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かおる奥様ストーリー③
「かおるさんか…」
一時の衝動で利用するのは流石に気が引けるという理由で一日考えてみたが、翌日も気持ちは変わらなかった。相変わらず彼女のことがどこかに引っかかり、ふとした瞬間頭の中に現れるのだ。幸い仕事が休みだったため、電話をかけるには良い時間だ。まだしばらく迷った末、俺は店の電話番号をプッシュしたのだった。
「内緒の関係でございます」
コール音が二度も鳴らないうちに担当者が現れ、よく通る声で返事をした。予約を入れたいという旨を説明すると、嬢を選ぶ手伝いまでしてくれるようだ。
「かおるさんという子が気になってるんですが…」
「かしこまりました。スケジュールを確認いたします」
俺も手元の手帳を眺め、空いている日をいくつかピックアップした。どれも妻は買い物に行く予定があり、家には俺一人だけという日だ。幸いかおるさんの出勤日と被っていたため、俺はすんなり彼女と待ち合わせる機会を手に入れることが出来た。
「それでは、120分即尺コースでお取りいたします。ご予約ありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます。よろしくお願いします」
電話を切った後の自分の顔は、いつもより少し明るかった。鏡に反射する笑顔を眺めた後、俺は好きな子とデートの約束を取り付けた頃のことを久々に思い出すのだった。