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主夫って離婚したらどうするの?【主夫マガ#3】

先日、こんな質問をもらった。

ご質問、ありがとうございます。

主夫にとっては目を背けたくなるテーマである。だからこそ、直視すべきテーマともいえる。

この問題について悲観的に考えると「今」を楽しめなくなるので、私はあえて楽観的に考えている。今回は「もし、空を飛べたら何をする?」みたいな空想系の質問と同じノリで、しかし現実的に考える。


質問文にある「離婚」と「何らかの理由でパートナーが働けなくなった時」では事情が少し異なる。離婚後のことは個人目線で考えるし、妻が働けなくなった時のことは夫婦目線で考えるからだ。

そこで、この質問を「妻に経済的に依存できない状況になったら、どうやって生活資金を確保するのか」と、個人目線の質問に置き換えさせてもらう。つまり、以降の回答は私個人の見解であり、妻の見解とは限らない。

「妻に経済的に依存できない状況」は離婚に限らず、妻の離職や死別などのパターンも想定される。より現実的なパターンから考えていく(2882字)。

主夫マガジン(略して主夫マガ)は、主夫にまつわる疑問・質問に対して、私なりの答えを集めたマガジン。テーマや目的などの詳細は主夫マガジン#0に書いた。


妻が働けなくなったら?

前提:焦る必要はない

まず、失業保険や傷病手当金などの社会保険が適用される。

ここでは失業保険を例に考える。大まかに言えば、直近の月給の半額以上の手当を、最低でも90日間は受け取れる。退職して2ヶ月ほどは給付が制限される場合もあるが、貯蓄もあるので直ちに困窮することはない。

社会保険と貯蓄を考慮すると、数年間は夫婦ともに無職でも今の暮らしを維持できる。とはいえ、死ぬまで働かずに暮らせるわけではない。貯蓄が尽きたらどうするのかを考えてみる。

答え①:私がパートタイマーになる

正直働きたくはないのだが、選択肢の一つではある。私が働くとしても、会社員にはなりたくない(そもそも、なれない可能性が高い)ので、バイトをすると仮定する。

では、バイトで2人分の生活費を稼げるのか。私たちの月間生活費は「家賃+5万円」である。今は妻の仕事の事情から、都心に近く、テレワーク用の部屋がある物件に住んでいる。仮に妻が無職になれば、立地条件と広さにこだわらず、より家賃の安い物件に住める。

具体的には、家賃の安い札幌市に住みたい(居住経験あり)。札幌なら家賃5万円で二人暮らし用の物件を借りられる。つまり、月の手取りが10万円あれば生活できるのだ。

北海道の最低時給は1010円なので、月に100時間ほど働けばいい計算だ。すなわち、8時間労働なら月に13日間、6時間労働なら月に17日間働けばいい。これは十分に現実的な数字である。

答え②:夫婦でゆるく働く

夫婦で短時間労働をする選択肢もある。同じく札幌に住むとすれば、一人当たり月に50時間(週に12.5時間)働く計算だ。

仮に妻が一時的に働けなくなったとしても、生涯にわたって働かないとは思えない。妻は家の外に出て、他者と交流しながら働くことが好きだからだ。

妻にとって、一生働かずに暮らすことは苦痛だそう。この感覚は私には理解しがたいが、妻にとっては大切なことのようだ。もし、一時的に妻が働けなくなっても、いずれは働きに出ると予想される。夫婦二人で働くとなれば、たとえバイトであれ、かなり余裕が生まれる。

答え③:生活保護

仮に申請が通れば、嬉々として生活保護を受給する。私は労働意欲がないし「生活保護には頼らない!」みたいなプライドも一切ない。

私たちは、生活保護の受給対象世帯と同程度の生活費で暮らしている(具体的な生活費は以下の記事に書いてある)。しかも、特別に我慢をしているわけではなく、むしろ今の生活に充足感を抱いている。

仮に「明日から生活保護で暮らせ」と言われても、今の生活を維持できる自信があるので、あまり心配していない。もちろん、不正受給を企んではいないが、申請方法や水際作戦への対抗手段は既に調べてある。

離婚したら?

前提:これも焦る必要はない

まず、おさえておくべきは「財産分与の権利」だ。財産分与の権利は離婚時に発生し、婚姻期間中に築いた財産を分与するよう請求できる。婚姻期間中に築いた財産であれば、名義によらず対象となる。最も重要なのは、賃労働をしていない主夫でも夫婦の財産の半分を受け取れることだ。

家庭裁判所の審判では,夫婦が働きをしているケースと,夫婦の一方が専業主夫/婦であるケースのいずれでも,夫婦の財産を2分の1ずつに分けるように命じられることが多いようです。

法務省『財産分与』

主夫(主婦)がらみの財産分与は、一部の人から反感を買っている制度ではあるが、この権利を行使するのは全くの合法である。また「家事などの無賃労働も財産の形成に寄与していること」を法的に裏付けるという意味でも、主夫にとって心強い。

私には一定の貯蓄があるし、貯蓄がなくても財産分与の権利を行使すれば、直ちに困窮することはない。詳細は省くが、扶養的財産分与もある。

答え①:フリーターになる

私は一人暮らしなら「家賃+3万円」で暮らせる。妻が離職した場合と同じく、札幌市に住んでアルバイトで生計を立てる。

仮に家賃4万円とすれば、月の生活費は7万円である。最低時給で働くとしても、月に70時間労働で足りる。

答え②:隠居する

私には労働意欲がない。貯蓄を切り崩せば、4〜5年は無職でも生きていける。最近話題の「家賃無料シェアハウス」に住むのも面白そうだ。家賃が無料ならば、今の貯蓄で10年弱は暮らせる。

答え③:生活保護

妻が離職した場合と同様に、申請が通れば受給したい。

私は新卒1年目で退職し、以降は無職(主夫)である。いわゆる社会経験がゼロに等しく、労働力商品としては不良品扱いだ。働き口が見つからない可能性も高いので、生活保護で暮らす未来にも現実味がある。

死別したら?

前提:とっても悲しい

言うまでもなく、悲しみに暮れる。経済的な問題以前に、人生がつらくなる。とりあえず生きるのを頑張ろうと思う。死別の可能性を考えると、今この瞬間をありがたく感じる。

答え:とりあえず生きる

貯蓄や遺産を考慮すれば、直ちには困窮しない。立ち直れたら、バイトをするなり、隠居するなりして頑張る。病んでしまったら、生活保護をとって生き続ける。

まとめ

生活コストを抑えれば、万が一収入が途絶えた場合でも、精神的な余裕を持てるだろう。低コストで満足できる才能は、金を稼ぐための人的資本と同じくらい、経済的な価値があるように思う。

また、ここまで読まれた方はわかるだろうが、私は「子どもを持つ可能性」を一切考慮していない。子どもがいる人、子どもを持ちたい人は、もう少し慎重に考える必要がありそうだ。

大切なのは、現在の収入が途絶えた時のことを夫婦で話し合っておくことと、利用できそうな制度について理解を深めておくことだろう。私も改めて妻と話し合い、制度について勉強しようと思った。


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