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お金か、モノか、はたまたどちらもありかなしか、公園愛護会の行政のサポート内容に自治体の個性が出ているよ

今日はちょっと公園愛護会の生い立ちや要素、制度について書いてみたいと思います。マジメですっ。

日本の公園のはじまり

日本における「公園」は、明治初期に初めて作られ、大きな庭園や景勝地が公園として制度化されていったそうですね。それより前の江戸の時代にも、日本人は、神社やお寺、馬場なんかに集まってはお花見をしたり、縁日のようなものが出たりして賑わっていたとか。

今よくある公園がせっせと作られるようになったのは、戦後。政令指定都市が誕生し、エルビスプレスリーや石原裕次郎が大人気だった、1956年(昭和31年)の都市公園法で、体系化された整備基準などが定められたそうです。(詳しくはウィキペディアでどうぞ。)

半径250mの人が利用できるように街区公園を整備、半径500mで近隣公園、1kmで中央公園と呼ばれるような地区公園。。。そうやって住宅とともに計画的に公園が整備されていく中、都市公園法スタートから5年後、「地球は青かった」でおなじみの世界初の有人宇宙飛行が成功した1961年(昭和36年)、公園愛護会という制度がはじめて横浜市で生まれたそうです。

公園愛護会って?

ものすごくざっくり言うと、地域に暮らす人が行政と協力しながら一緒に良い公園に育てていこうよ!というものです。

地域住民のグループが、定期的にそうじや草取りをしたり、遊具の破損や危険なところを発見して報告したり、花壇をつくったり、イベントをしたりする。行政はその活動を支援し、活動内容や公園の面積によって報奨金を出したりする、というもの。

調べてみると、わりと全国的にある制度で、一定規模以上の市によく見られます。ランダムに50以上の自治体を調べてみた所、公園の管理を市町村の自治体単位で行なっていることと連動して、公園愛護会制度も、活動の内容や規定は市町村の自治体ごとにバラバラでした。が、公園愛護会の根幹となる要素としてはこんな感じです。

公園愛護会の要素
1)地域住民と行政が協力しながら公園を良くする
2)愛護会は、公園を定期的に清掃したり、その他の活動をする
3)行政は、報奨金やその他のサポートをする

公園愛護会ってどんな活動をするの?

大きくは「公園を愛護すること」ですが、具体的かつ基本的な活動は、定期的な清掃です。多いのは月1回以上。月2回以上と厳しめに定めている自治体もあれば、雪の多い地域は11月から3月は活動なしというところも。

次に除草。これはかなり重要ミッション。夏の雑草はとにかく凄いから、行政だけでは本当に目が行き届かないし、手も足りないところでしょう。頻度や回数の定めは様々。4-10月で4回以上、夏期3回以上、適宜、などなど。

そのほか、遊具の点検トイレ掃除側溝掃除花壇の手入れ樹木管理地域と連携した行事公園の活性化など、必須項目もあれば推奨項目もあります。また、自治体や老人会・子供会のように登録できる団体の条件を定めている自治体もあれば、自由な個人の集まりでOKという自治体もあるし、5人以上というように最低人数を定めているケースもあります。

ちなみに鎌倉市の場合、公園愛護会の活動内容は主にこの5つです。
 1)公園を大切に思う気持ちの共有
 2)月1回以上の清掃
 3)4-10月の除草、適宜
 4)遊具やベンチの破損連絡
 5)花を植えるなど、発想と工夫で公園を気持ちよくする
(比較的ゆるめです。そして1番にコレを持ってくるところが最高!)

行政からのサポートは?

大きくは報奨金お金以外のサポートの2つの柱があります。はい、まさにここに自治体の個性がガンガン出ちゃってます。

サポートその1) 報奨金

報奨金、交付金、愛護会費、補助金、呼び方も自治体によってさまざま(意味の違いがあるのでしょうか)。年度末や半期に一度、活動報告を提出することによって、後日行政からお金が振り込まれる感じ。

報奨金は、公園の面積に応じて年額で定められているパターンが多いです。その中でも決め方は様々。例えばこんなタイプがあったりします。
 Aタイプ:一定のレンジで金額を定めている
 Bタイプ:基本報酬+面積加算
 Cタイプ:基本報酬+内容加算

例えば北九州市(福岡県)はAタイプで、500平米以下は一律25,000円、501-1,000平米なら33,000円というように、似たような公園なら同じ金額。金額はそれぞれ違いますが、横浜市や大阪市、鎌倉市もこのタイプ。

また、郡山市(福島県)はBタイプで、基本10,000円+平米あたり5円という計算方法。青森市や茅ヶ崎市、大分市なんかはこちらです。

高松市(香川県)はB+Cタイプで、基本30,000円+平米あたり13円+便所1棟80,000円(+便器の数で加算あり)+芝生管理(芝のタイプで違いあり)など、かなりハイブリッドな自治体もあります。

また、名古屋市もCタイプで、活動が活発な団体は特定愛護会に格上げされて、報奨金単価も上がるというシステムがあったりします。

この報奨金、ぱっと見高い安いあるのですが、自治体の財政状況ももちろんですが、お金以外のサポートとも深く関係している感じであります。

サポートその2) お金以外のサポート

お金以外のサポートとしては、主に物品支援と、技術支援があります。

物品支援は、ごみ袋の支給や、清掃道具の提供(定期/設立時のみ)が多いですが、腕章・看板類の支給、土や肥料・花苗の支給、遊具塗装用ペンキと刷毛の支給、草刈機の貸し出しのほか、用具入れの設置を支援してくれる自治体もあります。

日進市(愛知県)のように、物品そのものではなく、物品購入費を報奨金とは別枠で補助する自治体もあります。

物品支援がなく、ゴミ袋や草刈機も報奨金で購入するというスタンスの自治体もあって、そういう自治体は報奨金の単価が高めの場合が多い印象です。

技術支援は、樹木管理や花壇の手入れの研修会や、草刈機などの機械の使い方講習会が多いですね。愛護会活動マニュアルでハウツーやコツを細かく紹介しているところもあれば、愛護会通信でニュースや知恵を定期的に共有したり、地域のイベント企画の相談を受けたりという自治体もあります。

横浜市は、各土木事務所に公園愛護会の専門職員を配置して、公園愛護会のサポートに力を入れているようです。

公園愛護会という制度以外の方法も

地域の住民による公園の日常的な維持管理については、公園愛護会という制度以外の方法でも行われています。公園アドプト・プログラム(公園里親制度)と呼ばれるものであったり、公共施設市民サポーター制度だったり、個人ボランティアだったり、様々なものがあったりしますね。


ランダムに調べてみての感想としては、報奨金の額が多いか、物品・技術の具体的なサポートが充実しているか、自治体の取り巻く状況で様々な感じだな〜という印象です。公園愛護会の活動の活性度とどのくらい連動しているのかも気になるところです。

もう少し面で調べていくような方法が考えていけたら面白いかもな〜。

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