公園ボランティアは新たな公園遊び開拓。やってみると結構面白いんだよねって話
こんにちは、お久しぶりです。過去のあれこれを掘り返していたら、公園ボランティアを始めたきっかけや、団体を作った時のことなどを書いた文章がなかなかいい感じだったので、ちょっとだけ編集してここに記しておきたいと思います。よかったら読んでね。
公園ってどんな場所?
皆さんが「公園」と聞いて思い浮かべるのは、どんな場所ですか?子どもの頃、毎日のように遊んだ鉄棒やすべり台。友と語り合ったブランコ。お休みの日に散歩やピクニックをする広場。木陰が気持ちいいランニングコース。きっと皆さんそれぞれの中に、公園のイメージや思い出があることと思います。遊んだり、歩いたり、ゆっくりしたり、おしゃべりしたり、歌ったり、走り回ったり、落ち葉やどんぐりを拾ったり、花を愛でたり、絵を描いたり、体操したり。いつでも、誰でも、みんなが自由に過ごせるのが、公園の良いところですね。
また、子どもが生まれて公園に行く機会が再び増えたという方も多いのではないでしょうか。私もその1人です。いろいろな子どもが遊んでいる姿を見ることで、いろいろな個性があることを知り、異年齢の子どもたちがゆるく関わり合ったり、遊んだりする様子を見て、自分の子どもの数年後を想像したり、成長を見たり。そこで話すお母さん仲間の言葉に安心したり。閉ざされがちになる小さな子どもの子育て期、外に出て季節の風に吹かれながら、些細な心配事や困り事も気軽に話せて「大変だよね〜」と共感しあったり、「大丈夫だよ〜」と言ってもらって救われた経験が、毎日を支えてくれます。公園は、遊び場であると同時に、学びの場であり、ほっとする場でもあるんですよね。
雰囲気の良い公園・悪い公園
きっと皆さんにも行きつけの公園やお気に入りの公園がいくつかあるのではないかと思いますが、私にもあります。そこは、住宅街の中にあるごく普通の公園ですが、隣に明治の終わり頃に建てられた素敵な洋館を利用した児童館のような施設があり、赤ちゃん連れの親子から、幼児・小学生・中学生といろいろな人が日々集っているような場所でした。子どもたちも、お兄さんやお姉さんたちの遊びを隣で見ては、卓球や将棋遊びを知り、虫取りに喜び、大きな子たちも小さな子がいると自然に配慮するような、優しい空間でした。外で遊び、室内で遊び、子どもを見守り合い、みんな自由でした。その雰囲気は、子どもだけでなく、大人である私にも多くの楽しみと学びをもたらしてくれていました。
良い公園ってなんだろう?と考えた時、私は「人の気配が感じられること」じゃないかと思います。どこからとなく感じられる人の優しさが、安心・安全や清潔さとして目に見えて、気持ち良い空間になるのではないかと思うのです。逆に、人の気配がない殺風景な公園は、どこか怖くて、遊ぶどころか近寄るのもやめておこうかと思ってしまいます。
なくなって初めて知る誰かの存在
そんなお気に入りの場所でしたが、ある日、耐震性を理由に、施設の閉鎖が決定してしまいます。公園は残りましたが、毎日いた施設のスタッフ(先生と呼ばれていました)がいなくなり、遊ぶ子どもも減ってくると、みるみるうちに公園が荒れていき、草が伸びすぎてジャングルのようになってしまいました。きっと先生たちが時々草取りをしてくれていたのでしょう。でも、いなくなり、いつも誰かが見ていてくれていたことを、そこで初めて気づいたのでした。
きっかけは子育て仲間との草むしり
見かねた友人が「今度、公園の草取りをしようと思うんだよ」と話してくれました。誰もやらないなら、自分たちでやればいい。なるほど、その手がありました。日にちを決めて、いつも公園を使っているみんなで草むしりをしました。やってみると、お母さんたちだけでなく、子どもたちや、お父さんたちも大活躍。ジャングル化していた公園は、みるみるうちにスッキリして、雑草の森に隠れていた鉄棒やベンチも久しぶりに顔を出しました。何とも言えない達成感と、充実感、気持ち良い疲労感がありました。
調べてみると、市の公園愛護会制度に登録することで、継続して活動するための支援が受けられることが分かりました。その後、市役所に相談して、仲間たちと一緒に公園愛護会を結成することになったのでした。
