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Orange is the new black/オレンジイズニューブラック 女子刑務所青春小説

Netflixでやっていると言うので話題になっていた。うちはこれ以上オンデマンドサービスに加入しても見ることができないから本で読もうと思ったのがきっかけだった。

日本語版の翻訳は村井理子さんだったがちょっとお高めだったのでKindle版の英語原著で読むことにした。読むのが大変なら村井さんの翻訳版を買えばいいと思って読み始めたのが8月末。読み終わったのが12月13日。途中で他の本を読んだりもしたが3ヶ月半もかかったのはちょっと恥ずかしいが読了した達成感はある。「キリング・フィールド」のラストシーンのあの走りきったあの気分である、正しく。

受刑者となった主人公の犯罪の動機があまりにも軽率なのは呆れてしまうし、裁判でも重い罪に問われないだろうとタカをくくっているところもちょっと見積もりが甘いのだが刑務所に入ってからの暮らしのレポートの部分を読むと文才のある人が刑務所に入ると中の生活を知ることができて入る予定がないこちらとしては有益な情報になる。経験した人じゃないと語れないものがあるのだ。シャワー室で水虫をうつされないようにサンダルを履いて入らないといけないとか、食堂で盗んだマーガリンで作る刑務所スイーツのレシピとか、入った人特有の臨場感で描かれている。

受刑者仲間同士の友情と別れもとても寂しくて竹内まりやの「駅」そのまんまなのでぜひ作品を読んで頭の中で竹内まりやの歌声をリピートしてもらいたい。

それから80年代に50万人程度だった全米の塀の中の人々はその後90年代以降は230万人に膨れあがっていることにも言及している。更生プログラムがきちんと機能していないことにも触れており作者の視点の成長が見られるのも好感が持てる。

日本で女子刑務所と言えば2時間ドラマの湿気た感じのものが主流だったけどこの作品はそういうところがあっても暗くないから娯楽作品としても成功していると言えるだろう。

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