徳島市幼保再編計画で考えられる、さまざまな問題
徳島市は9/18の市議会文教厚生委員会で「2035年4月までに15中学校区ごとにおおむね1箇所の市立認定こども園へ統合する」考えを示しました。
内藤佐和子市長が打ち出した徳島市幼保再編計画における問題点を、幼児教育に詳しい徳島市民の方がまとめてくださいました。
徳島市の保育士幼稚園教諭は今後15年でどうなるの?
徳島市の発表にると15年後には市立の幼稚園・保育所ともになくし、中学校区ごとの認定こども園に集約すると発表されました。
けれども令和3年度の徳島市の正規職員の新規採用は
保育士採用予定枠は6人程度
幼稚園教諭は0
となっています。
来年度以降、正規職員の採用は今よりもかなり減ると思われます。
けれども保育士・幼稚園教員は必要です。
そして、退職していく職員の補充などは、再編が完了するまで非正規である「会計任用職員」の募集が増えることが考えられます。
会計年度任用職員は、地方公務員法第22条の2の規定に基づき任用される非常勤職員です。
(参考)
徳島市の会計任用保育士について(令和2年9月11日更新)
・4週7休(土曜日隔週休み、土曜隔週半日勤務、平日1日休み)
・月額170,928~221,089円
・地域手当、特殊任務手当相当額含む
・期末手当(6月、12月)、通勤手当
・規定に当てはまる場合退職金制度あり
・年次有給休暇有(最大年間20日)
・その他育児介護による休暇制度あり(ただし無給)
・健康保険、厚生年金保険、雇用保険あり
https://www.city.tokushima.tokushima.jp/shisei/syokuinsaiyou/shokuin_saiyo/kaikeinendoninyou/r2_hoiku_recruit.html
短時間保育士(令和2年9月11日更新)
朝1
・月曜~土曜 午前7時半~午前10時または午前8時から午前10時半
・給与 日額2,624円~3,395円
・地域手当、特殊勤務手当含む
・通勤手当あり、期末手当なし
・年次休暇あり
・健康保険、雇用保険、厚生年金なし
朝2
・月曜~金曜 午前7時半~午後12時または午前8時~午後12時半
・土曜 午前7時半~午前10時または午前8時から午前11時
・給与 月額112,480~145,489円
・地域手当、特殊勤務手当含む
・通勤手当、期末手当あり
・年次休暇あり
・健康保険、雇用保険、厚生年金あり
夕
・月曜~金曜 午後3時~午後6時または午後4時~午後7時
・給与 日額3,150円~4,074円
・地域手当、特殊勤務手当含む
・通勤手当あり、期末手当なし
・年次休暇あり
・健康保険、雇用保険、厚生年金なし
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/shisei/syokuinsaiyou/shokuin_saiyo/kaikeinendoninyou/part_hoiku.html
待遇も悪く将来が不安定な非正規雇用に、若者が就職を希望をするのか?
「会計任用職員」の任期は更新制であるため、認定こども園の再編が終われば採用がなくなり、それまで勤めた会計任用保育士は職を失う可能性があります
非正規雇用である「会計任用職員」は休暇・給与面といった待遇面が悪く、雇用の継続も確保されていないため不安定です。
今のまま処遇改善をしなければ徳島市の職員として「保育士」として働くことを選択する若い世代が減ることも考えられるのではないでしょうか。
保育士では補えない、幼稚園教諭不足
また「幼稚園教諭」は教員免許更新制度により、免許を取得してからの10年間のみ有効で、期限が切れる前に更新講習を受講しなければなりません。
受講には数万円の費用がかかり、時間も必要です。
また更新講習は「現職の幼稚園教諭優先の受講」となっており、正規職員での人手不足分を会計任用職員で賄うとなると、新しく勤務できる教員は限られてくると思うのですが、きちんと確保はできるのしょうか。
担任業務でなく、加配、休暇要員、預かりなどの補助的教員は、保育士の資格を有していれば勤務可能であるけれど、育休中の教員に代わって保育士が担任を持つなど人員不足による保育士の担任業務は認められていません。
ちなみに今年度の更新講習は既に終了しています。
幼稚園は基本的に定員はなく、入園希望者の数によってクラス数が決定します。預かり保育の延長、3歳児保育の開始による園児数増加に対する人員の確保の予定はどうなっているのでしょうか?
認定こども園には、1号認定、2号認定、3号認定があり、現在幼稚園に通っている園児たちの枠は1号認定となります。
1つの中学校区域に1つの認定こども園に集約していくことにより、それまでその地域の幼稚園に通っていた園児たちの入園先確保の見通しは立っているのかも疑問です。
「1号認定」の枠をどれだけ確保できるのかが明確ではありません。
勝占認定こども園で起こった問題
令和2年度に方上保育所・大松保育所・大松幼稚園を統合し新しく開設された「勝占認定こども園」。
この3つの園の園児たちは優先的に入所可能という話でした。
定員120名で、内訳は1号認定25人、2号認定65人、3号認定30人。
3号認定は新規となり、2号認定はそのまま希望する継続児優先、1号認定は5歳児は大松幼稚園優先、3・4歳児は新規となる予定でした。
1号認定の定員が合計で25人。
3・4・5歳児でそれぞれ単純割りして8人ずつが各年齢の定員となります。
けれども、令和元年度の大松幼稚園の4歳児は定員の8人を超えており、全員が新しい「勝占認定こども園」に入所できなくなりました。
保育所に入所する条件は満たしておらず、入所できなかった園児は近隣の幼稚園に転園しなければなりませんでした。
小学校区が大松小学校になるにも関わらず、就学までの残り1年間、今までの友達と離れ、不慣れな別の幼稚園に転園することは子どもにとっても保護者にとっても大きな精神的な負担です。
そこで保護者から反発が起こりました。
また、幼稚園が変われば、園児服や園児バッグ、体操服などの規定が変わり、出費にもかさみます。
地区ごとの幼稚園・保育所を統合してこども園を計画していく上で、今後も同じようなことが起こりうるかもしれない話だと思います。
八万地区の場合は?
もしこの同規模の認定こども園を八万中学校区に1つ開設するとすると、八万幼稚園、八万南幼稚園の園児たちを1号認定として受け入れることが必須になります。
令和2年度でいうとその園児数は 合計で3歳児39名、4歳児71名、5歳児51人。 認定こども園を民間でいくつ建設しなければならない計算になるのでしょうか。
1つは徳島市で賄ったとして、1つの地域で新しくどれだけの認定こども園がいる計算になるか、 細かい調査や予測が必要だと思います。
ニーズ調査や推定収容人数の調査を、この短期間でしっかり行えたか疑問です。
参考記事
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