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「普通」に踊らされる人

日経新聞に不登校に関する記事があった。

僭越ながら要約すると、

・2022年度の不登校の小中学生は過去最多の30万人(各クラスに4〜5人)
・不登校生の親は「我が子が普通じゃないこと」に悩んでいる

不登校生がクラスに4〜5人もいるのは驚きだ。しかし、それ以上に驚いたのは「不登校生の親の悩み」だ


子どもに「普通」を求める図々しい親

記事の主旨は「普通とは何か」を考える点にあるが、今回は「普通」を探ることはしない(ちなみに私のイメージとしては、普通とは多数派の思想や行動、前例を踏襲した思想や行動)。

「普通」がなんであれ、我が子に「普通」を求めるのは極めて図々しい。子は「普通に生きます」という契約のもとに誕生したのではない。むしろ、親に勝手に生み出された存在だ。

  • 普通に生きて欲しい

  • 普通に生きてくれないと悲しい

  • 普通じゃない生き方は是正せねば

  • 子が普通じゃない原因は自分(親)にあるのだろうか

「普通になって欲しいという理想」と「普通じゃない現実」のギャップに悩む親。ハッキリ言って、こんな親は思い上がり過ぎ。まず、いち親の理想なんてクダラナイ。そんなクダラナイ理想を、子に実現させようとする魂胆が愚かしい。記事の中で、不登校生の母親が次のように語っていた。

高校も行かないと言っています。どうしてうちの子がと、ずっと悩んでいます。普通の子がうらましい

 2023年12月5日 日本経済新聞 朝刊29ページ

この母親を非難する意図はない。しかし、私が子だったら「考えの浅さ」に愕然とする。なぜ、そんなにも「普通」に憧れるのか。「普通」になりたがる人に限って「普通」について考えを深めていない。普通が何かも考えず、盲目的に普通を追求する人。まさに「為す術なし」である。

「普通」が大好きな怠け者

残念ながら、私の身近にも「為す術なし」状態の人がいる。たとえば、母は「男は働くべき」と信じて疑わない。私が主夫でいることを「残念」に思っているのだ。

  • なぜ、男は働くべきなのか

  • 男が働かないと、どのような問題が生ずるのか

  • 「女に養われる男」と「男に養われる女」の違い

  • 働くことと性別の関連性

  • 今の時代において性別分業に合理性はあるか

  • 「働く」は賃金労働を指しているのか

  • 「男」は"gender"か"sex"か

真剣に考えれば、かなり奥が深いテーマだ。しかし、私の親はこんな「面倒なこと」を一切考えない。普通を盲信する人は、考えることについて怠惰なのだ。怠惰な人間を相手に「普通」を探ろうとすれば、屁理屈として片付けられるだけ。本当に為す術がない。

「普通じゃないから」というだけで過度に心配する人もいる。彼らも考えることに怠惰な人間だ。いや、普通を熟考した上で「普通じゃないことのリスク」を説明できるのならば良い。しかし、彼らの多くは単に「普通じゃない事実」を見つめるだけで、その事実を相対化して考えることを怠る。ハッキリ言って、思考停止で心配されるのは不愉快極まりない。

普通じゃない側の人間として

いつの間にか、不登校の話題が主夫の話題に変わっていた。しかし、本質は変わらないだろう。私も主夫であることについて親からアレコレと言われた。そのため、つい不登校生の目線で記事を読んでしまい、不登校生の親に違和感を覚えたのだ。

私は怠け者たちの「普通好き」には辟易している。単に普通を好くだけならまだしも、他者に「普通であること」を求めたり、普通じゃない人を心配するのは愚行でしかない。

普通に考えて〜
常識的に〜
普通は〜

はぁ、本当に嫌な言葉だなぁ。



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