千歳くんはラムネ瓶のなか 9巻
いますぐ感想を書きたい衝動に駆られたので思うがままに書きます。
ガガガ文庫から出版されている「千歳くんはラムネ瓶のなか」というライトノベル。
その最新刊が発売されたので読んだんです。
最高でした。答えがありました。
そして美しかった。
美しい物語でした。
集大成かのように出てくる登場人物、名称。
こんな伏線の回収があるか。と。
そして一度しかないこの時間を、青を、ここまで文章で表現できるのか、と。
在りし日に、恩師に言われたセリフを思い出します。
「終わり方に美学を持て」と。
とにかくこの巻では終わりということが強調されています。
二度とこの時間は訪れないこと。
一つ上の明日姉、下の紅葉、クラスメイトの夕湖たちとの楽しくて充実していてかけがえのない、輝かしいこの時間、この一瞬。
お祭りのような時間がそこにはあります。
そして、このお祭りが終わったら、今の関係性が変わりだしてしまうこと。
思えば、夏休みの辺りから、今この瞬間に過ごしている時間、関係についての想いが描写されてきました。
進みたくない、名残惜しい、ずっとそこにいたい。
けれども、否応なく時は流れ、進まなければならない。
だからこそ、込められる想い、感情、言葉、行動
その瞬間の一つ一つに、生じる想い、繋がる想い、燻る想い、信じる想い。
全てに、美しさがありました。
校外祭
教師陣のユニット名で24夏関東チラムネオフ会の事を思い出しました笑
ここのシーンは、とにかく優空でした。
君はやっぱり凄い。本当に美しい。
思えば、夕湖があの夏に向こう側に行って、悠月も心に触れてもらったけれど、優空は前々からそうで、もともと彼女は心に触れていて。だからこそあのシーン。吹奏楽のシーン。心で触れた会話、その後の会話。
最高でした。
ところで、なずなの発言でそういえば君そんな事言ってましたねってなりました。
初期と印象が変わって、いい子すぎるのよアナタ。
ところで、これに関係して最近、1巻をオーディオブックで聞いていたんですけど、なずなと亜十夢が出てくるところで「お前ら・・・」ってなってしまいました。アニメでも笑ってしまいそう。
体育祭
二人三脚に関する一連のシーンが本当に好きです。
陽の、朔への想いと悠月の想い、本当に好き。
陽の相棒が、もう一人の相棒に追いつくために
背中を押して、助けてくれる、力を貸してくれるこの場面。
この子はどこまでも熱くて、スカッとしていて、一本鎗で。
年相応の人間だから、立ち止まって、悩んで、それでも一歩を踏み出したら、走りだしたらぶつかるまで止まらない。
壁に当たり、立ち止まって悩んでも、また全力で走り出す。その繰り返し。
なんて気持ちがいいんだろう、美しいのだろうと思ってしまいます。
そして、この場面は陽の心情がメインゆえ、悠月という存在への羨望が描写されていますが、
悠月も陽という存在に引っ張られて、惹かれている。
だからこの2人は良いんです。
応援団+バンド
ワクワクが半端なかった。心が盛り上がっていくのを感じました。
演目を、文章で、多彩な言葉で表現が出来る。どうしてここまで沢山の言葉で情景を表現できるのだろう。相も変わらず思いました。
始まるパフォーマンス。熱くなる和希、良いですね。
とんでもない拗らせ方をしている和希ですが、彼もまた朔や周りの人達に引き上げられてきた結果がここに表れているのでしょう。
野郎同士のシーンもいいものでございます。
そして途中に挟まれるramezさんのイラストが最高でヒュッってなりました。
しかしこのシーンはやはり紅葉と悠月でしょう。
最高だよ君たちは。
個人的に、今まで紅葉に感じていたことを悠月が表現してくれたって感じですね。
7巻で紅葉が現れて、いろいろあってラストのあの屋上シーンに繋がっていくわけで。そのセリフのなかで
この言葉然り行動然り、凄い強敵が出てきたなって思ったんですが、
同時に、彼女に違和感を感じたのも事実で。
それぞれのヒロインのような振る舞いをし始める紅葉だけれど、そこにはどことなく、空虚なものを感じたところがありました。
8巻で、彼女の行動に感じていた違和感に対するアンサーを、悠月と朔でしてくれたところであり、
9巻では、そんな彼女へのアンサーを
