24/25シーズンドリッテリーガ 前半戦振り返り
2024/25シーズンドイツ男子プロサッカー3部リーグ 3.Liga(以下:ドリッテリーガ)も年内最終戦だった第19節が終わり、ウィンターブレイク期間へ突入した。本記事ではドリッテリーガの前半戦に起こった印象的な出来事を振り返る。シーズンの昇格・降格が決まったクラブの総括はシーズン終了後に総括として振り返る予定のため、その点はご理解いただきたい。
前半戦感想
前半戦終了時 順位表
リーグ前半戦終了時の順位表は以下の通りとなった。
ディナモ・ドレスデン、コットブスが少し他チームとの差を開けて自動昇格圏に鎮座しており、ザールブリュッケンやビーレフェルトらがそれに続く。昨シーズンの前半戦同様に2チームが頭一つ抜けており、他チームがそれを追うと言った構図となった。
昨シーズンはレーゲンスブルクが勝ち点42で1位、ドレスデンが勝ち点40で2位で、3位ウルムとは勝ち点差が7となっていたのだが、その2チームは後半戦には大失速。ドレスデンに至っては昇格を逃すこととなったが、今シーズンは逃げ切ることが出来るだろうか。
降格圏はハノーファーII、エッセン、オスナブリュック、ウンターハヒンクの4チームになっている。個人的な印象であるが、この4クラブはチーム全体としての力強さこそ上位クラブと比較すると物足りなく感じるものの、上位クラブに匹敵する個の力を持った選手がおり、まったく油断が出来ないチームといった印象がある。ハノーファーIIを除く3チームは監督交代をしており、ウインターブレイク後は改善され整備されたチームとなっているかも知れない。
前半戦ベストイレブン
ヴィースバーデンやウニオンベルリンでプレーをしたスティーブン・ルプレヒト氏が挙げたドリッテリーガの前半戦ベストイレブンがこちら。
https://www.instagram.com/p/DD9WuEHsTg0/?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
4部からの昇格チームながら大健闘の2位で前半戦を折り返したコットブスから3名、ポカールでも快進撃を続けている4位ビーレフェルトから2名が選出されたほか、ドレスデン、エッセン、ドルトムントII、ザールブリュッケン、ヴィクトリアケルン、ヴィースバーデンから1名ずつ選出された。
概ね筆者としても前半戦で良いと感じたビーレフェルトのオッピーやコットブスのベトケ、ヴィースバーデンのカヤらが選出されており、ドリッテリーガファンとしては同意出来る信頼性の高いラインナップとなっている。
また、前半戦の最優秀監督としてドイツ男子プロサッカー界初の女性監督であるインゴルシュタットのサブリナ・ヴィットマンが選出された。クラブの順位は5位であるが、多数の主力選手が怪我で離脱していく中、若手選手を中心に立て直しを図り見事にチームを復調させた功績が評価されたのだろうと思う。
私個人としては、贔屓クラブがドリッテリーガにいるため前半戦ベストイレブンの選出は避けさせてもらうが、ルプレヒト氏のベストイレブン選外の中から良かった選手としてコットブスのFWシゲルチ、エッセンのMFアルスラン、ウンターハヒンクのGKハイデ、ハンザのDFナイトハルトを挙げておく。
5名の日本人選手についての所感
24/25シーズンのドリッテリーガでは、計5名の日本人選手がプレーした。各選手のシーズン前半戦を振り返る
①チェイス・アンリ(VfBシュツットガルトII)
今シーズン、シュツットガルトIIでは1試合に出場し1アシストを記録。
もはや言わずもがなだと思うが、現在は主にトップチームで試合に出場しており、レアルマドリード戦ではチャンピオンズリーグデビューも果たした。DFBポカールのレーゲンスブルク戦ではトップチーム初ゴールも記録。
1試合のみの出場なので今シーズンのドリッテリーガでの印象としては特にない。トップチームでの印象としては、守備時の対応は申し分ないがボール保持時のボールの付け所やパス精度にやや物足りなさを感じたが、これからの期待感を感じる選手と言った印象。
②上月壮一郎(1860ミュンヘン)
今夏にシャルケより1860ミュンヘンへ移籍。主に左サイドのウイングとしてプレーしており、移籍市場終了間際での移籍だったことによりシーズン途中の加入となったが、リーグ戦14試合に出場し2ゴール1アシストを記録している。
