「分かったつもりになるな」
「分かったつもりになるな」
高校の時の現代文のY先生の口癖だ。
Y先生は、校内で1番厳しい先生だった。授業中は常に空気が張りつめていて、授業終了後は肩がガチガチになってしまうほどだ。
Y先生の厳しいエピソードをいくつか紹介しよう。
・必要な筆記用具は、授業が始まる前に筆箱から出しておくこと
・授業中に名前を呼ばれたら「はい」と返事をすること
・新しい単元に入るときは、事前に読み込んで漢字の読みや意味を調べておくこと etc...
厳しいとは言っても、今考えると決して頭の良くない学校の生徒たちが社会に出たときに困らないようにしてくれていたのだと思っている。
話を戻そう。Y先生が表題の言葉をよく使ったのは、生徒が漢字の意味などを間違ったときだ。例えば「彼」という語。授業中に当てられたとき、私は「男の人」と答えた。
しかし、その場での正解は 「あちら側」などそういった意味の方だった。あまりピンと来ないが、「彼岸」という語を考える分かりやすいだろう。
これは高校1年生のときの出来事だから、10年以上も前のことだが未だに覚えている。
もともとは厳しい先生に叱られないように、分かったつもりにならないように調べ癖をつけていた。しかし、その癖が身についてくると、調べ物が楽しいとすら感じてくるようになった。
高校生のときは電子辞書、今はスマートフォンが私の知識を広げてくれる。
この調べ癖は、利用者の調べ物をお手伝いするという私の今現在の職業でも役立っている。
「分かったつもりになるな」
この語は一生私に付き纏う語になるだろう。