歴代コナン映画4作評論
はじめに
こんにちは。ペヤングです。今回はアドベントカレンダーの企画で、歴代コナン映画の中で厳選した4作品について評論をしていきます。コナン映画を見てみたいけどどれから見ればいいかわからないという方、コナン映画を見たことがあるけど全部は見ていないという方、コナン映画を全部見ていて自分の意見も持っているという方、全員が楽しめるような記事にしたいと思いますので、よろしければ読んでいただけると幸いです。ではどうぞ。
歴代コナン映画4作品評論
1998年 『14番目の標的(ターゲット)』
本記事で最初に取り扱う作品は、劇場版第2弾、1998年公開の『14番目の標的』です(当て字省略)。監督はこだま兼嗣、興行収入は前年比7.5億増の18.5億円です。ちなみに、コナン映画の興行収入は、基本的に毎年増加しています。逆に言えば、減少している年は外れ年の可能性があるということですね。あらすじはこんな感じ。
この作品、アガサ・クリスティの『ABC殺人事件』をオマージュしたものだといわれています。これだけでもミステリー好きには興味をそそられるかもしれませんが、他にも面白いポイントがいくつかあります。
一つ目がテンポの良さです。この作品は、名前に数字の13が付く人から順番に被害にあうという形式上、起きる事件の母数が非常に多くなっています。そのため、見ている間に飽きが来ることなく、連続殺人事件のスリルや謎解きを終始楽しむことが出来ます。
二つ目は小五郎のおっちゃんのエピソード。皆さんは毛利小五郎というキャラクターにどのようなイメージを持ってるでしょうか。酒・女・ギャンブルが好きで嫁に逃げられたダメ人間というイメージは皆さん共通だと思います。この作品では、そんな毛利小五郎が探偵を始める前、刑事だった頃のエピソードが出てきます。『推しの子』の星野愛久愛海も、「完全に下手だとナメてた役者が いきなりめちゃくちゃ凄い事 始めたら激アツだろ」と言ってますが、今作の毛利小五郎はまさにそんな感じ。小五郎のおっちゃんカッケーとこあんじゃん!となります。
三つ目が映画終盤のコナンと蘭のやり取り。このシーンを見ていると2023年の最新作をさらに楽しめるとだけは言っておきます。それ以外は何を言っても無粋なので本編を見てくださいとしか言えません。本編を見てください。以上。次の作品に行きましょう。
2000年 『瞳の中の暗殺者』
本記事で2番目に取り上げる作品は、劇場版第4弾、2000年公開の『瞳の中の暗殺者』です。監督は『14番目の標的』と同じくこだま兼嗣、興行収入は前年比1億減の25億円です。以下あらすじ。
この作品の面白いポイントを挙げていきます。
一つ目は、蘭と新一の関係性です。この作品、あらすじにもあったように蘭が記憶喪失となってしまい、物語の大半で使い物になりません。コナン作品では蘭のありえないほどの身体能力で状況を打破するシーンが多々見られますから、コナンは武器を一つ失ったようなものです。そんな中でも子供の姿で必死に蘭を助ける新一と、それにこたえる蘭という構図がこの作品の魅力の一つとなっています。物語終盤の蘭が記憶を取り戻すシーンは感動必死ですね。
二つ目は遊園地の中で行われるアクションです。この作品、物語終盤の20分ぐらい(体感)ずっと犯人から逃げてます。そんな中でも、今やコナン映画の定番となっているスケボーだけでなく、泳ぎやボートなど、様々なバリエーションのアクションを、遊園地の中で行うんですよね。これを見たオタクの皆さんは厨二心をくすぐられるに違いないでしょう。また、アクションの中でコナンのセリフと共に蘭の記憶がよみがえるようになっていきます。犯人に追われながら、記憶喪失状態の蘭に行う新一のプロポーズは必見です。
この作品はおそらく今回取り上げる記事の中では賛否が分かれる作品の部類に入ると思います。私は新一と蘭の関係が深く掘り下げられたストーリーやテンポ感がかなり好きなのですが、皆さんも自分で見て確かめていただけたら嬉しいです。では次の作品に参ります。
2001年 『天国へのカウントダウン』
3番目に取り上げる作品は、劇場版第5弾、2001年公開の『天国へのカウントダウン』です。監督は引き続きこだま兼嗣、興行収入は前年比4億増の29億円です。あらすじは以下の通り。
この作品、歴代コナン映画の中では2番目に面白いと思ってます(1番は後述)。この作品の面白いポイントをあげていきます。
1つ目はアクションです。お前瞳の中の暗殺者でもアクション言うてたやないかいと思われたかも知れませんが、アクションの本質がちょっと違うんですよね。瞳の中の暗殺者は、遊園地の中で銃を持った犯人と追いかけっこをするというものでしたが、天国へのカウントダウンでは、爆弾によって倒壊しつつあるビルからの脱出が目的となってきます。また、そこそこ人がいる会場での爆発となっているので、人々がパニックに陥る様子や避難誘導などの描写も細かくされており、パニック映画的な魅力があるのもポイントのひとつです。