悠月が表してくれるわけです。
校外祭の後や、パフォーマンスの最中にて。
ここ、そうなんですよね本当に。
ちょくちょく彼女の優しさが現れているんですよね。
何も言わずに掻っ攫おうとしなかったところ。
あの宣戦布告や挑発は、人の良さを、美しさを表しているところがあって。
このままだと奪ってしまうぞと。良いんですかと。
思えば、7巻からその節はありましたが、言わなければ良かったのに、宣言してしまうところに彼女の優しさがあると思ってしまいました。
そして、紅葉に関する一連の描写を読んでいて、ハッとさせられる事がありました。
チラムネのラノベ殿堂入りPVにて、
これ、うわってなりました。
君だったのか・・・・・・と。
読みながら、つい天井を見上げてしまいました。
そしてバンドシーン。震えましたね。
先行公開のカラーイラストを見て、「!?」って思いましたが、
ここで来たかと膝を打ちました。
楽しさが、迫力が、情景が、文章から浮かんで湧き上がってくる。
なんて凄いんだ・・・と終始笑顔で読み進めていました。
それにしても体育祭でたびたび挿入されるニッシーすき。
そしてとあるシーン。
アレ?誰だ?って思ったんです。
「ファーーーーwwwwww!!!!!!」ってなりました。
お前、お前お前・・・
文化祭
この日々が終わった後、もう二度と戻ってこない。
これまでとこれからはここを境に変わってしまう。
再三に渡って書かれていた通り、なんでしょうね。
自分の気持ちに結論を付けなければならない。
終わらせたくないけれど、終わらせなければならない。
変わらなければならない。
だから、そんな朔ならばああ言うだろうなって
あの夏を経て秋を迎えた朔ならば、こう言うんだろうなって。
だけど、これに対する悠月の返答が本当に良かった。
似た者同士、鏡合わせの存在の悠月だからこそ、でしたね。この2人は。
8巻の対になるような展開。
悠月が朔に言われたことを、今度は悠月が朔に言う。
8巻の、そんな七瀬悠月に俺は惚れたんだってセリフの逆を、悠月はここで言う。
千歳朔は、ヒーローのままでいいんだって。そんな貴方だから私たちは好きになったんだって。
迷いに迷っている千歳朔のらしい生き様を、鏡合わせの七瀬悠月が肯定してくれた。
それが何より最高でした。
朔が悠月に道しるべを示したように、悠月が朔に道しるべを示す。
ひたすら頷きながら読み進めていき、紅葉とのシーン。そして演劇と。
ラストシーンは本当に感動ものでした。
美しいと、そう思いました。
それによって、終わり方も、ネガティブなものではなく、ポジティブなものに変化した気がします。
何かが終わるということは、新しい何かが始まるということでもあります。
そんな解釈ができる、次に繋がるような集大成だったなと思いました。
9巻、求められているものを捻ることなく余すことなくキッチリお出しして満点を取る。まさにそんな内容でした。
1年と少し、待った甲斐がありました。
また、悠月の、感情の昂った叱咤激励が、
どことなく陽を感じさせてくれて、やはりこの2人の根っこの魂は似ているんだなって思いました。
4巻の足羽山での叱咤激励と、どことなくシンクロしているところ。対になるような言い回し、表現。
8巻において、悠月はナナとして、夕湖のような、明日姉のような、優空のような姿を演じて魅せたわけですが、それを取っ払った、千歳朔が惚れた七瀬悠月という姿を見せた9巻。
そんな七瀬悠月の、感情が昂ったシーンの言葉は、まさにその人そのものの姿を現しているわけで。
その魂の叫びを見て、ああ、悠月もそうなんだ、と。だからこそ陽の相棒なんだろうなと、改めて感じさせてくれました。
ああ、しかし、改めて思ったのが、
夕湖と優空はそこにいる存在で
悠月と陽は鏡であり相棒で。立ち並ぶ存在で。
そこに紅葉がやってきて。
ならば・・・・・・
来月は修学旅行があるらしいですし、近々ウィンターカップも控えていることですが、
次は彼女がメインになる気がします。
どんな物語が見れるのか、楽しみです。
ちなみに今年もコラボが始まるようです。
明日からになります。
そうだ、福井へ行こう。
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