公園愛護会という制度
「公園愛護会」というのは、地域の住民が地域の公園のお世話することを目的にした制度で、公園管理と同じく、市区町村ごとに制度設計されています。主に街区公園と呼ばれる、地域の小さな公園で活動することが多く、毎月、ゴミ拾いや草取り、落ち葉かきなどの活動をすることで、活動費としてのお金が支給されたり、必要な物品が支援されるという仕組みです。
もともとは、1960年代戦後復興の土地区画整理と住宅開発によって大量の公園が生まれていく一方で管理しきれなくなった行政サイドが、住民の力を借りて地域の公園の維持管理をしていこうという文脈で生まれた公園愛護会制度。
今では、公園愛護会や、公園アダプト制度、その他様々な名前で、市区町村によっていろいろな制度が整備され、「近所の公園を良くしよう」という住民が、掃除をしたり、花を植えたりといったボランティア活動が行われています。皆さんの地域にも、きっと何らかの制度があることと思います。
やってみると面白い公園ボランティア
地域の公園を守ってくれている人がいることは、子どもの頃からなんとなく知っていたものの、大人になって、いざ自分がやる側に回ってみると、とても学びが多いものです。季節ごとに違った顔を見せる公園、落ち葉の落ち方や雑草の生い茂り具合もその年の天候によって全く変わってきます。よく見ると今まで見たこともない植物の花が咲いていたり、自分たちで掘り起こすところから花壇を作ってみると、大きな石がゴロゴロ出てきて、公園や地域の歴史に思いを馳せたり。まるで、公園の新たな遊び方を開拓しているかのような新鮮さがあります。
同時に、知りたいこともどんどん出てきます。どんな道具が便利なのか、使い方や手入れの仕方、草取りの効果的な時期、低木の剪定時期や方法、花壇に植える公園ならではのローメンテナンスな花選び。やればやるほど、聞きたいことが出てきます。全国でやってる人はものすごい数いるはずなのに、活動のヒントやノウハウ?のような情報は手に入りにくいのが現状です。
公園ボランティアを応援する団体を設立
そこで、地域を超えて、公園ボランティアが繋がり、知恵やノウハウを共有していくことで、地域の公園がより豊かに、いい感じになっていくことを願って、2020年6月に「みんなの公園愛護会」を設立しました。担い手の視点や感覚をもって、広い視野で民間ならではの動きをする団体として、情報を発信・共有することで、様々な地域で活動する公園ボランティアの担い手を応援し、より楽しく活動してもらうことを目的に活動しています。
いろいろな自治体にヒアリングしてみると、行政の担当者も困っていることが分かりました。どこも「高齢化」と「担い手不足」が共通の課題のようですが、どう対処していけばいいものか。そこで、まずは現状を広く知ろうと、私たちは公園ボランティアの実態調査を行いました。昨年は実験的に神奈川県の全33市町村で、今年は全国47都道府県の市区町村を対象に、地域の住民が参加する公園ボランティア制度の有無や、支援の内容、活動する団体数などの調査を行いました。また同様に、公園ボランティアの担い手を対象にしたアンケート調査も実施。普段の活動内容や人数、やりがいや課題など、リアルな声を集めました。2020年は神奈川県内の8自治体1175団体に、2021年は全国各地の自治体の公園課担当者と37自治体2310団体に、2022年は全国の公園ボランティア制度のある自治体の公園課担当者と36⾃治体 2559の公園ボランティア団体アンケート調査を行いました。
アンケートの結果のデータはこちら▼
高齢化と担い手不足の裏にあるのは
アンケートで声を聞いてみると、共通の課題である「高齢化」と「担い手不足」の裏には、「メンバーの固定化」と「コミュニケーション不足」が隠れているのではないかという考えに至りました。いつも同じ決まった人たちだけが、ただただ静かにやっているだけだと、孤独感が募り寂しいものです。公園利用者や地域の人からの「ありがとう」の一言が、活動の大きなエネルギーになることが多くの担い手からのコメントで伝わってきました。「ありがとう」の循環が起こるような、そんな仕組みができれば、より元気に、より充実した気持ちで、みんなが活動できるのではないかと思います。