印象としては、個人の力は申し分ないがチームが無秩序な状態となっており、左サイドで1人少し浮いてしまっている状況であった。また、頑張る気持ちが高じてか、PKの献上と足裏を向けたスライディングによる退場処分をそれぞれ一度ずつ受けており、彼の頑張る強い気持ちが裏返ることもあった。
1860ミュンヘンのサポーターが現監督であるジャニキス氏の解任を強く訴えており、リーグ戦19試合で7勝3分9敗、中でもホームでの9試合では2勝1分6敗とチームの成績も芳しくないため、監督交代によりチームが変わる可能性も有り得る。監督交代次第では状況が良い方向か悪い方向のどちらかに大きく変わるかも知れない。
③水多海斗(アルミニア・ビーレフェルト)
昨シーズンに引き続きビーレフェルトでドリッテリーガに出場しており、今シーズンは16試合に出場。だが、昨シーズンとは打って変わって出場機会がかなり激減しており、リーグ戦でフル出場した試合は0。ジョーカーとしての役割を担っていたため途中出場が主であったが、14節以降は出場機会が無く、17節以降に限ってはベンチ外となってしまっている(ベンチ外に関しては公表されていないだけで負傷があったのかも知れない)。
個人の出来としては昨シーズンの彼を知っているとどうしても物足りなく感じてしまった。ビーレフェルトの3トップも面子が固まっており、かつ現状の3トップ+αで結果も出ている状況の中、出場機会を得ていくのは厳しいかも知れない。
また、地元紙ではビーレフェルトは前半戦4位ながらも『個人の力で得点を獲るケースが多く不安定である』との見解を受けており、冬の移籍市場で数名獲得が必要だとされている。水多は放出候補の1人に挙げられており、後半戦では環境を変える可能性も有り得る。
上記は昨年に執筆した内容であったが、1/12現在ビーレフェルトは水多を放出候補としており、スイスクラブと交渉中と現地メディアにより報じられた。また、水多がチームに戻る可能性は高くないだろうともコメントされている。
④松田隼風(ハノーファー96 II)
レンタル移籍初年度であった昨シーズンもチームの主力として出場し3部昇格に貢献し、昨シーズンの結果を受けレンタル契約延長を勝ち取った今シーズンもチームの主力選手として前半戦は18試合に出場(欠場した試合は退場処分によるサスペンションによる試合のみ)。
印象としては、チームに不可欠な存在になっている。主に4-2-3-1の左サイドバックとして出場しているが、時には攻撃性能を買われ左サイドウイングや右ウイングを務めることもあり、戦術や対戦相手によって臨機応変にポジションが変わり出場している。セカンドチームであるが故にチームの戦績は不安定で芳しくないものの3アシストを記録した。レギオナルリーガ、ドリッテリーガでの経験を糧に買取オプション行使&トップチーム昇格を現実的に感じさせるような前半戦のパフォーマンスだった印象。
⑤花城琳斗(VfBシュツットガルトII)
2024年の1月に加入。松田選手同様、4部リーグに所属していたチームが昇格し、今シーズンがドリッテリーガ初挑戦となった。
出場試合としては4試合のみとなっており、出場時間も60分と短いものになっている。リーグ戦序盤はベンチ入りする機会が多かったが、9節以降はベンチ外が続いている。怪我人がいたことにより多少変動はあったものの、中盤のポジションの選手はスタメンがほぼ固定化されており、ウインターブレイク明けにポジション争いに加わるのも厳しいと思われる。
出場時間が短いため評価はし難い。シュツットガルトIIも残留できるかどうか怪しいので恐らく面子を入れ替えるようなことはしないと思われる。主力選手の負傷や移籍、トップチーム昇格など何かキッカケが生まれない限りは現状のまま今シーズンを終えることになりそう。来シーズン以降に期待したい。
印象的だった出来事
賭博不正目的で過去2年間の数試合に結果改ざんの疑い。ドリッテリーガの試合もその対象として浮上
ドリッテリーガが開幕したばかりの9月に、 現地日刊紙ハンブルガー・モルゲンポスト(通称:MOPO)より『賭博不正利用による結果の改ざん疑惑』が報じられた。その対象となる試合は、2022年11月以降のドイツ男子2部リーグから5部リーグまでの計17試合が影響を受けていたとされている。
