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グエムルとパラサイト
「パラサイト 半地下の家族」を見てポン・ジュノの社会を見る鋭い目と貧しい人々への共感、この人たちに目を向けよというメッセージはじゅうぶん伝わった。
いい気になって「グエムル 漢江の怪物」を10数年ぶりに見直した。いきなり驚かされたのはその映画のタイトル。The hostだった。知らなかった、気づかなかった。パラサイトを見なければ気づかないまま生きていただろう。
パラサイトは寄生する生命体や寄生している状態を示す単語であるのに対し、ホストは寄生される生命体やその状態を示す単語である。パラサイトとグエムルは対になる作品で双子ほど近い作品なのである。
グエムルは米軍に寄生される韓国というテーマが大きなテーマとしてあって、そこへ貧困という次のテーマがあるのが大きな特徴だろう。ホルムアルデヒドを漢江に不法投棄するシーンから始まる本作は実際にあった米軍にの不法投棄事件をベースにしている。あの時韓国の人達はめちゃくちゃ怒ったそうで、植民地主義的にアメリカに駐留されているけどやられっぱなしじゃない国民の意思を感じさせる出来事である。
米軍が駐留しているところはどこも彼らの治外法権には怒ってるのだけど、その怒りがブラックコメディとして昇華している作品でもある。
ペ・ドゥナ演じる才能のある妹が貧困の中その才を最大限生かしてアーチェリーの選手になるが銅メダリストどまり。金メダルは取れないのだ。
一方、パラサイトでも貧困家族の母がハンマー投げで銀メダルを取っている。金メダルには届かない。
貧困の中では才能を生かしても一番にはなれないという強力なメッセージが現れている。潜んでいるのではない。はっきり書いているのだ。
パラサイトでは金持ちに寄生する貧乏人の話を書いているが本当は貧乏人を搾取してそれを恥じることがない金持ちの寄生、それを国内の植民地主義的問題としてポン・ジュノは喝破している。
途中独島の歌が流れるからあれは反日映画だとする向きもあるが、独島を日本の土地だと宣言した時に朝鮮半島への植民地支配が始まった領土問題というより植民地主義の問題として朝鮮半島側では捉えているので反日というよりやはり反植民地主義として独島の歌を流しているのだろう。
寄生されるグエムル、寄生するパラサイトとふたつ並べて見るとポン・ジュノ作品の味わいはより深くなるだろう。
「殺人の追憶」で謎の青年を演じたパク・ヘイルと実際の事件で容疑者と確認された人物がうっすら似てることは特記事項。
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