薬局での待ち時間が長い理由①

薬局の待ち時間は長い。多少時間がかかるのは仕方ないが、僕はもう少し短縮できると思っている。

基本薬局の流れは

①処方箋受け取り→②処方箋内容入力(料金計算)→③薬を集める→④監査(間違いないか確かめる)→⑤投薬

である。

短縮できると考えるのは、④の監査をより効率的にできると思うからだ。

監査が絶対必要な過程であるのは言うまでまないが、

監査の目的は主に2つ、⑴処方箋の妥当性の確認と⑵処方内容通りの薬がどうかの確認である。

監査をする上で疑義照会をするケースがしばしばある。

疑義照会とは処方箋に疑わしい点があった時や患者さんからの申し出があった時に、処方医師に本当にこの処方で正しいがどうかを問い合わせる作業だ。

とても大切な過程だが、ここで重要なのが疑義照会のハードルだ。僕が色々に薬局に行って感じるのはこの疑義照会のハードルが異常に低い薬剤師が多い。

なんでもかんでも医師に確認して医師と患者さんの時間を奪う薬剤師。医師も患者さんもそんなに暇ではない。

これは実際に現場で見た例だが、

ロキソニンが10錠処方されていた。

患者さん的には10錠もいらない、5錠でいいという希望だった。

すると担当の薬剤師が即座に電話をとり病院に電話をかける。

医師は診察中なので折り返しの電話をまつ。

結局10分後くらいに折り返し電話があり5錠に処方変更。

予想外に待たされてイライラしてる患者さんに薬をわたす。

と言った具合だ。

だれも得していない。

ここでのポイントは「10錠もいらない」である。

この無駄な時間の一連を防ぐには「10錠もいらない」の意味を考えないといけない。いやべつに考える必要はない。ただ患者さんに聞けばいいのだ。どうして?と。

僕の経験上、患者さんが薬を減らして欲しい、削除して欲しい理由の9割くらいは金額である。

この件もおそらく例に漏れず、患者さんの立場になって考えると薬の量が半分になれば、結構安くなるはずだと思い、減らすことを希望したのだと思われる。

しかし残念ながらロキソニンを5錠減らしたところで差額は3割負担で数十円であり、それくらいの事は薬剤師なら新人でない限り誰でも知っている。

そのことを最初に伝え、さらにある程度時間がかかることも伝えていたら、患者さんも医師も当の薬剤師も無駄な時間は消費しなかっただろう。

「じゃあ今日は10錠もらっていくわ」となっていたはずである。

患者さんも数十円のために10分も20分も待ちたくないはずだし、医師もいい迷惑だ。内心どっちでもいいと思っているに違いない。

それなのに、患者さんは神様、医師は王様と思っているのかなんなのか知らないが言われるがままのロボット薬剤師が非常に多い。

これはあくまで一例だが、こんな感じで無駄な疑義紹介に時間を費やしている薬局を、薬剤師をたくさん見てきた。

何が言いたいかというと、そういう患者さんに割いている時間が少なくなれば、他の患者さんに使える時間が増えるため、結果的に待ち時間は減ることになる。

例えば5人の薬剤師が働いている薬局で、1人が先程の例のような患者さんに15分時間を取られると、その15分間は単純計算で普段の80%の仕事量になる。

小さいことのように思えるが、これは間違いなく薬局での待ち時間が長い理由のひとつである。

疑義照会するのはかまわないが、それによって生じるメリットとデメリットをしっかり天秤にかけるべきだと思う。