また、過去のシーズンだけではなく、今年の8月に行われた試合も対象となっていたのではないかと言う疑惑が浮上した。
MOPOは現在もドリッテリーガで賭博による結果の改ざんが行われたか調査を進めている。MOPOのロビン・マイヤー氏の記事では、「先週末、MOPOはドリッテリーガで行われる2試合について試合開始前に情報提供者から極秘の情報を受け取り、その2試合の結果を知らされた。数時間後、対象の試合が終わり、どちらのゲームも情報提供者の言葉通りに結果が終わったことが明らかになった。」 と書かれている。対象の2試合は、アレマニア・アーヘン対ヴィクトリア・ケルン(1-0)とSCフェール対エネルギー・コットブス(0-3)のカードである。
だが、これについては前者が対象であるかどうかは定かではないが、後者についてはフェールの選手がポスト直撃のミドルシュートを放ったり、オフサイドの判定になったもののネットを揺らすことがあったことから疑惑が薄いのではないかとされている。
また、アレマニア・アーヘンは「クラブとして、この疑惑については何の兆候もない。また、現在連邦刑事警察局で捜査している内容について公にコメントすることはできない」と答え、八百長関与への疑惑を否定している。
昨シーズンより誤審数が増加する傾向にある今シーズン。VAR導入へ声が上がる
元FIFA審判員のババク・ラファティ氏は、現地情報サイト『liga3-online.de』 で毎試合、週末に物議を醸した審判の判定を分析している。詳細な内容は下記を参照したい。(日本で言うところの元FIFA審判員の家本さんがnoteでやっているようなもの)
ラファティ氏によれば、19節終了時点で誤審の数は127件。1節あたり平均6.7件の誤審があったと評価している。内訳としては、PKに関する誤審(誤ってPKを与えるまたはPKが与えられない)がおよそ半数となる65件、ゴールに関する誤審(誤って取り消されたまたは認められなかった)が31件、退場処分に関する誤審(誤って退場となったまたは退場とならなかった)が31件となっている。これは前シーズンの1節あたりの平均誤審数5.2(シーズントータル198件)と比べるとかなり数が増えている。
ドリッテリーガでは過去数シーズンでVAR導入については難色を示すファンが数多くおり、割合としてはVAR導入否定派がVAR導入賛成派よりも数が多かったが、今シーズンのラファティ氏の分析結果を受け、ファンの間ではVARを求める声が多くなっている。
ドリッテリーガのVAR導入における最大の欠点としてコストが挙げられている。その費用はクラブが負担しなければならない上、VARを介してすべての試合をカバーできるようにするには追加の審判員が必要となり、これにも当然コストがかかる。更に、ドリッテリーガではブンデスリーガや2.ブンデスリーガよりも遥かに少ない台数のカメラで中継されているため、カメラ台数増加のための工事が必要となる場合も有り得る。
VAR導入に対する議論についてドリッテリーガのトム・エイラーズ委員長は、「3部リーグは『誠実さ』と『純粋なフットボール』を象徴しているが、ビデオ証拠の導入により、完全に誠実ではなくなってしまうだろう。」と述べ、「また、ドリッテリーガは『審判のトレーニングリーグ』としての側面がある」と続けた。
現地メディア曰くドイツ国内ではVAR導入に伴うアウトオブプレー時間の増加に不満を持つ人が多くいる。『アウトオブプレー時間の増加と導入コスト』と『判定の正確さ』を天秤に取り、ドリッテリーガはVARを導入するか否か判断しなければいけなくなるため、個人的にはドリッテリーガのVAR導入には時間がかかると予想しておく。
試合開始後11分で1名の負傷による2枚の選手交代。セカンドチームの制約による珍事の交代
その出来事は、第7節エッセン対ドルトムントIIのカードで起こった。前半11分でドルトムントIIのイェッセンが相手選手の肘が顔面に当たり負傷退場した。だが、それに対しツィマーマン監督は1枚ではなく2枚の交代カードを切ることになった。
それも、2枚の交代カードを切った理由は『プレーが不出来な選手がいたため』でも『ポジション移動に伴う交代』でも、『イエローカードを受けている選手がいるため』ない。あくまで、イェッセンの負傷交代に伴う交代だった。
