【解説】ペットショップで迎えてすぐ寄生虫により瀕死で入院。その訳は
このような告発がありました。
この告発に対して、SNSではこのような意見がありました。
みなさんが気になっていることでもあると思います。
と思ってしまうのは当然です。
しかし、寄生虫がまったくいない子犬・子猫だけを販売するということは、どのペットショップでも不可能です。
残念ながらこれが寄生虫の現実です。
どれだけ優良なブリーダーやペットショップであっても保証できるものではありません。「検査すれば防げた」「治療を怠った」など色々意見がありますが、どれも難しいのが寄生虫です。
寄生虫に関しては、
引き渡しをする側と、ご家族様とではかなり認識のギャップがあります。
その認識の食い違いでトラブルになります。
そのギャップとは、
という点です。
そして、寄生虫に関しては獣医師であっても、ブリーダー、ペットショップであっても意見が真っ二つに割れることがあります。その意見とは
ということです。
ここを理解するには「寄生虫の特性」と「多頭飼育の環境」「犬が暮らす環境」どれも視野にいれて解説しなければなりません。
完治を目指さない理由
ペットショップでは、子犬がお店に到着した時に必ず1度は駆虫をします。その理由の多くは、治療という観点より予防が目的です。必ず行っているはずなのに、どうして寄生虫が発生してしまうのか。
できれば私たちも寄生虫のリスクなく引き渡しを行いたいと思っています。でも、限界があるのです。
限界があるため、寄生虫と「共存する」道を、多くのペットショップは選んでいます。
その限界になる理由はいくつかあります。
①消毒の限界
寄生虫の多くはアルコール消毒では太刀打ちできません。熱湯消毒が理想とされているため、床や壁まで完璧に消毒を行うことは難しいのです。その性質から、駆除のためにガスバーナーで家を焼いたというブリーダーがいるほどです。
②簡単に移る
主な感染経路は、経口感染と母子感染です。 経口感染では、虫の卵や幼虫を含む便をほかの犬が口にすることによって起こります。
しかし、虫や卵は目に見えません。そのため、私たちが抱っこした時に触れた服を介して他の子犬に移ることもあります。
もしかすると、ペットショップをはしごしたことがある人、抱っこをたくさんした人は、知らないうちに他の子犬・子猫に移っていたかもしれません。
③症状がない場合がある
寄生虫は体内にいても、下痢や嘔吐などの症状が必ずでるとは限りません。成犬はほぼ無症状で、症状がでやすい月齢やタイミングは生後2~3か月齢。この月齢かつ、免疫力の低下が起きる迎えた直後は、より症状がでやすく、重症化しやすいのです。
つまり、ペットショップの引き渡し時には何もなかったとしても、家に到着した後に症状がでやすくなってしまうのです。
④駆虫薬の限界
駆虫薬は万能ではありません。虫卵には効果がでず、駆除する際はくり返し投薬することが大切です。ただし、虫を殺すことができる薬です。そのため予防薬としてバンバン投薬することに対して懸念を示す獣医さんは多いです。
ペットショップでは、駆虫薬は症状がでた時やお店に来た時など、ここぞ!という時にタイミングを見計らって使用したいのです。
このような理由から、卵まで完全に体内から消し去る完治を”ペットショップの場で”目指すことはできません。
症状がでない「共存する」道を、多くのペットショップは選んでいます。
劣悪なブリーダーなのか?
ペットショップにいる子たちは、流通によってなんらかの感染症に罹ってしまう子は非常に多いです。その感染症の第1位が寄生虫でしょう。
そもそも、劣悪な環境で飼育しているブリーダーが多いという大前提が問題ではありますが、自然豊かな環境で母親や子犬にも大地を踏ませるいるのであれば、寄生虫にもかかりやすくなります。
大型犬であれば尚更、寄生虫がいる確率は高くなるでしょう。大地に足をつき運動する時間が長くなるのですから。
そして多くのブリーダーは、都会でブリーディングするより自然豊かな環境で命を育んでいます。自然豊かな環境で命を育むということは、虫ももちろん都会よりはいます。
こういった背景を考えると「寄生虫がいる=悪」と捉えることはできません。
寄生虫に感染している犬猫を根本的に減らすためには
などがあげられます。いかがでしょうか。
ペットショップだけの問題ではなく、
私たちの意識も変えなければならないのです。
しかし、迎えるまでの飼育の仕方や管理の仕方、親への対応、ワクチンスケジュール、駆虫、流通は、ブリーダーやペットショップによって違います。
それらのひとつひとつが、健康で元気なワンちゃんを迎えるために必要なチェック項目なのです。
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みなさんが素敵な家族を迎えることができますように!