-保護猫と過ごせる憩いの場- 「VELCAT 馬車道店」

2025年1月14日 19:24

インタビューについて

当記事は動物を取り巻く環境や、社会課題に奮闘している人たちの様子を発信し、動物保護団体や動物関連事業者へのインタビューを通じて皆様に考えるキッカケを提供できたらと考えています。
詳しくはこちらをご覧ください。

１．「保護猫VELCAT 馬車道店」について

横浜市中区の馬車道エリアにある「VELCAT（ベルキャット）馬車道店」は、約35匹の保護猫が新しい家族との出会いを待ちながら、訪れる人に癒やしを提供しているスペースです。
店内には、複数の猫たちとにぎやかに触れ合えるオープンスペースと、特定の猫と静かに過ごせる個室（プライベートルーム）の2種類のエリアがあります。個室では、ほかのお客様の目を気にせずにゆっくり過ごせるため、人見知りな猫や、落ち着いた環境で交流したい方にも好評です。

また、同店の徒歩圏内には提携のクリニックもあり、保護猫たちを総合的にサポートできる体制を整えています。今回は理事を務める本山さんに、保護猫の譲渡活動や日々の取り組みについてお話を伺いました。

店舗情報
- 住所：横浜市中区馬車道（詳細は公式サイトをご確認ください）
- サイト：保護猫VELCAT 馬車道店

2. 保護猫の譲渡活動に対する想い・取り組み

きっかけは「保護した子猫」

Q：VELCATを立ち上げた経緯を教えてください。
A（本山さん以下略）：
代表の西坂が子猫を保護したことから始まりました。「この子をはじめ、多くの保護猫のために何かできないか」と考え、できるだけ猫にストレスを与えない環境をつくるために生まれたのがVELCATです。オープンスペースだけでなく、個室も設けることで、猫たちそれぞれの性格や体調に合わせた過ごし方ができるようになっています。

里親探しと医療サポート

Q：実際にはどのように里親探しをされているのでしょうか？
A：
店内で猫たちと触れ合っていただく中で、「この子を家族に迎えたい」と思われた方には、アンケートやヒアリングを行い必要な飼育情報や注意点を丁寧にお伝えしています。初心者の方にもサポートしています。さらに近くに動物病院を構えているので、店舗で飼育している中でも健康管理や治療が必要な場合に早期に対応できるのが強みです。

コロナ禍で感じた支援のありがたさ

Q：コロナ禍では臨時休業もあったと伺いましたが、大変だった点は何でしょうか？
A：
約2年ほど営業をお休みしている間も、猫たちのお世話は欠かせません。収益がない中でも人件費や飼育費はかかってしまうので、本当に厳しい状況でした。そういった状況の中でも募金いただいたり、物資を送ってくださる方がいて、なんとか乗り越えることができたんです。多くの方に支えられてたことを改めて実感しました。

3. 店舗でのエピソード

白血病キャリアの猫たち専用メディカルルーム

（本山さん）：
立ち上げ当初、相模原の愛護団体さんから白血病キャリアの猫を預かったことがあります。寿命が短くなりがちな子や、発症のリスクを抱える子を「どう受け入れるか」という問題に直面しましたが、最終的には「メディカルルーム」を設けて対応しました。そこでは頭数が多い時期もありましたが、環境を分けることでほかの猫たちとの接触リスクを減らし、その子たちにとってなるべく安心できる空間を整えました。
最後の1匹が亡くなったのは昨年の11月ですが、想定外の事態も含め、多くの方の支援やスタッフの頑張りで前に進むことができました。

「人が苦手だった子」の譲渡決定

Q：とくに印象に残っているエピソードはありますか？
A：
保護時にまったく触れず、人を見るだけでパニックを起こす子がいました。お店に出す前に「人慣れトレーニング」をするのですが、私達も怪我をするほど最初は大変で……。ところが少しずつ変化が見え始めて、遊ぶ楽しさやご飯の美味しさを覚えてくると、だんだん心を開いてくれました。
最終的にはお店に出られるようになり、来店されたお客様の遊び方が上手だったこともあって「人間っていいかも」と思ってくれたのか、今ではそのお客様の里子になり、すっかりリラックスして暮らしています。当初は「この子はお店デビューできないかも…」という話をしていたので、本当に嬉しかったですね。