内藤市政の代替案は、子育て世代のニーズに合っているのか?
来年度からの市立幼稚園の時間延長を発表した徳島市
8月29日付の徳島新聞で、徳島市は保育所待機児童解消対策として、
来年4月から市立幼稚園7園で保育時間を延長することを検討していると報じられました。
これは、6月議会で内藤佐和子市長が「自らの政策判断」として見直しを決めた私立認定こども園・保育園の施設整備補助事業の代替案となるそうです。
徳島新聞によると、
現在午前8時半〜午後4時半となっている市立幼稚園の保育時間を、
来年度から午前7時半〜午後6時に3時間延長するとのこと。
保育時間を延長する幼稚園は
助任、福島、千松、八万、加茂名、川内北、国府の7箇所。
また、この時間延長と併せて、県外から徳島市の私立保育施設へ就職する保育士に50万円の一時金を支給し、保育士を増やすことも検討していると報じられています。
そもそも幼稚園の時間延長が、待機児童解消となるのか?
「幼稚園」「保育園」「認定こども園」は管轄する省庁が異なり、その目的も大きく異なっています。
「幼稚園」は文部科学省が管轄する「学校」
「保育園」は厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」
「認定こども園」は文部科学省や厚生労働省とも連携しながら内閣府が管轄する「幼児教育・保育を一体的に行う施設」です。
子どもを預ける保護者の立場から見てみるとその違いは明白です。
保育園は就業している親に代わって「保育」を行うところ。
よって保護者が就労していないと預けることができません。
一方、幼稚園は決められた年齢になれば入園することができます。
そして2006年に制度がスタートした認定こども園は保護者が働いている・いないにかかわらず子どもを預けることができます。
《出典》住まいの情報ナビ
https://www.e-life.jp/column/nursery_school_or_preschool/page02.html
保育施設などの利用を希望する場合は、住んでいる市町村から利用のための認定を受ける必要があります。内閣府のホームページに記載されている「認定区分」と利用できる保育施設は下記の通りとなっています。
認定こども園は「次世代育成支援」の施策(=国策)の一つ「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」に基づいて行われます。
内閣府のホームページには、地域の実情に応じて「認定こども園」の普及を図ると記載されています。
《参考》よくわかる「子ども・子育て支援新制度」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/sukusuku.html
今の時代の市民ニーズに合っている...?
内藤市長は、なぜ「幼稚園」にこだわり続けるのか
3月議会で徳島市が決定していたことは「私立認定こども園・保育施設」を7施設新たに創設すること。
総工費約16億円の事業のうち多くは国・県からの交付金などで賄え、徳島市の負担は2億円でした。
4月に新たに徳島市長に就任した内藤佐和子市長は、この補助事業を財政難を理由に既に内示が決まっていた厚生労働省からの交付金を「自らの政策判断」として6月議会で取り止めを決めました。
《参考》厚生労働省からのアドバイス...?
https://note.com/pftokushima/n/n5f3be1a4303b
そうして代替案として出されたのが今回の案です。
保育時間が午前7時半〜午後6時に延長されたとしても、子どもを預ける幼稚園が職場や家庭から遠ければ、この時間内に送り迎えすることは難しいです。
そして、ネックとなるのがお弁当の問題。
現在、徳島の市立幼稚園では給食がないため、毎日お子さんにお弁当を持たせなくてはなりません。それは働く保護者の方々にとっては大きな負担となり、現代の子育て世代のニーズに合っているとは言い難いです。
もし市立幼稚園で給食を提供するとなったら、そのためにかかる費用はイニシャルコスト・ランニングコストも膨大に必要となります。
また、市立幼稚園の教員の人件費は徳島市の税金で賄われます。保育時間延長や新規雇用が増えると、退職金も含めて生涯賃金として徳島市が職員に支払う費用はこれまで以上に増えることになるのではないでしょうか。
とすれば、「財政難」を理由に民間保育施設の補助を取りやめた内藤佐和子市長の政策との整合性が図れません。
なぜ内藤市長はここまで「幼稚園教育」にこだわり続けるのでしょう...。
市民の声
この報道を受けて、Twitterでは徳島市政に関心を寄せる多くの方々から冷静な批判の声が多く寄せられました。
内藤市長にはこういった子育て世代の市民の声はきちんと届いているのでしょうか。そして9月議会では今後の保育事業に関してどのような発言を行うのでしょうか。
内閣府のホームページには以下のようにも書かれています。
待機児童問題は解消されるのですか?
新制度ではお住いの市町村が、今は働いていないが保育所に入ることができれば働きに出たいというような潜在的なニーズを含め、地域の幼児教育・保育のニーズを基に「事業計画」を策定し、受け皿の確保を計画的に進めています。
国においては、平成25年度(2013年度)から「待機児童解消加速化プラン」により、保育の受け皿整備に取り組んできました。 平成30年度(2018年度)からは、これまで以上に1、2歳児の受け皿整備を強力に進めるため、新たに「子育て安心プラン」による取組が開始されます。本プランでは、意欲的な自治体を支援することにより、保育の受け皿をさらに増やし、遅くとも平成32年度末までの3年間で全国の待機児童を解消することを目標としています。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/sukusuku.html#chiikishien
"これまで以上に1、2歳児の受け皿整備を強力に進めるため"との記述がありますが、徳島市の市立幼稚園の入園は3歳児以上。
そして、平成32年度末..つまり2021年3月末まで、あと7ヶ月。
果たして徳島市の待機児童は解消されるのでしょうか。
参考資料
内閣府「認定こども園概要」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html
文部科学省「認定こども園について」https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200601/002/002/001.htm
【幼稚園・保育園・認定こども園】通わせるならどっちがいい?ワーママにはどちらが便利?比較してみた(しゅふJOB)
https://part.shufu-job.jp/news/solution/8990/
幼稚園と保育園は何が違うの? 両園を知る先生に聞いてみました(mamari)
https://mamari.jp/23241
令和2年度 保育所・認定こども園等の利用申込みについて(徳島市)
https://www.city.tokushima.tokushima.jp/kosodate/youchien_hoikujo/hoikusho_n-kodomoen/r2_tousho.html
市内の幼稚園一覧(徳島市)
https://www.city.tokushima.tokushima.jp/kosodate/youchien_hoikujo/youchien_shinai/ichiran.html
2020年8月30日現在、最終更新日は2019年10月25日。
備考欄には以下のように記載されています。
大松幼稚園→令和2年度 勝占認定こども園に統合
不動幼稚園→令和元年度は休園
北井上幼稚園→令和2年度 北井上認定こども園に統合
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?