抗がん剤副作用・手足症候群

私がまだ何もわからなかった頃

同僚の薬剤師が薬歴に
HFS(-)
って書いてたことがあったんですよね。

えっ何これ

って思ったんですけど、どうやらこれはハンドフットシンドロームの頭文字で、手足症候群のことだとその後わかりました。しかし手足症候群がなんなのかわからない。

手足症候群とは。
手や足の皮膚の細胞が障害されることで起こる皮膚症状の副作用です。
なんか指の皮が薄くなってきた気がするな、なんかものを触るとピリピリする気がする…から始まり、だんだん痛みと赤みが強くなってきます。赤黒く変色したり、痛くてものが触れない、足の裏の皮が剥けて痛くて歩けない、など重篤な状態になります。

抗がん剤の副作用というと骨髄抑制!って思い浮かんでいた私ですが、これもかなり嫌だな、辛いな、と思いました。

手足症候群は殺細胞性抗がん剤(DNAや微小管を標的としたもの)や、マルチキナーゼ阻害剤(これは分子標的薬ですね)で起こりやすいです。(他のものでも起こることがあります)

手足症候群にはグレードがあり、グレードによる減量や休薬の基準が添付文書に書いてあります。
これも手足症候群に詳しくなかった時代は、休薬延長イコール好中球に違いない、と思い込んでいたものです。でも注目してみると手足症候群で休薬や減量する人、けっこういるんですよね、これが。

私が調剤、投薬する薬の中で手足症候群を一番見かけるのがカペシタビンです。これは手足症候群の代表選手と言っていい。
大腸がんアジュバントで、「念のためのやつなんだよね~やらなくてもいいって言われたんだけど半年だし」と軽めの口調でいらっしゃる患者さんもたまにいますが。XELOX療法やアバスチン併用の方はもうちょっと深刻な感じでいらっしゃるけど、カペシタビン単剤の人は油断してる場合ある…
勿論骨髄抑制の話なんかもしますが、とりあえず私は初回指導で保湿するように言います。
「え、別にカサカサとかしないし」
「めんどくさいし」
という素振りを見せる方もいますが、ひどくなったらほんとにひどくなるので、やるべき対策は取るべき。
とりあえず気付いたら保湿するようにしてください。1日何回塗ったっていい。靴はかっこいい革靴履かないでスニーカーにしてください、あんまり強くもの握らないで、日焼け止め手袋もいいかも、とりあえず手を洗う度に保湿してください、足も忘れないで塗ってください、と、少々うざがられる程言いますね。

他にも院外薬局でよく出されるS-1やUFTなんかでも起こるし、ネクサバール、レンビマ、スチバーガやロンサーフなんかでも手は絶対見せてもらってます。

保湿剤を意外と処方してもらってない患者さんもいるので、処方提案などすることもあります。ひどくなったらさすがにステロイドなども出ますけどね。ちょっとなっててハンドクリーム塗ったり塗らなかったりって人は、医師に処方してもらった保湿剤なら心を入れ換えて塗ってくれる場合もあります。

特定薬剤管理指導料2を算定するなら、こちらで内服抗がん剤が出ていなくても外来ケモで手足症候群の副作用が出ることがあるので、フォローアップTELで手足の状態をききます。
タキサン系などの人は、保湿剤出てると思う。痛くて歩けなくなるというの、けっこうききます。

副作用って人それぞれなので、勿論そんなに出ない人もいるわけなんですが
手を見せてもらったら赤黒指紋なしでちょっと保湿剤出してもらわないの?って感じの患者さんいたんですよね。前。
そしたら

めんどくせぇ、いらねぇ、いたくねぇ

と一蹴されたこともあります。その患者さんは見た目だけ痛そうでしたがとうとう保湿することなくカペシタビンが終了となりました。はい、アジュバントの単剤タイプね。
本当に痛くなかったのだと信じたいです…

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