移植可能な胚盤胞数の予測

Embryo attrition in planned PGT‐A: predicting the number of available blastocysts for transfer

参照論文
Gordon, C. E., Keefe, K. W., Ginsburg, E. S., Racowsky, C. & Lanes, A. Embryo attrition in planned PGT-A: predicting the number of available blastocysts for transfer. J Assist Reprod Gen 1–9 (2022) doi:10.1007/s10815-021-02365-0.

ART治療において、採卵された卵子は受精卵から胚盤胞の形成、移植胚の決定までに、どうしても減少してしまいます。また胚盤胞生検や胚移植ができない患者もいます。本論文では、患者の母体年齢と2PN受精卵数から、移植可能な胚盤胞数を予測しました。

結果
571人の患者から得た合計746サイクルを解析しました。2PN受精卵<4個(n=85)と2PN受精卵>4個(n=661)の2群に分け、患者の年齢によって層別化しました。2PN受精卵<4個の患者では、2PN受精卵>4個と比べて、採卵数(6.73:18:67)、MII卵子(4.12:14:66)、2PN受精卵(2.36:11:89)、割球期(2.33:11.84)、胚盤胞(1.64:7.79)、生検可能な胚盤胞(1.13:5.07)、および染色体正常胚盤胞(0.33:2.19)が有意に少ない結果でした。また2PN受精卵>4個と比較して、卵子成熟(61.2%:78.5%)と、受精率(57.3%対81.1%)が低い結果でした。一方で、両群とも2pn接合体の割球期(98.7%:99.6%)および胚盤胞期(65.5%:69.5%)への到達率は同等でした。

次に<35、35-37、38-40、41-42、>42歳の年齢ごとに分けて、
2PN受精卵<4個で胚盤胞到達率/2PN受精卵を算出すると、83.3%、69.6%、68.8%、52.0%、66.8%となり、染色体正常胚盤胞数/2PN受精卵は、27.9%、25.0%、10.8%、4.0%、0.0%でした。
2PN受精卵>4個で胚盤胞到達率/2PN受精卵を算出すると、70.8%、65.4%、63.3%、60.1%、52.2%となり、染色体正常胚盤胞数/2PN受精卵は、28.2%、19.7%、13.0%、5.6%、1.7%でした。

考察
割球期到達率は年齢や2PN受精卵数に依存せず、全体として2PN受精卵の96-100%が割球期に到達していました。一方で、胚盤胞到達率や染色体正常胚盤胞数は年齢に相関し、胚盤胞到達率/2PN受精卵は<35歳の83%から41-42歳の52%という値になりました。染色体正常胚盤胞数/2PN受精卵は、<35歳の28%から>42歳の0%までであり、年齢が進むと異数性率が上昇することから予想されるとおりでした。本論文のデータは、予測される患者の染色体正常胚盤胞数から、ART治療開始前のカウンセリング時に治療方針の決定に使用することができるかもしれません。


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