なつめ奥様ストーリー③
ショートカットがよく似合う、という店の宣伝文句に偽りはなかった。
顔の輪郭がよくわかる髪型だからよく見えるのだが、すっきりした顔の稜線が実に美しい。
すらりとした首筋。ほっそりした華奢な肩幅。柔らかそうな胸の膨らみ。しなやかに伸びる手足。
そして、透けるような白い肌。キラキラした瞳。それでいて、大人びた妖艶な雰囲気。
美人若奥様という言葉がこれほど似合う女性は、そうはいないに違いない。
どこを見ても若々しくて、さぞかし最近の若者らしいキラキラした趣味をしているのかと思えば。
「え? 落語?」
「そうなんです。生で見るのが好きで!」
「へぇ……すごいなぁ。そういえば、せっかくこっちに来たのに、そういうのには触れてないなぁ……」
「ぜひ一度ご覧になってみてください! YouTubeにも色々動画あがってますし!」
躊躇なく動画サイトを薦めてくる辺りは若者らしいが、実に渋い趣味だった。
正直最初はそこまで興味も持てなかったのだが、なつめさんがとても楽しそうに話してくれるので、興味が湧いて来た。
(まだ単身赴任生活は暫く続くことになるし……新しい趣味、っていうのも悪くないな)
デリヘルを利用しに来たのに、思いがけないところで得るものを得てしまった私だった。