The Basílica Menor de San Sebastián, サンセバスチャン教会、マニラ、フィリピン
マニラ市キアポ地区(Quiapo)にあるBasílica Menor de San Sebastián、サンセバスチャン教会とも呼ばれています。キアポ地区はパシッグ川の河口付近に位置し、Old Downtown of Manilaと言われ、旧マニラの中心部の一つです。同地区には、ブラックナザレ祭で有名なキアポ教会やイスラム教寺院、マニラゴールデンモスクもあり、フィリピンのエネルギーを身近に感じることができるエリアです。
17世紀初にスペインからアウグスティノ会レコレクト派が到着し教会を建立、1617年に聖壇に設置するイメージとしてOur Lady of Mount Carmel像がメキシコからもたらされたそうです。17世紀前半から何回か教会が建てられますが、他の教会と同様に地震や火災の被害を受けたようです。19世紀後半に頑丈な教会を建てたいという想いから鉄製の教会の建築に着手。スペインの建築家Genero Palaciosがスペインのブルゴス大聖堂からインスピレーションを得てデザイン。ベルギーのSociete Anonyme des Enterprises de Travaux Publiques社から約50トンの鋼材を輸入し、ベルギーの技術者のサポートにより組み立てられ、1891年に5代目の教会として完成。
ステンドグラスはドイツのthe Henri Oidtmann Company社から輸入したそうです。鉄製のため塩害影響があり、21世紀に入り、修復が行われているそうです。スタイルはゴシック・リバイバル。フィリピンのNational Historical Landmarkであり、National Cultural Treasure。フィリピンにおいて唯一の鉄製の教会であり、鉄製の歴史的建造物として文化的価値が高く、ユネスコ世界遺産センターに提出する一時的なリストに選定されたり、また、近年では危機に瀕する文化遺産にも選定されているようです。フィリピンでは19世紀末から20世紀初めにかけてスペインの植民地支配からの独立革命が展開されましたが、当時、国力が蓄えられつつあったことが伺えます。
ゴシックスタイルの空高く伸びる尖塔のような鐘楼が特徴的です。総高約32メートル。薄いエメラルドグリーンのような色。
近くで見ると錆のような傷みがわかります。世界的にも鉄製の建物は珍しいと思います。
会堂の中へ。外の明るい日差しに比べ、会堂内部は非常に薄暗い。独特の会堂内部の鉄柱の柱とヴォールトに思わず感嘆の声をあげてしまいます。白飛びしている部分は外に通じる扉部分です。
会堂の左側前方、聖壇エリア。会堂内には修復作業用と思われる櫓がいくつか設置されています。右側に聖壇が見えます。
聖壇は薄い青色と金色の組み合わせ。灰色の内部に合っています。
右側から聖壇方向。こちらも櫓があります。
聖壇の中央部のガラスケースに、青色をバックに黄色の装いに着飾ったOur Lady of Mount Carmel像が設置されています。
会堂後方。おそらく結婚式の準備のためと思いますが、前方の席の一部が白い布でおおわれています。
会堂左側の側廊を前方からのぞみます。扉も鉄製です。
会堂前方のドーム部分の天井。壁面に宗教画のようなものが描かれているのが見えます。鉄柱は鋼材を束ねているようです。特徴的な形状と色合いです。
会堂中央部と後方部の天井。バラ窓が見えます。
立派なステンドグラスが多く設置されています。ドイツ製ですので見栄えやディテールは欧州のクォリティです。鉄製の壁に設置されているステンドグラスは今まで見たことなく、非常に独特です。
会堂の入り口が開き、更に多くの光が入ってきます。
会堂の後方右側にパイプオルガンが設置されています。
再度、聖壇方向を撮ります。聖壇は小ぶりですが、尖塔部分を含めると縦長です。
会堂入り口付近。天井に淡い色合いの素朴な装飾が描かれています。扉だけでなく入り口の外にある雨除けも鉄製です。会堂内には教会の歴史や補修方法の説明パネルや模型等も展示され、危急を伝えています。
敷地内には学校等いろいろな施設があるようです。
会堂の隣の建物へ。1階がオープンスペースのようになっていて教会に関連する作品が展示されていました。
木々の緑と青い空に会堂が映えます。
非常に大きい建物なので全体を入れるため遠方から撮ろうとすると架線が入ってしまいますね。
2018年5月訪問。