伝承などが大好きな人にはぶっ刺さりまくるとは思うんですが、そういうのにまったく興味がない人には、当然まったく刺さりません。
ここがWayfarerにおける一番の問題点なわけです。
個々人の好みは千差万別。
自分がエモいと思っても、他の人100名が全員エモいと思ってくれるわけじゃない。
歴史、郷土史、伝承大好きな人達に「ポケモンのジム生やしたい」って言っても刺さりません。
ポケモンのジム生やしたい一心の人達に「この石碑がくっそエモい」って言っても刺さりません。
一応、運営のNiantic社は、CEOのハンケ氏のインタビューとかで「リアルでのディスカバリーがちょー大事」とか言ってます。
なので、ポケストも「ポケストが欲しいから」ではなく「リアル世界でそこに何があるか」というのを重要視しているハズです。
つまり、「自分のゲーム進行を有利にすすめるためにPOIを設置するにはゲーム世界での価値を説明するのではなく、ゲーム外の世界(つまり現実世界)での価値を説明しなければならない」という捻れた構造を持っています。
これは「ゲームはゲームとして楽しく。そして、外に出たらゲーム以外の体験(リアルにそこに何があるか?という再発見)も十分に楽しんで欲しい」というNianticの位置ゲーにおける哲学でもあります。
なので、POIというのはゲーム以外での「エモい」が重要だと考えています。
Nianticの位置ゲーのWayfarerは「無いからでっち上げる」んやないんやで。
— かじぃ@スライムゾンビの黄昏 (@KzPhantazm) May 16, 2020
「実際にあるものを再発見」するもんなんやで。
それはIngressだろうとポケGOだろうと魔法同盟であろうと関係ないやで。
Nianticの位置ゲーは「リアルの再発見」をコンセプトにしてるからなんやで。
リアルの再発見やから「リアル」のもので「再発見しておもろい」とか「再発見エモい」が基本なんやで。
— かじぃ@スライムゾンビの黄昏 (@KzPhantazm) May 16, 2020
そっからWayfarerの規定に沿って引き算するのが正解やと思ってるやで。
ところが先程にも言いましたように「エモい」って個々人で千差万別なんですよね。
だから紛糾してしまう。
「なんでこれが通らんのじゃ」とか「なんじゃこのくだらん申請は」とか。
要は「あなたのエモいが他の人に理解されるとは限らない」わけです。
理解してもらうためには何が必要か?
説明(Descriptionや補足説明)が必要なんです。
「謎の石碑」ではなく「八大龍王の石碑(推定)」とか。
「8つの石碑が左右に4つずつ並んでいる」ではなく「祭神である玉依姫が近隣に流れる宝満川の水神であることや、鎮守の森であった天神森に縁のあった道真公が雷神であったこともあり、龍を祀る文化がこの地にあったのではないかと推察できる」とか。
そうやってエモさを伝える言葉を尽くす事によって「よく分かんない」人に「なんかよく分からんけど凄いかも」と思ってもらう。興味を持ってもらう。
そしたら当然、審査を合格で通過する可能性も跳ね上がるんじゃないかと。
それがWayfarerにおけるDescriptionの最大の意義なんじゃないかと思うわけです。
まとめ:POI申請のDescriptionには、自分がなぜこの申請をエモいと思ったか?という思いを思いっきり叩き込むべし
※くずし字で読めない石碑は「大龍王」と書いてあるようにも読めるので、必ずしも8つの石碑が八大龍王であるとは限らないんですが、それでもやっぱりそうである可能性はかなり高いのではないかと思ってます。
どの石碑がどの龍王なのかを特定できる手がかりがあればなぁ、という感じです。