内藤市政に予算を大幅減額された「とくしま動物園」のいま
ホッキョクグマのイワンが死亡
2021年12月20日、ブリーディングローンで旭山動物園から2020年に徳島動物園からやってきたホッキョクグマのイワンが亡くなりました。
亡くなる数日前には動物園の来園者が撮影したイワンが苦しそうに吐瀉をする姿が公開され、動物園の対応に注目が集まっていました。
徳島市やとくしま動物園には全国のホッキョクグマファンから多くの問い合わせがあったようです。
問い合わせをした方に、とくしま動物園からは届いたメールには24時間警戒体制で待機していることを伝えるとともに、
というコメントが書き添えられてあったそうです。
12/20に徳島市のホームページでイワンの現状についてお知らせが掲載されました。
けれども翌朝12/21、このページは削除され、徳島市のホームページではイワンの死亡が発表されました。
減らされた動物園予算
内藤市長は「繁殖に挑戦する」とは言っていたけれども
とくしま動物園にはイワンの他に、同じくブリーディングローンで北海道の円山動物園からやってきたメスのポロロがいます。
昨年1月にポロロのブリーディングローンの契約が切れる予定でしたが、新たに2年間延長。
そして、内藤市長は記者会見で「希少動物のホッキョクグマは日本での飼育頭数も少なく、飼育下での繁殖は非常に難しいとされますが、2世誕生を期待しつつ、大切に育てていきます」と述べました。
内藤市長の言葉通り、ホッキョクグマの繁殖はとても難しく、ホッキョクグマの習性に合わせた出産・育児ができる環境を整える必要があります。
例えば、野生のホッキョクグマは雪に穴をほって出産に備える習性があります。
妊娠したホッキョクグマはとても神経質になるので、暗闇で篭れるようにする必要があります。
2020年の11月に赤ちゃんが誕生した天王寺動物園では、獣舎に木製の産室を設けて、こもらせる準備をしていました。
コロナ前にホッキョクグマのバックヤードを見たことがある市民の方の話によると、「狭い寝室が2つ並んでるだけだった」とのこと。
そして「産室を設置する環境は整えられていたのでしょうか」と述べておられました。
交配し、出産期を迎えた時に備え、こうした産室を設置する環境は整えられたいたのでしょうか。
内藤市政になって大幅に減額された動物園予算
とくしま動物園は、徳島市によって運営されています。
内藤市長になって、この運営費が随分と減っていることをみなさんご存知ですか。
遠藤市政の最終年より5000万円近い減額となっています。
同じ四国の動物園の予算を令和2年度で比べてみると
愛媛・とべ動物園→約6.5億
高知・のいち動物公園→約4.7億
と、とくしま動物園より遥かに多くの予算が使われています。
徳島活性会議の佐々木市議の質疑
また、内藤市長に非常に近しい市議会会派「徳島活性会議」の佐々木昌也市議は、昨年の6月議会の質疑でこのように述べました。
この質疑がどのような意図を持ってなされたかは分かりませんが、動物園運営に関わる費用を「徳島市民の負担」と感じられているようです。
とくしま動物園は現在の徳島新聞社の東側に1957年開園。
そして1998年に徳島市郊外の方上町・渋野町に移転し、四国最大級の動物園となりました。 2013年には入場者数がのべ400万人を超え、徳島市の観光スポットの一つにもなっています。
大切に育て、必要な情報発信をしていくことで、さらに充実した徳島市の観光資源となるのではないでしょうか。
次々に亡くなる希少動物
内藤佐和子さんが徳島市長に就任したのが、2020年4月。
それ以降、とくしま動物園ではホッキョクグマのイワン以外にも希少動物が次々と亡くなりました。
2020年9月、マサイキリンのイッペイ死亡
国内では希少であるキリンのイッペイが亡くなりました。
死因は老衰とのこと。
亡くなったてから過長蹄の治療のことが初めて公表されました。
2020年12月、アムールトラのヒロシ死亡
秋田市大森山動物園から2020年7月に貸与されたばかりだったアムールトラのヒロシは、12月に命を落としました。
アムールトラは暑い夏は水に浸かって体を冷やし体調を調整します。
愛知県の東山動物園では、水をたっぷり用意してアムールトラの暑さ対策をしている様子が報告されています。
けれども、とくしま動物園に通っておられるファンの方によると、タイガー舎の水場であるモートが壊れていても修理がなされず、ヒロシは水に浸かることができなかったと言います。
2020年は酷暑が続きました。
2021年7月、セイロン象のマリーが死亡
2021年7月にはセイロン象のマリーが亡くなりました。
マリーは31歳でした。
セイロン象は寿命が長く、飼育下では60~80年程の寿命があると言われています。
亡くなった翌日の徳島市のホームページの発表によると以下のように記載されていました。
マリーが住む象舎の日除けの屋根が台風で飛んでいたけれども、修理がなされなかったそうです。
突然マリーが亡くなったのは一年で最も暑いと言われる「大暑」でした。
2022年1月、シオザルのマコトが亡くなる
そして最近では、今年の1/18にシオザルのマコトが肺炎で亡くなったそうです。
その他にも、体調が不良な動物たちの近況が知らされず、動物園ファンの方々は心配しておられます。
適切な情報開示が求められています。
動物に必要な整備ができないのになぜ予算をカット?
動物園の予算を大幅に減らした内藤市政。
予算が十分とれないことは動物の環境整備に大きな影響を与えます。
動物園予算は積年の課題です。
遠藤時にはクラウドファンディングにも挑戦し、広く支援を募ってミーアキャットの住居を整備することができました。
こうした「みんなでつくるとくしま動物園プロジェクト」は、内藤市政にはうまく引き継がれていないように感じます。
飼育スタッフ不足も予算不足から?
昨年末から今年の初めにかけて、とくしま動物園では「会計年度任用職員」の飼育員の募集がありました。
「会計年度任用職員」とは会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)を最長の任期として任用され、正規職員が行う各種業務の補助を行う非常勤の地方公務員のことです。
1年ごとの契約で"再度の任用はあり得る"とされていますが、長期的に必ずしも雇用が保障されるものではありません。
とくしま動物園では正規職員が退職した後、こうした「会計年度任用職員」の補充のみが繰り返されてきたと言います。
こうした雇用形態だと、高度な専門知識を要し、危険も伴う動物飼育に関わる専門職員を育てることは難しいでしょう。
全国から届く悲しみの声と、
徳島市の動物園運営に対する批判
アムールトラのヒロシ、セイロン象のマリー、ホッキョクグマのイワンと希少動物の死が続き、イワンの死後SNSには全国のファンから徳島市の動物園運営に対する厳しい批判の声が上がっています。
現在動物園にはイワンの献花台が設けられて、今なお全国から多くの花が届けられています。