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病気コラムvol.12《変形性関節症について》



①変形性関節症とは

「変形性関節症」という病気をご存じでしょうか?

骨と骨の間でクッションの役割をしている軟骨に
過度の負担がかかることで、
次第に関節が変形し、慢性的な痛みや動作に困難が生じる関節疾患です。

人の分野では、膝や股関節、肘や頚部などに起こるようですが、
わんちゃん、ねこちゃんにも同じような部位に起こります。

関節に痛みや違和感が出てしまい、
今まで通りに動けなくなる子や、
痛い部分を触られるので怒るようになる子もいます。

昔はお散歩が大好きだったのに、
最近は寝てばかりで、お散歩グッズを見せても喜ばなくなったとか、
ソファやベッド・テーブルに飛び乗っていたのに、失敗することが増え、
のぼること自体見かけなくなったなど、ありませんか?


イメージ図(散歩に行きたがらない犬)
引用:高齢犬・高齢猫の「本当に困った!」が解決 対応対策がわかるハイシニアケア(EDUWARD Press)

高齢だから動きが鈍くなった、性格が変わったのではなく、
実は変形性関節症が原因ということもあるようです。

ねこちゃんの1歳以上で74%、
12歳以上では90%にこの病気の疑いがある、というデータもあります。

わんちゃんの慢性疼痛の中で、最も患者数の多い疾患の一つで、
有病率は40%近くあるという報告もあります。
小型犬や、若齢のわんちゃんでも起こることのある病気です。

わんちゃんやねこちゃんは痛みがあっても言葉で伝えることができません。
初期の頃には多少痛くても我慢して、
いつも通りお散歩に行ったり、遊んだりします。

この病気は進行性なので、早期での発見が大切です。


②早期発見のポイント

*わんちゃん*

・運動後に足を引きずる。
・散歩でノロノロ歩く。
・ゆっくり立ち上がる。
・ジャンプが苦手。
・動作がぎこちない。
・階段が苦手。


※OAは、変形性関節症のことです。

*ねこちゃん*
・ 階段を上るときうさぎ跳びのように両足でのぼる、途中で休憩する。
・階段をおりるとき横向きになって一段ずつおりる、途中で休憩する。
・動くものをおいかける時、途中でゆっくりな動きになる、休憩することが多くなる。
・ジャンプするときにためらう、1回のジャンプで届かず前足をつけてから後ろ足を引き上げる。
・飛び降りる前にためらう、飛び降りずに地面に前足を伸ばしておりる。
・全体的に動きが遅く、普通歩きと早歩きを交互にする。


このようなことに注意して、日頃からよく様子を観察してみてください。
1つでもあてはまる事柄があれば、動物病院に相談してくださいね。

現在、当院では、歩き方健診キャンペーンを行っております。
この機会にぜひ健診へいらしてください。
(キャンペーン期間:2024年10月1日~2024年11月30日)


③変形性関節症の検査

変形性関節症では、以下のような検査をします。

・関節の動きや違和感がないかなどを獣医師が触診します。

わんちゃんの触診の様子
引用:犬の跛行診断(EDUWARD Press)
ねこちゃんの触診の様子
引用:CLINICNOTE2024 JUNE(EDUWARD Press)


・実際に院内を歩いてもらい、歩き方や動き方をチェックします。
・レントゲンを撮って、関節に異常がないか検査する場合もあります。

猫の変形性関節症のレントゲン写真
引用:猫を極める本(EDUWARD Press)


④変形性関節症の治療


痛み止めの注射や、長期間効果のある鎮痛作用のある飲み薬などのほかに、1か月に1度注射することで痛みを抑えるお薬もあります。

補助的にサプリメントや療法食を使用していただくこともあります。
痛みが落ち着いたら、筋力アップのために運動を開始します。
必要があればダイエットで適正体重に戻すこともあります。


引用:気づこう!ワンちゃんの関節の痛み(ゾエティスジャパン株式会社)

一生付き合っていく病気ですので、
飼い主様の負担にならないような治療法を一緒に探していきましょう。


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