【元店長が語る】ペットショップの流通過程の死と流通後の死
私は以前大手グループチェーンのペットショップで店長をしていました。当時、毎週8頭~15頭の犬猫がお店にやってきてくれましたが(入荷)、なかにはすぐ亡くなってしまった子もいました。
流通死の頭数
答えは半年で2頭。
半年で260頭の犬猫を仕入れた場合、店舗入荷後に死亡する確率は0.7%です。思ったより少なく感じましたか?
ちなみに私の店舗では、体調不良の生体をすぐに病院へ連れていける環境だったため、死亡率は低い方でした。しかし、全ての店舗がそうではありません。連れていけないお店もありました。
流通死と直結するご飯の問題
ペットショップ店員の主な仕事は、接客、掃除、在庫(商品)管理など。それだけではなく「生体管理」が重要です。この生体管理をどのポジションの人がやるかは会社によりますが、私たちの会社では、アルバイト~店長までの全員で行っていました。
この生体管理は何をするかというと、体調を診ること、感染症を防ぐこと、病気を判断する力を付けること、そしてご飯をあげることです。
このご飯をあげるという行為、結構大変なのです。これが、流通死の問題に直結します。
ご飯をあげること、それの何が大変なのか。
ペットショップにいるワンちゃんや猫ちゃんは、かなりの距離を移動しています。鹿児島から東京へ、など。しかも、この移動は直通ではありません。
まず、ブリーダーが一番近いオークション会場に生体を持ち込みます。
例えば、鹿児島県で生まれた犬は、九州のオークション会場に持ち込み、競られます。競られた後は各会社の生体が集まる場所(例えば兵庫)に移動し、ワクチン接種やマイクロチップを挿入します。
その後、配属先の店舗が東京であれば、東京に移動します。これを、2~7日かけて行います。
人間でも疲れる鹿児島→東京というこの距離の移動を、生後50日※ほどの子犬と子猫が短期間で移動するのです。
当然、店舗に到着後は疲れやストレスで食欲がないのです。お店でお腹いっぱいまで食べる子はごくわずかで、犬で20%ほど、猫にいたってはほぼご飯を食べてくれません。猫は環境が変われば食べなくなるのです。
そのため、私たちスタッフはこの子たちを死なせないために、子猫の口にご飯を入れ、食べさせます。「いやいや、食べたくない!」と必死に顔をふる子猫の口にむりやりご飯をいれ、食べさせるのです。食べないとすぐにでも死んでしまう月齢です。食べさせる量を間違えれば下痢をしたり、低血糖になり体が動かなくなることもあります。亡くなる子も、います。中には食べさせる過程で誤嚥してしまい、亡くなってしまった子も他店にいました。
「はじめまして」の子に対して、かつ月齢詐欺が横行しているペット業界において「この子がどれだけ食べるのか」「今までなにを食べてきたのか」分からない段階でお世話をしなければなりません。
流通死の問題は、”流通中”だけではなく、そのストレスからくる流通後の死も含まれいます。
この食むらは1日だけではなく、1週間は続きます。
かわいいペットショップにいる子たちは、極限のストレスから持ちこたえたのです。
ペットの実家で迎えませんか?
流通死を防ぐ唯一の方法は、ブリーダーから迎える方法です。
そうすれば、オークションやショップで感染症に罹るリスクも減ります。
本来、ペットショップにいる子たちの月齢なら、お腹いっぱい食べて育っていいのです。むちむちになっても問題ないのです。
なのに、なのに、小さい身体であることが重要視されるペットオークション、ペットショップ。450g~550g程度(ペットボトルサイズですよ!)で移動しなければならない彼ら。
私はペットショップを退職後、「あなたと出会うまでも、幸せに。」というコンセプトを掲げ、ブリーダーから直接迎えることができるペットの実家を立ち上げました。
あなたと出会ってからの幸せは当たり前、でもその前は?
あなたと出会うまでの苦労は必要なのでしょうか。
ペットの実家は、ママやブリーダーから大切に育ててもらっている過程を見ることができます。
ペットの実家でのびのび暮らしている子を家族として迎え入れ、ブリーダー直販が当たり前になる日が来ることを願っています。