confetti ヘッドドレスについて
Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作・販売をしています。
今回はconfettiヘッドドレスについてのnoteです。
こんぺい糖を眺めたときのときめきを思いながらキラキラを集めて作ったリボンのヘッドドレスです。
このヘッドドレスは使いたい素材がいくつかある中でコンセプトと合わせながら出来上がったのが成り立ちです。
今回の製作でテーマとして設定したのは"大人かわいいリボンのヘッドドレス"。ブランド活動を続ける中で、同じ「ヘッドドレスをお求めのお客様」でも色んな方がいることを知りました。イベントなどでお話をしている中で「リボンのヘッドドレスをつけたいけど私には難しいかも…」という方に度々遭遇するようになりました。
ヘッドドレスはつけるけどリボンのヘッドドレスをつけるには勇気が足りない、でもリボンのヘッドドレスに憧れる。そんな小さな隙間のような場所にある憧れも埋められるヘッドドレスを作ってみようと思いました。
今作は"憧れ"と"控えめ"を意識しながら材料選びやデザインに反映させています。
カラーバリエーションはアイボリー、グレー、ブラウン。あとで詳しく書く気に入った生地の色展開の中から決めました。
金平糖にはなかなかなさそうな色ですが、心の中ではアイボリーはりんご味、グレーはラムネ味、ブラウンはぶどう味だと思いながら作っています。
ヘッドドレス本体
材料で一番初めに確定したものはヘッドドレス全体の生地でした。
うすくて上品な光沢が魅力のサテン。袖が大きく膨らんだブラウスに使われていたら着ている間ずっと袖触っているだろうなと思う手触りの良さも大好きです。
以前から私の頭の中の「いつか使いたい材料リスト」にあり、今回やっと使えて大満足でした。
カラーは少し黄味の強いアイボリー、冷たくて明るいグレー、うすくてあたたかいブラウンの三色を選びました。愛してやまないくすみカラーです。
プチエクランエトワールはアイテムのどこかに冷たい雰囲気を持たせたいと考えています。今回の生地の、特にアイボリーとブラウンは色だけで見るとあたたかみの割合が大きいです。これらに生地自体のつるっとしたどこか無機質にもみえる素材感があわさることで生地単体ですでにちょうどよい温度感の見た目になっているなと感じています。
形はPetit écrin étoile定番の全体がフリルになったタイプを選びました。薄くてやわらかいこの生地はギャザーを寄せた際の根元のビジュアルがたまらなくて(いつもですが)キュンとしながら作っています。
センターラインの飾りとして選んだのはラメの四角が斜めに連なったレースです。
実は過去に色違いをtricolore kiteシリーズで使っています。
ラメのキラキラ・ザクザクな質感が砂糖菓子のように感じてとても気に入り、また使いたいなとずっと願っていたレースです。
今回のテーマが"金平糖"だったのもあり、色味も生地との相性もとてもよかったためこちらを使用しました。
ラメはゴールド・シルバー、まわりの糸の色も数種類のカラーバリエーションがあり、どの生地とどのレースを組み合わせるかはかなり悩みつつ、楽しく決めることができました。
「砂糖菓子っぽさ」から全てシルバーのラメレースを使うことにしたため、金具類もこれに合わせてシルバー色を選択しています。
まわりの糸の色はサテン生地の色に対して馴染みのいいものをそれぞれ選んでいます。
左右のリボン
リボンは幼いイメージになりすぎないようにを考えた結果、線が細めなリボンで輪っかを2つ作り、垂れる部分が少し長めな1つを組み合わせる形にしました。
使ったのは少し厚手で光沢のしっかりしたサテンリボン。実はこちらも先ほどのラメレースと同じくtricolore kiteシリーズで使用したものと同じリボンの色違いです。
しっかりした厚みからほどよい重厚感を感じます。この生地感にグロスのようなつやつやが映えてとても気に入っているリボンです。
アイボリーとブラウンはヘッドドレスのサテン生地とほぼ同色のリボンが見つかりましたが、グレーにちょうどいい同系色がなかったたため、思い切って水色のリボンを選びました。本体の生地よりも冷たい色のリボンを合わせることで相対的に本体の色を少しあたたかく見せる狙いで選んでみました(前項で話したサテン生地の好きな部分を引き出せているといいな、うまくいってるといいなと思っています)。
リボンのたれの部分にはパールをつけました。
当初はくすんだ色の淡水パールをつける予定で計画をしていましたが、材料入手が不安定なのと重さがネックになり、樹脂パールを選択しました。
