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本の位置、心の位置

本の位置、心の位置を知った日

砂鳥ビルの共有地に私の本棚がある。
ひと棚ずつ借りている人が違うので、セレクトされる本も色が異なり面白い。
共有地を訪れた人達が自由に読むことが出来る棚。

新しく選んだ絵本は大きかった。
私の本棚に入れるには大き過ぎて、既にある本の上に載せるしかない。

自分の本棚と離れたところに特定の誰かのものでない、野良絵本棚があった。

そこに入れちゃえばいいのに、なんだか「自分の」棚の方に置きたい。

みんなに読んでもらいたい一心で手に入れたはずなのに、読んでもらいたい100%に実は自分を魅せたい気持ちが含まれていることに気付いた。

100%なら何の躊躇もなく絵本棚に置けるはずだ。その方が色んな人の目につき、よりたくさんの人に届けることが出来る。

物語を届けたい私と、私を魅せたい私の二つが居る。そして「私」は結構強くてびびる。

「自分の」が強く出過ぎず、元々の「物語を届けたい」という気持ちをもとに選べる人間になりたい。

私が野良絵本棚に置くそのとき、それは自分を越えて他者を思えたとき。

絵本の置き方で、自分の心の位置がわかった。

共有地の鍵を締めながらこれに気付き、もんもんとしながらチャリンコを漕いだ。



1ヶ月ほど経った。

絵本タワーにはまだ空席がある。

その空席を眺めているとなんだか、この絵本タワーが寂しそうにしている気がした。

自分の成長という観点だけなら正直まだ置けなかった。
けどこの絵本タワーが寂しがっていると思うと、不思議と置くことへのためらいが消えた。

置けた。

すごく簡単に置けた。

このことで分かったことは

自分が所有する自分に向けた尺度でものを測ると自分サイズしか測れないけど、他の多くの尺度も取り入れることで、そのサイズはとっても大きくなるのだ。

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