また、コロナ禍で、公園の利用が増えたと同時に、タバコの吸い殻やゴミのポイ捨てが増えたという声もありました。「こんな時、みんなはどうしてるんだろう?」そんな声もありました。私たちは、情報発信と横の繋がりづくりでコミュニケーションを増やしていこうと、いろいろな団体の活動を取材して紹介する取り組みも始めました。
いろいろな活動を知れば知るほど面白い
「となりの公園愛護会」というコーナーを作って、いろいろな団体の活動の様子をwebサイトで紹介しています。皆さんの楽しそうな様子の他にも、公園を利用する子どもも含めてみんなで花の水やりができるように設置されたジョウロや、小さな子どもも使いやすいように用意された小さなゴミ拾い道具など、すぐに参考にできそうなアイデアを紹介したりしています。
取材にお伺いすると、皆さんとても気持ちよく迎えてくださり、ご自分たちの活動のことを教えてくださいます。それぞれがコツコツと続けてきたこと、こだわり、工夫しながらここまでやってきたこと。愛が溢れていて、楽しい時間です。その熱をできるだけそのままに、そして同じ担い手の視点で面白いと思ったことを記事にまとめるようにしています。書いた記事をお見せした時、「自分たちの活動がこんな風に紹介されるなんて嬉しい!」と喜んでもらえるのは嬉しいですし、記事を見た人から「この公園の活動いいね!」と褒められると、何だか私まで一緒に得意な気持ちになったりします。
子育て世代だからこその入口もある
公園ボランティアの活動に関わって思うのは、子育て世代こそ楽しめる公園ボランティアの形があるのではないかということです。公園が身近にあるからこそ、遊びの発展形としての、気軽な公園ボランティア。やってみると、これが案外面白いものです。ひとりだと完全にハードル高い感じですが、みんなでやるとイベントみたいで面白かったりします(私もひとりじゃやろうと思わないし、出来ません)。
草取りも、もくもくと作業することはストレス発散になったりします。小さい子がいても、公園なら遊んでいられるし、出入口が限られているから、道や海のゴミ拾いと違ってふらっとどこかに行ってしまうリスクも少なく、みんなで見守り合うことで活動しやすかったりします。子どもも気分次第で参加して、ゲーム感覚で楽しくやっています。やれば戦力、やらなくても全く問題なし。いつもの公園遊びとはまた違った、日常の中の非日常な公園遊びが楽しめます。また、公園活動を通して、大人子ども含めて地域の知り合いが増えました。地域に知っている顔が増えることは、親子ともに安心なことだと思います。
一緒に育てるという視点
ただ利用するだけ、サービスを受けるだけよりも、運営側に片足突っ込むような感じは、楽しみが増える、という人も一定数いるのではないかなと思います。私もそうなので。ただ、やはり孤独な感じでは寂しいので、お互いの活動の様子がちらっと見えて、ヒントをもらったり、アイデアを得たりして、地域のみんなの庭を育てるように、楽しくやっていけるといいなと思います。いろいろな人が、気軽に参加しやすい形で。公園育てに関わる人が増え、地域の公園がいい感じであり続けていくといいなと思っています。
公園は無限の可能性を秘めている
コロナをきっかけに、家や近所で過ごす時間を見直し、自分の暮らす地域にコミットする機会も増えたという人も多いのではないでしょうか。地域の公園は、これからもっともっと楽しく使える大きな可能性があると思います。
たとえば、子どものお下がり服交換会、おもちゃの譲渡会、手づくりバザー、みんなで草むしり+おしゃべり、夏はスイカ割りや水鉄砲合戦、冬は落ち葉遊びや、防災兼ねて煮炊きイベント。地域の人の工夫と対話で、いろいろなことができると思います。
草むしりで黙々と作業する時間は、無心になれます。小さな子がいると24時間つきっきりでひとりになる時間のないお母さんも、子どもをお互いに見守ることで、一瞬でも自分に集中する時間が持てるかもしれません。デジタル仕事で行き詰まった人も、土に触れてデトックスされる時間が持てるかもしれません。小さな公園での様々なお楽しみと情報のシェア、いろいろやってみたいと思っています。