天然のパールに似せた歪な形のバロックパールはほんのり"抜け感"があり、直線だらけでかちっとした雰囲気のヘッドドレスにやわらかさを足してくれたように感じています。
ちょうど求めていた理想のサイズのもので、リボンと同色のパールが3色見つかった時は運命を感じて値段を確認する前にこれだ!と決めました。
パールの付け方はリボンを絞ったり金具を間に挟んだりといろんな手段が考えられ、どの方法を採用するかかなり悩みました。今回は端を三つ折りにし、折り目の内側からリボンと同色のコードを用いて縫い付けることで重くならずすっきり見えると思い、この方法をとりました。アイテム内に「目立つ部分」が分散されなかったのも良かったと感じています。
パールをリボンの先につけたのはプチエクランエトワールのアイテムではおそらく初めてのことでしたが、実際に現物をみたお客様達にこの部分にキュンとすると言ってくださった方が何人もいて、「やって良かったな」と心の中でガッツポーズをしました。
リボンの中央にはオーロラのような半透明のスパンコールで作ったモーチーフを飾っています。スパンコールは本体の生地やリボンに近いニュアンスカラーを選び、縫い付ける糸は虹色のグラデーションのラメ刺繍糸を使いました。
ラメの線は金平糖のとげとげした形をイメージしてアスタリスク[*]のような形になるよう意識しています。
アイテムに馴染む目立たない飾りを作りたかったことから全体に馴染み易い色のスパンコールを選び、ラメ刺繍糸の色の暗さで小さなアクセントをつけました。
スパンコールのモチーフはくるみボタンに包んでいます。今作のくるみボタンはいままでで最小の12㎜。小さくなるとやはりつつむのがいつも以上に大変でした。しかも生地が薄いため、縫い目をぎゅっと絞った際によれたり破れたりと最初は何度か失敗しながら作っていきました。
上手くできるようになった時は「また一つレベルアップ!」と嬉しくなりました。
モチーフの周りは小さめで透け感のあるチェコガラスビーズでぐるっと囲んでいます。それぞれのカラーは生地の前半で書いた金平糖の味(りんご、ラムネ、ぶどう)を想像しながら選んでいます。
アイテム全体では布からのやさしい・やわらかい印象の光の反射が多い中、このガラスビーズの無機質な「キラッ」はヘッドドレスにまるで山椒のような良い刺激を与えてくれたようでここも好きなポイントです。
アイテム名
アイテムを呼ぶ名前も控えめながらつける方の気分が上がるよう、シンプルで響きが可愛い名前を付けたいと考えました。
金平糖を英語やフランス語で調べるといくつか呼び方がありますが、本アイテムでは『confetti』の名前を採用しました。
紙吹雪もこう呼ぶようです。リボン飾りのスパンコールを糸に通していく製作動画を作った際にスパンコールの落ちる様子がまるで紙吹雪のように見えたことからもぴったりだと感じて名付けをしました。
さいごに
本アイテムでの一番こだわり部分は遠くから見た印象をできる限りシンプルにすっきりしたものに見せることです。
①使う色数がなるべく少なくなるように
②リボン飾りの横幅がヘッドドレスの幅となるべく同じくらいになるように
③リボンの1本の幅とラメレースの幅がなるべく同じくらいになるように
としました。
線の種類を減らすことで、アイテム内に沢山の憧れ要素やキラキラ・異なる素材感のものを好きなように詰め込んでもゴージャスになりすぎないようにしています。
まだまだ端くれはありますが、おしゃれに関わる活動を初めてもうすぐ4年になります。沢山の方のファッションやファッションへの思いに触れ、私自身のおしゃれ価値観も以前と少しずつ異なってきたなと感じます。
「今日は今日しかないから着たい服を着よう」これができたらいかに幸せだろう。環境や気持ちなど様々な理由から着たい服・したいおしゃれを楽しむことに難しさを感じる方もいて、その長さも幅も様々なのだとわかりました。
他人事のように言ってるけど私も高校生の頃はヘッドドレスに憧れて鏡の前で当てては諦めるを繰り返していたものです(今はその心に残った後悔をこの活動で発散させています)。
どこかにいる誰かの、憧れへの階段をゆるやかにすること・勇気のハードルを低くすることが商いを通じてできるようになったらいいな。まず得意になったヘッドドレス作りでこれがもっともっと上手くできるようになりたいな。そんな気持ちで今回のアイテムを作りました。
プチエクランエトワールのコンセプトや私自身の活動理念とも向き合い、より細かいことを考えられるようになった感覚も反映させることができ、気持ちの面でも大満足な製作となりました。また一つ宝物のようなアイテムになっています。
今回もお読みいただきありがとうございました。