では、なぜ2枚の交代カードを切ったのか。
ツィマーマン監督が1名の選手の負傷退場により2枚の交代カードを切ったその理由は、ドリッテリーガのセカンドチームの規定により、『U-23チームで、24歳以上またはシーズン中に24歳になる23歳の選手の同時にピッチに立てる数が3以下でなければいけない』と課せられているからだった。
負傷したイェッセンは右サイドバックの21歳の選手だが、ドルトムントIIのベンチにはディフェンダーはセンターバックの21歳レルエと右サイドバックの31歳ゲベルのみだった。また、スタートで出ている選手で右サイドバックで出場経験のある選手は(恐らく)おらず、ツィマーマン監督はイェッセンに代えてゲベルを投入。しかし、既に23歳以上の選手が3名(FWエヴァーバイン(28歳)、MFアジル(23歳)、GKロトカ(23歳))ピッチ上に立っており、そこにゲベルを投入すると23歳以上の選手が4名となってしまい、規定に反することとなってしまう。
そこで、ベンチ内にディフェンダーの選手数が少なく代えの利かない右サイドバックに31歳のゲベルが入り、FWで出場していた28歳のエヴァーバインを下げて23歳のエロンゴ・ヨンボ(シーズン中には24際にはならない)を投入した。斯くしてツィマーマン監督は2枚のカードを切ったのだった。
『試合開始後11分で1名の選手が負傷したが、監督は2枚の交代カードを切った。なぜか?』と、ウミガメのスープのお題のような、起こった出来事だけを並べてみると奇妙な珍事であった。
相次ぐ『X』離れ。ドリッテリーガからは2クラブが離脱
昨今、ドイツ男子プロサッカー1部・2部リーグでは、クラブ公式『X』アカウントが情報の発信を停止し、別のソーシャルサービスである『BlueSky』へ移行するクラブがちらほら出始めている。ブレーメンやザンクトパウリなどが既に『BlueSky』への移行をし、『X』アカウントの動作が停止されている状態となっている。
ドリッテリーガではどうかと言うと、今シーズンはハンザとビーレフェルトの2クラブのみが『X』からの離脱を発表している。
現状、Xでアカウントが動いているクラブは以下の13クラブとなっている(英語圏用アカウントがあるクラブも存在するが、ドイツ語アカウントのみを対象とする)
ザールブリュッケン(https://x.com/ersterfcs)
コットブス(https://x.com/Nur_Energie)
インゴルシュタット(https://x.com/Schanzer)
ハノーファーII(https://x.com/96Akademie)
(メインはセカンドチーム(U-23)だが、稀にU-19等の情報も発信)フェール(https://x.com/SCVerl)
ドレスデン(https://x.com/DynamoDresden)
ザントハウゼン(https://x.com/SV_Sandhausen)
マンハイム(https://x.com/svw07)
ヴィースバーデン(https://x.com/SVWW_official)
シュツットガルトII(https://x.com/jungundwild)
(U-19、U-17等も同一アカウントで兼用)オスナブリュック(https://x.com/VfL_1899)
アカウントが存在するが発信を停止しているクラブは以下の7クラブとなっている。
ビーレフェルト(https://x.com/arminia)
ウンターハヒンク(https://x.com/Haching_1925)(https://x.com/Haching1925)
ドルトムントII(https://x.com/BVB_Amateure)
(日程発表等を稀にトップチームアカウントからも発信)ヴィクトリアケルン(https://x.com/viktoria1904)
1860ミュンヘン(https://x.com/TSV1860)
正式に発表したのはハンザとビーレフェルトのみで、ウンターハヒンクや1860ミュンヘン等は離脱と言うよりは失踪が近い状態となっているため、ひょんなタイミングで復活する可能性があるが、新旧2アカウント共が停止中のウンターハヒンクなんかは望み薄だと思われる。