2つ目は灰原哀と少年探偵団の3人組の活躍。黒ずくめの組織が出て来ますから灰原はもちろんなのですが、少年探偵団の3人組もかなり活躍をします。というか、今作はかなり少年探偵団の3人や灰原哀にスポットが当たっているんですよね。事件が発生してから事件の調査に行くのもコナンと少年探偵団、灰原の5人組で行動してますし。この作品は評論が少し難しくて、作品の面白さが本当に最後の最後の1シーンに集約されてるんですよね。だけどそこを説明しちゃったらネタバレすぎて見る必要ないじゃんってなるしな…って感じです。なのでとりあえず見るのが早いと思います(説明放棄)。
2002年 『ベイカー街の亡霊』
4番目に取り上げる作品は、この作品を紹介したいがためにこの記事を書いていると言っても過言では無い、コナン映画史上最高の傑作。2002年公開の『ベイカー街(ストリート)の亡霊』です。監督はこだま兼嗣。興行収入は前年比5億増の34億。コナンやシャーロック・ホームズ、近代イギリスが好きな人たちはこのキービジュアルとタイトルの時点で惹かれるだろって感じなんですよね。あらすじに行きます。
あらすじにもあるように、体感シュミレーションゲームがジャックされ、ゲームをプレイしている子供たちが全滅したらリアルでも死んでしまうというデスゲーム形式になっています。イメージとしてはソードアート・オンラインみたいな感じですかね?まあSAO見たことないんですけど。以下面白いポイントあげていきます。
1つ目はなんと言ってもこの世界観です。ベイカー街の亡霊では、仮想空間でゲームをするという設定を生かして、100年前のイギリスの世界観をふんだんに再現しているんですよね。産業革命から帝国主義へと移っていった18世紀から20世紀にかけてのイギリスには独特の活気や雰囲気があり、その時代に魅了されている人も多いでしょう。実際当時のイギリスを題材とした作品は今でも多く作られています。最近(?)のアニメで言ったら『プリンセス・プリンシパル』とか。プリンセス・プリンシパルが好きな人は絶対ベイカー街の亡霊も好きだと思います。
2つ目はデスゲームの形式。あらすじを引用した時に少し書きましたが、このデスゲームは「プレイヤーが全員脱落したら負け」というルールになっています。逆に言えば、1人でもクリアしたプレイヤーがいればそれまでに脱落した他のプレイヤーも生き返るんですよね。その分、生き残っているプレイヤーに脱落者の命や想いが懸かってきます。みなさんもわかってると思うので言っちゃうと最後まで生き残るのはコナンなのですが、コナンにそれまでに脱落した少年探偵団や蘭姉ちゃん達の思いが全て乗っかっているわけです。そんなん熱いに決まってますよね。それに本来のデスゲームと同じような登場人物が1人1人脱落していくスリルも加わるわけですからそらコナン映画史上最高の傑作にもなります。特に蘭姉ちゃんが脱落するシーンなんてもう思い出すだけでも鳥肌がたちます。
最後に、Wikipediaから引用した歴代コナン映画を興行収入でソートしたスクショを載せます。ここ10年はコナン映画がインフレしてるので上位を独占してますが、そのすぐ下に「第6作目 ベイカー街の亡霊」の文字が煌々と輝いています。内容の面白さを結果が裏付けてるんですよね。とにかく外れないのでベイカー街の亡霊だけは見てください。頼む。
おわりに
実はこのnote、最初は歴代コナン映画全部を評論しようとしてたんですよね。しかし実際書き始めたら2作目で2000字行っちゃってたのでこれ全作書いたら20000字超えるじゃん…となりました。その後も10、7、5、と段々減って行って結局4作品のみの紹介になったって感じです。取り扱ってる作品に昔のものが多いのはそのためです。このnoteで取り扱った作品以外だと2003年の『迷宮の十字路』、2005年の『水平線上の陰謀』、2009年の『漆黒の追跡者』、2014年の『異次元の狙撃手』、2016年の『純黒の悪夢』、2023年の『黒鉄の魚影』辺りは軒並み面白いです。本当はこれらも全部紹介したかったんですが1万字も書く気力は無いのでやめておきました。あと眠いので。ちなみにコナン映画3大ハズレ作品は2007年の『紺碧の棺』、2015年の『業火の向日葵』、2021年の『緋色の弾丸』です。この3作はほんっとうに面白くないので見ない方が良いでしょう。とまあそんな感じです。最初の想定よりは取り扱う作品がかなり減りましたがベイカー街の亡霊さえ紹介出来れば良かったのでまあ良しとしましょう。とにかく、みなさんベイカー街の亡霊の亡霊を見てください。このnoteで言いたいことはそれだけです。
それでは。
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