高坂信について ーリリフレ終了を迎えて
リリフレ、終わってしまった。防衛反応で終わった後の事について正直あまり考えないようにしていたが、やはり現実に終わってしまうと喪失感がある。
というのも今まで自分は元来ソシャゲというものがどうにも肌に合わなくて、熱量を持っているコンテンツがソシャゲ化されたこと自体は別にリリスパが初めてではなかったのだが、どれも数日でかったるくなって放置→アンインストが常だった。私はまんがタイムきららのコンテンツも大好きでアニメや雑誌を熱心に追っているのだが「きららファンタジア」に至っては事前登録はしたもののインストールすらせずに事前登録確認のDMが今もTwitterに残ってるのみである。
じゃあ何でリリフレはロンチからサービス終了まで約1年間続いたのか、紛れもなく高坂信の存在が大きかったんだなぁと今になって痛感している。
自分としては高坂信の魅力とは、なもり先生原案の影薄白髪ショートカチューシャと言った見た目や佳村はるかさんのボイスといった五感的な出力の「やや幼い可憐さ」もそうなのだが人間的な芯の強さ、包容力にあると思っている。
小説版「GG」では主にそうした優しさの大半は弟子の命に対して友達として仲良くしているだとか、偏食を気遣ってお弁当を作り始めるだとか、そういった形で向けられているが、必ずしも命のみではない。
無神論者のカトリーナの心を諦めずアプローチして遂には解かしたり、料理を教わったお礼に雪の好きそうなキャラクターを普段から観察して好みのストラップをプレゼントしたり、孫弟子の楓には不在の間に命の面倒を見てくれた感謝をしたり、交番に見知らぬ人の財布を律義に届ける。そういった謙虚で細やかな気遣いや慈愛がベースになっている一方で、やる時は自分の身を挺しても、自分よりも強い他者を押しのけても自分の芯を貫く。
たとえ猛毒を振るう相手でも、自分が戦闘向きのスパイではなくても、右腕が腐っても弟子であり家族であり仲間である存在を守るために前に立つ。このギャップが彼女の魅力なのではないだろうか。
「他人のために行動するには勇気がいります!他人を頼ることも!自分を他人に委ねることは、とても不安なことですから!それができないのは、ただの臆病です!」(『GOLDEN GENESIS』p59 )
「信はメイちゃんの師匠だ!メイちゃんよりも弱いし、スキルだって正直高くないし、スパイらしいところだってないーーでも師匠なんだ!信はメイちゃんの師匠なんだ!だから助けに行く、何があってもどんなに危険でも誰が止めても助けに行く、絶対に。邪魔をーーしないで」(『GOLDEN GENESIS』p268 )
この幼い容姿の有能なスパイは、まったく自分の価値に無自覚なのだ。しかし、かつて初芽が弟子だった時代のツキカゲは、ある意味で信が中心となっていたようにさえ思える。(公式ファンブック収録『ジャッカーハンド』)
幻の未公開エピソードについて
さて、電撃G's magazine4月号に未公開シナリオが供養されていたのでそちらについて少しだけネガティブなお気持ちを書きたいと思う。
要約すると8章9章でゾーイがメカゾーイとして生き永らえ(フリーザかよ...)ツキカゲの個人情報であるTファイルを巡った最終決戦。ZET参謀の真留瀬は飛粋と同じく国家機密のデザイナーベビーであったという事実が判明する。
ひと段落した10章では凪の部隊に捕まっているかつてのヴィランの中でも選りすぐりのメンバーを天堂久良羅の妹・天堂杜羽をリーダーにした犯罪者選抜プレイアブルチーム「曼珠沙華」が新たに参戦し、何とそのメンバーがあの信の腕を奪ったルーマニアの吸血鬼ことドラゴミル姉妹だというのだ。
流石にローレルネタに頼り過ぎじゃないか?
確かにリリフレをやろうとする殊勝なファンは小説も履修済みのローレル好きが多いかもしれないが、それにしたってリリスパはローレルだけじゃなくて様々なキャラがいたし、何よりリリフレには凪の部隊とZETというツキカゲの文脈とは切り離されたキャラもたくさんいたわけで、それを育てずに結局既存のキャラ(それもかなりセンシティブなところを突いた新展開)というのは信が帰還して再び牧歌的な雰囲気が戻ってきたぞという展開を最初にやってしまったリリフレに対して食い合わせが悪いのではと思った。
「需要に最適化されたまで」と言われてしまえば、信を推していた自分がその一端を担っていた自覚はある。しかし、リリスパを長期的なプロジェクトとして受容したかった一ファンとして、コンテンツとしてもっと多様的な展開を期待していた身として、少々残念な気持ちになってしまった。
とまぁこんな感じである。だが基本的には小説版とアニメ版のその後を見せてくれたアプリにはとても感謝しているし、共に過ごした日々に後悔はない。願わくばノベル等でもう少し続きを読みたいが、まぁ前記事で考察や終了時のキャストTwitterを読む感じほぼ絶望的だろうと踏んでいる。これからこの虚脱感とどう向き合っていくべきか私にはまだよく分からない。