また、忘れてはならないこととして、ドリッテリーガ公式『X』アカウントも発信を停止している(アカウントは既に削除されている)。
そのため、筆者としては、ドリッテリーガの情報収集は『Instagram』の利用を推奨する。が、ファンの声を聞きたい場合は『X』が便利なため、一か所で情報を集められないのが何ともやるせない現状である……。
アウエvsコットブスのオストダービー。伝統的なクラブ同士の対戦は厳重態勢の中で開催
アウエとコットブスの東部ダービーがおよそ9年ぶりに実現した。
敵対関係のあるこの対戦カードは、前回対戦時に暴動や警察への暴力が起こり数名の負傷者を出していた。そのため、エルツゲビルグスクライス地区事務所はゲームが危険であると判断し、11節アウエホームでの対戦時は厳重態勢が敷かれ、『公共の安全と秩序を維持するための、2024年10月22日付けのエルツゲビルゲスクライス地区事務所の一般命令』が命じた。
試合当日の午後2時から午後11時までの間、スタジアムの半径数キロメートル以内で旗竿、野球バット、ナイフ、ハサミなどの物品の持ち込みを禁止。また、防護ベスト、プロテクターと防具、目出し帽、オーバーオールも禁止され、一般命令への違反は罰せられる犯罪であると注意を呼び掛けた。
肝心の試合はと言うと、アウェイチームのコットブスが3得点を奪い1-3でアウエに勝利した。厳重態勢が敷かれていることもあり、発煙筒を焚く以外に特段危険な出来事は起きていなかったが、コットブスが3得点目を奪った後半ATに事件が起こった。
試合終了直前に、コットブスファンが隣接するアウエファンの居るブロックに発煙筒を投げ込み、その投げ入れられた発煙筒がアウエファンに直撃した。それに怒ったアウエファンがコットブスファンの居るブロックに乗り込もうとしたが、警察により阻止され揉みあいとなりゲームが一時中断するなどした。試合終了後も騒動は収まらず、今回も警察官が負傷したと発表している。
また、前半戦だけでもアウエ対ハンザでもアウエのファンがハンザの従業員を殴り倒す騒動が起きていたり、ハンザ-ドレスデンでもハンザサポがドレスデンサポへの危害を加えようとしていたとして試合前に計159名が逮捕されたりと、東部ダービーはカオスを極めていた……。
下記にアウエ-コットブスのオストダービーの両チームゴール裏の様子を収めた動画を共有しておく。
過去にフリッツヴァルターメダルで銀メダルを獲得したジョーダン・マイヤーが22歳でキャリアを引退
ジョーダン・マイヤーは2019年の夏にキャプテンとしてU-17ドイツ代表として欧州選手権に出場し、その後フリッツヴァルターメダル(ドイツサッカー協会がユースカテゴリーでプレーする優秀なドイツ選手に贈られる賞)で銀メダルを受賞した。
そんな将来を渇望される彼だったが、数度に渡り重度な負傷に見舞われる。2019年秋に十字靭帯断裂、2020年11月に半月板断裂。その後、2021年秋と2022年春に次の半月板損傷と彼のキャリアに負傷が付き纏った。
23/24シーズン途中には膝を負傷しつつも計18試合に出場し4部に所属していたチームの優勝&3部昇格に貢献。昨シーズンを終え、彼は「今年の初め(膝の負傷後)に、自分の体が回復できないところまで来ていることに気づいた。そこで私はこの夏、自分と自分の体を守り、重い心でこのレベルでサッカーをするのをやめなければならないと決心した」と語った。
そして、若手選手へのアドバイスとして、「自分の体をよく知り、細部に注意を払うことが重要です。私のように何度も怪我をしたとしても、精神的に強くなって夢に向かって努力し続けてください。それでもうまくいかない場合でも、それは問題ではありません。人生には他にも楽しむことができる美しいことがたくさんあります。」とコメントした。
【番外編】あの人は今・・・
ドリッテリーガでは多くのトップリーグ経験者もプレー/指揮している。今回は番外編として、今シーズン在籍している比較的有名(個人的感想)なトップリーグ経験者計6名を紹介していく。
①スヴェン・ベンダー(現・ウンターハヒンク アシスタントコーチ)
かつてドルトムントやレヴァークーゼンでプレーしていたベンダーは今シーズンからウンターハヒンクのアシスタントコーチに就任している。
