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楽譜の書き方

楽譜なんて今どき手書きで書くのか?
ていうかそもそも楽譜を書くのが必要か?
と疑問を持たれるかもしれませんが、音楽をやる上で楽譜を読んだり書いたりする、つまり音楽を楽譜で理解することは、多大なメリットがあります。
DAWで音楽を作る方も多いと思いますが、打ち込みをするにも”音価”の概念をきちんと理解しておくと速いです。
楽器を演奏するにも、耳で覚えるのと同時に、目で見て理解した方が理解が深まるのはおわかりかと思います。
「楽譜は読めないけど、素晴らしいミュージシャンもたくさんいた」という声が聞こえてきそうですが、それは昔の話。今もいるでしょうが、それで活躍しているのはものすごく能力の高い人です。私を含め、「そこそこの」能力の人は、「楽譜くらい読めた」ほうがいいです。
そして、楽譜を読めるようになるには、もちろんたくさんの楽譜を読むこと、そして ”自分で書いてみる” のが、遠回りなようで実は効率がいいのです。読む分にはなんとなく読めるようでも、自分で書こうとすると、きっちり理解していないと書けないからです。

さて、今回知っていただきたいのは、「小節の中の音符の配置」についてです。

音符を書くとき注意すること


音の高さ、つまりそれが何の音であるか、ドであるかレであるか、ということは言われなくても当然気にかけますよね。それを書いているんですものね。あ、でもそれも気を付けてください。

こんなふうになってるのをけっこうよく見ます。

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これではドなのかレなのか(1個目の音符)、ソなのかラなのか(2個目)、レなのかミなのか(3個目)、わかりませんね。わざとこう書くのは難しいなあ。

線のあいだの音符はハミ出ないように、線の上の音符は上下の線に触れないように書きましょう。

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楽譜を見る人を迷わせないのが、親切な楽譜です。

小節の中の音符の配置

それで、本稿の本題です。
「小節の中の音符の配置」と言いましたが、ここで一回、楽譜というものを眺めてみましょう。

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なんの変哲もない楽譜に見えます。この「なんの変哲もない」ように見えることが、重要だったりします。どこか変に見えるときは、「どこかが変」なのです。
このなんの変哲もない楽譜に書かれている音符が、どのように " 配置 " されているか、検証してみましょう。
この楽譜に、目盛りを書き込んでみます。

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こうしてみると、楽譜は、縦軸に音の高さ、横軸に時間経過をとったグラフであることが見えてきますね。折れ線グラフを繋がずに、ポイントを押さえた感じです。ただ時間は、ずっと数字が増えていっても意味がないので、1小節ずつ繰り返してます。
目盛りの考え方も普通のグラフとは違います。普通は始点を0としますが、楽譜では始点が1です。0から始めては拍子がとれないですね。

とまあ、細かいことはあまり考えなくていいので、要するに1小節を4拍子なら4分割、3拍子なら3分割して、その中で音の出るべきタイミング位置に音符を置きましょう、ということです。
こう言われれば当たり前に聞こえると思いますが、慣れないとよくこんなふうになっちゃうんですね。

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なんか変ですよね。
これは、一定の速さで進んでいる時間に対して、その上で決まった時間(時刻?)に鳴る音符の位置が、時間の流れと対応してないからです。
別の言い方をすれば、音価(音の長さ、四分音符とか、八分音符とか)と、その音符の占める空間が合ってないからです。

言葉で説明するとずいぶんややこしく聞こえますね。
単純なことなんです。
箇条書きにしてみましょう。

・4拍子なら、1小節を4つに区分けして、ある音が何拍目にあるかをしっかり認識して、その位置に書く
・音符の長さ(時間的な)をちゃんと理解して、その長さに見合った区間を割り当てる

音価分のスペースを与える

これは両方、同じことを言ってるんですが、2つ目のはちょっと説明します。

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このように目盛りを振ってみます。4分の4拍子ということは、1小節に四分音符が4つ、八分音符なら8つですね。で、1小節を8つに分ける目盛りをとると、それに対応した位置に音符を置けるわけです。
たとえば最初の音、付点四分音符ですね、付点四分音符は八分音符いくつ分かというと、3つ分です。だから、目盛り3つ分のスペースをあてがうわけです。

実はここがキモです。
初心者の方は、音程(ドかレか)と音符の種類(白丸か黒丸か、テンがついてるか)に気をとられるあまり、「その音符の実際の長さ」まで注意が及ばないことが多いのです。つまり、「付点四分音符は八分音符3つ分」といったことが抜け落ちてるのです。
今は楽譜を書くときの話ですが、これが実は読むときもいっしょなのですね。
楽譜を書くときにそういうことに気をつけていると、読むときにも自動的に意識するようになります。
なので、楽譜を読めるようになるには、
・もちろん、楽譜をできるだけたくさん読む  
ことに加えて、
・楽譜を書いてみる
ことが非常に有効なのです。

でも実際は目分量

ところで........    え?なになに?目盛りの間隔がバラバラだ?
そうです、そのことを言おうと思ってたんです。
言ってしまえば、こんなもんでいい、ということです。定規で計って、「八分音符1個は何mmだから.....」なんてやる必要はありません。説明のために目盛りを書いたので、実際に楽譜を書くときに目盛りを書いてから、なんてことは絶対しません。偶数拍子なら、目分量で1小節をだいたい2つにわけるぐらいです。
そして、今まで長々としゃべってきたことは何だったんだ!みたいなことを、これから言います。

気づいている方もいると思いますが、事例に使ってきた曲には、細かい方で八分音符までしか出てきませんでした。でも、実際にいろんな曲を書いてみようとすれば、16分音符もあれば6連符もあれば、32分音符だってあります。
それをきっちり1拍分のスペースに入れるのは、当然ムリです。
そういうときは、「書けるように書く」しかありません。
このぐらいにはなっちゃいます。

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こんなもんです。小節の(見た目の)長さも、一定にすることにこだわる必要はありません。もちろん、できる範囲で揃えておいたほうが書くにも読むにもいいですが。

理屈さえ飲み込んでしまえば、そんなにひどいことにはならない、ということです。

譜面ソフトというもの

ちなみにこれまで、「楽譜の手書きのススメ」というお題でやってきたので、譜例も私の汚い手書きの譜面で紹介してきました(でも、私の譜面は読みやすい、という評価をもらってるんですよ!これでも)。
今は仕事では、ほとんどコンピューターの「譜面ソフト」を使っています。
私の使っているのは " Finale " というソフトで、市販の楽譜はほとんどこのソフトで作られています。らしいです。
そのソフトでさっきのややこしい楽譜を入力すると、

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このようにきれーいに書いてくれます。
だったら手で書く必要ないじゃん!と思われるかもしれません。
でもこれ、入力するにも楽譜のことにだいぶ慣れてないと、なかなか、かなり苦労します。その上に相当いろんなことを要求されるので、「手書きよりラク」だと思って手を出すと、そうはいかないです。
それに、けっこうな苦労をしてまできれいな譜面を印刷するのが必要なことって、あんまりないでしょう。

まとめ

なので、まずはとにかく楽譜を手書きで書いてみましょう、ということです。
メリット
1.自分で書くことで、いろんな音楽の約束事、その意味、ひいては音楽そのものの成り立ち方を理解せざるを得なくなる。
2.その結果、楽譜を読む、つまり楽譜を読んで演奏したり、理解したりするのが速く、正確になる。
3.思いついたこと、フレーズとか、リフみたいなのとかを、書き留めておくことができます。これけっこう便利。

さあ、今すぐ、書いてみましょう!

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