
ねこじゃら荘のネコジャラシ
夏、わが大いなる季節
愛、わが大いなる一日
そして、あなた
わたしを目覚めさせた唯一の夢
「僕が死んだら」より
ねこじゃら荘のネコジャラシ
根元は小粋に葡萄酒色、
ボルドーの深い赤ではないけれど
村のカフェの淡いロゼ。
Setaria viridis、緑の粟。
フンワリしっぽについた実は、
芥子粒ほどの虫さんや
野の小鳥たちの朝ごはん。
🌾
大地にしっかり根を張って
株を立派に太らせる
イネ科の仲間のすぐそばで
ネコジャラシたちは遠慮がち。
空き地の片隅、道端で
細い根は地表に浅く
もしも邪魔だといわれたら
あらがいもせず場を空ける。
ネコジャラシたちのように
いつか子猫も行こう、ほんのちょっぴり
葡萄酒色でおしゃれして
さ緑の記憶を胸にそよがせて。
🌾
ねこじゃら荘のネコジャラシ
夜が明け(風はもう秋)
お散歩帰りのネコたちは
すりすりキッスで「おはようニャン!」
大いなる季節は終わり
大いなる一日が始まる。
猫たちを目覚めさせる
夢も、また。