ブロークバック・マウンテンを15年目で鑑賞
感動の物語と言われてずいぶんヒットした記憶がある。
私は見るたびに居眠りしてしまいひどいときには熟睡して全然映画に身が入らないということを繰り返しやっと鑑賞できた次第。
いうほどの悲しい物語とは思えなかった。アルマに対するイニスの態度やテキサスが中絶手術が難しい土地柄であることを考えるとDVである。土地柄ということを外して考えてもあれはひどい。
その点は人物描写を考えるとアン・リー監督は単に同情だけを観客から引き出そうとしたのではないということであろう。
ターキーを切り分けるキッチン家電は電気メスを連想させて面白かった。あれは欲しい。
山の中で盛大に服も着ないでいかがわしいふるまいをしていれば異性同士でも雇い主から断られるだろう。ゲイフォビアのように見えるとしたらイニスの経験の語りのおかげである。イニスの記憶も子ども時代のものでその出来事は記憶通りだと断言できるものではない。あの記憶と雇い止めは背景が全然違うのだけど違いをどうつなげばイニスの記憶に直結するかと思って最後まで見たけどピンとこなかった。
親父の抑圧、家族を大事にしない夫。どれをとっても家父長制の問題が詰め込まれていてアン・リー監督は本当に描きたかったのは家父長制のきっつい部分ではないかと推し量る。
ケイト・マーラは一目でわかる印象的なルックスでこの後の活躍も納得。「シェイムレス」のスコット・マイケル・キャンベルがアルマの控えめな再婚相手を演じていて、イニスの周囲の優しい人たちが幸せになるといいなと思った。
ジャックはジャックで妻の実家からの抑圧があったり見てられない。牧場経営が待っているから一人で帰れなくて一緒に故郷に帰ってくれる人がいれば解放されていたのに思い通りにいかないジレンマがあってジャックには感情移入できた。
テキサス州の中絶禁止法が連邦によって制限がかけられたというニュースをきいてすぐであるせいか、アルマの経済と子育ての苦悩はリアリティがあってフェミニズム的視点で見ると女性映画としては見どころがあり、アルマだけに注視して映画評が一本かけそうである。
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