16節でマルク・ウンターベルガー氏(前・ウンターハヒンク監督)が解任となった際には、3試合のみチームの暫定監督を務めた。その後、S級コーチングライセンスが未取得であるためアシスタントコーチに戻っている。
余談であるが、双子の兄のラースは今冬より4部ヴァッカー・ブルクハウゼンの監督を務めている。
②ハイコ・ヘルリッヒ(現・ウンターハヒンク 監督)
16/17シーズンにレーゲンスブルクで4部→3部への昇格と3部→2部への昇格を2年連続で決め、その後その実績を買われ1部レヴァークーゼン、アウクスブルクで監督を務めたヘルリッヒは今冬に過去にも指揮を執ったことのあるウンターハヒンクの監督に就任している。就任後コメントではチームの残留について『残留は昇格することと同じくらい困難な試練。(残留は)難しいが可能だ』とコメント。
③テレンス・ボイド(マンハイム所属)
ライプツィヒ、ダルムシュタット、ラピッドウィーン、カイザースラウテルン等でプレーしていたボイドは33歳となった彼の得点感覚は、今でも健在となっている。19/20シーズンにハレシャーに移籍して以降は毎シーズンで10得点以上を記録しており、今シーズンも負傷しつつも前半戦で6得点を挙げている。
④セバスチャン・ヴァシリアディス(ザールブリュッケン所属)
パーダーボルン、ビーレフェルトの2クラブで1部ブンデスリーガでのプレーを経験のあるヴァシリアディスは今シーズンよりザールブリュッケンに加入。シーズン前半で数度負傷に見舞われるも、昇格に向けひた走るチームの主力として貢献している。
⑤ヨハネス・ガイス(ウンターハヒンク所属)
マインツやシャルケ、セビージャでプレーしていたガイスは、昨シーズンを終えニュルンベルクを退団した後は無所属が続いていたが、今秋にウンターハヒンクへ加入。途中加入以降は全試合に出場しており、残留に向けチームに欠かせないピースとなっている。
⑥マルセル・シュメルツァー(現・ドルトムントII アシスタントコーチ)
ドルトムントのレジェンドの1人であるシュメルツァーは今シーズンよりドルトムントIIのアシスタントコーチに就任。ツィマーマン監督の右腕としてチームを支えており、前半戦を11位とセカンドチームであることを考慮すると良い位置で折り返した。
前半戦を終えた所感
大体の感想はこれまでに記載した通りだが、今シーズンはいつにも増して監督や選手が審判を批判する記事(特に古豪クラブの)をよく見た気がする。実際にドリッテリーガを観ていて、「これノーファウルなんだ」「これ止めちゃうのかー」と思うシーンもあったが、それほどまでに例年と比べ判定基準が酷いとは感じなかったので、こんなニュースで溢れていて悲しいなと感じている。(もちろん全カードを観れている訳ではないので酷いと感じないのかも知れない)
もちろん先に挙げた通りコストはかかるしVARですべてが解決する訳ではないけれど、VAR導入によりファンやクラブ関係者からの攻撃が止み、レフェリーのメンタルが安定し落ち着く状況になるのであれば、それはそれは嬉しいなと思う。
あとは(主に東部で)暴行事件だったり危険物の投げ入れだったりが多く負傷者を出したり警察が出動したりの騒動が多かった印象。発煙筒はドイツの日常だとして、1部みたくテニスボールやチョコレート投げ入れならまだ可愛いんだけども負傷者出ちゃったりしてて悲しくなってしまったのでこの記事での紹介はアウエ-コットブスのダービーの出来事だけにさせてください。シーズン後半戦は良いニュースが溢れますように。
最後に。ウインターブレイクで監督交代があり、後半戦からイェンス・ヘルテル(アウエ)、ケナン・コチャック(ザントハウゼン)、ヘルリッヒ(ウンターハヒンク)が指揮を執ることに。アウエ、ザントハウゼンは期待を裏切らないために昇格へ向け、ウンターハヒンクはとにかく残留のため新体制に舵を切ったのがどう出るか楽しみ。
また、ドリッテファン御用達の3.liga-onlineにて、前半戦の各クラブの感想が纏められた記事が上がってます。お時間ある方はこれだけで分かった気になれるので是非見てね。全クラブの試合すら観てないですが、自分のこんなの書ければと思ってます。ではまた。
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