調剤薬局・抗がん剤のトレーを見たら
化学療法をやってる病院で化学療法をやってる病棟を担当したことがある病院出身の薬局薬剤師さん
化学療法をやってる病院の門前薬局で新人の頃から抗がん剤に触れていた薬局薬剤師さん
上記の人たちが抗がん剤のトレーを見ても、逃げていくことはありません。
ところが同じ薬局薬剤師であっても
抗がん剤をやってる病院に縁がなかった薬剤師は、抗がん剤のトレーを見ると逃げていくのです。
なぜ逃げていくかと言うと、それは抗がん剤のことがよくわからないから、そして癌という病気のこともよくわからないからだと思います。
特に初回のトレーが人気がなく、逃げている人をよく見ます。
私は初回こそ勝負なので大好きですが。
逃げたいけれど、わかんないけれど、トレーを取った薬剤師はまず一歩前進といえます。
しかしトレーを取ってから、ちゃんと理解しようとする薬剤師と、よくわからないまま出す薬剤師に分かれる傾向があります。
わからないまま出すとかありえないですよね。
わからないまま出しているかどうかは、指導が偶然耳に入ったときにバレたり、薬歴でバレたりします。
私がわからないまま出しているなぁーと思った薬歴は、
抗がん剤。副作用なし。飲み方確認。
みたいな薬歴です。
おい何の癌だよ何の副作用がないんだよ飲み方確認ってなんだよオイオイ!
みたいな…
これで特定薬剤管理指導料算定とかありえんぞオイオイ!
みたいな…
抗がん剤のトレーを取ったときは、
何の癌なのか意識してから投薬してください
当たり前だけどね!当たり前!
適応癌種が一個のやつは簡単です。
何種類かの癌に使うやつは気をつけてください。
よくわからないからといってただただ抗がん剤とか書かないでください。
例えばゼローダは乳にも胃にも大腸にも使いますが、
クールを見れば少し当たりをつけることができます。
3投1休なら乳癌です。
2投1休なら全ての可能性がありますが、
院内ケモ併用なしの単独なら大腸のアジュバントです。
ていうかそもそもこれは初回に投薬した薬剤師が当然の如く聞き出して薬歴に書いておいてくれるべき事項なのですが、
よくわかってない薬剤師がよくわからないまま出したあとの抗がん剤に、またよくわからない薬剤師が当たって結局聞けずにだらだらよくわからない薬歴になってることもあるわけで…
ハァ。
まだゼローダを例にとりますが
副作用もね、副作用なし、とかじゃなくて
可能なら血液検査値などを確認して好中球とかギリだったら
人混みにいかないでください
うがい手洗いをしっかりしてください
発熱したらすぐ受診してください
とかちゃんと言って、
手を洗ったらカサカサしてなくてもとりあえず保湿剤をどっぷり塗ってください!とかちゃんと言って
記載してほしいものです。
飲み方もね、飲み方確認とかじゃなくて…
何月何日から何月何日までの分で何月何日まで休薬で
何個ずつ飲むんだよ!までしっかり確認して
記載してほしいものです。
この人は何の癌なのか、どのような状態なのか
この抗がん剤はどういう目的で出てるのか
この抗がん剤の確認すべき副作用はなんなのか
まずはこの3つでいいのでそこを頭に入れてから投薬に行ってほしい。
たとえば乳癌は、ほとんどの経口の抗がん剤は乳癌にしか使わないので癌種がわからないってことはなく投薬に行けるんじゃないかと思います。(例外あり、アフィニトールやゼローダなどは複数の適応持ってる…)
でも乳癌は型によって使う抗がん剤が変わってくるので、
あと再発例にしか使わない薬も多いので、
そこをおさえる必要があります。
アジュバントの人と、再発の人といるわけです。
イブランスやベージニオは、ホルモン療法併用必須ですので
そこを見逃したらいけません。
薬の特徴をおさえれば、その患者さんがどういう状態かもわかります。
内服だけでも癌に使う薬はかなりの数があります。
まずは
この人は何の癌でどんな状態
抗がん剤はどんな目的
副作用
これを突き止める
手術はしたのかしてないのか
院内で併用してる薬剤はなんなのか
そのへんを聞き出して、
指導できたらいいです。
苦手な人へ。
2020年4月からの特定薬剤管理指導料2を算定するためには
今の段階で抗がん剤トレーアレルギーを克服し
自分がその日に触った抗がん剤は
どういう抗がん剤なのか、ということを日々
おさらいしてほしいものです。
触った抗がん剤から、覚えていけばいいのです
癌だから、と
癌の患者さんに対して色々と思う薬剤師もいて
気を使って何も聞かない人もいます。
でも癌なことで気を使うのではなく
その時の体調に対して気を使うようにしましょう。
このnoteには、ごくごく当たり前のことしか書いてないし
ちょっと調べればわかることばかり書いてあります。
でもそのちょっと調べるをやらない薬剤師がうちにもいるんで
そういう人を見かけたら
後ろから背中を押してあげたいと思います。