Fallen fin ヘッドドレスについて
Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。
今回はFallen finヘッドドレスについての記事です。
小さなお花たちの刺繍、あたたかみのある色味と軽やかな素材感のギャップが魅力の幅広ヘッドドレスです。
このヘッドドレスは好きな素材・やりたいことを集めるようにしてデザインが決まっていきました。
きっかけは一目ぼれした材料、ヘッドドレス全体をぐるっと囲んでいるお花のテープレースです。買い出しに行くたび何度も何度も繰り返し眺めて「どうやって使おう」と悩んでいました。
また、チュールのフリルもずっと使いたい材料だったこと、サルビアの刺繍をしたかったのと、使いたい色のチェコビーズもあってそれらを盛り込んで作っています。
カラーバリエーションは”生成り”、”ブラウン”、”黒”の三色。それぞれオレンジ、紫、赤と合わせています。
秋を感じる雰囲気の作品ですがとても気に入っているため、しばらくいろんなイベントに持っていってしまう気がしています。
ヘッドドレス本体について
いつもより少し幅の広いヘッドドレスです。
プチエクランエトワールでは細めのものや全体がフリルになったもの、長方形型のものを作ることが多いのですが、今回久しぶりに長い楕円のデザインで作りました。一目ぼれのお花のテープレースをぐるりと縫い付ける想像をし、ときめいたことからこうなりました。
お花のテープの色がオレンジ、紫、赤。これらが決まっていたためカラーバリエーションは以下のように決めました。
オレンジ:それぞれがはっきり見えて明るい印象の生成り×オレンジ
紫:お互いが馴染みあってあたたかくやさしい雰囲気になるブラウン×紫
赤:赤がしっかり目立ち、ロリィタでは定番の組み合わせの黒×赤
特にオレンジのテープは初めて見た時からずっと頭の中にいたので、(後々に語っているリボンやガラスビーズの配色も含め)なにより一番最初に配色が決まりました。
ベースはハーフリネンを選択。”ブラウン”は”生成り”用の生地をしっかり濃い目の紅茶染めにして使っています。
そしてそれぞれ同色のレース生地を重ねました。繊細で大人っぽいテイストの少し大きめなお花模様が気に入って選んでいます。
”ブラウン”に使用したレースの、キャメルに近い色がとっても素敵で、これでなにかお洋服を作ったら何度も着たくなるだろうなと思いながら裁断をしています。
さらにそれぞれ同色のチュールのフリルを周りにつけています。このチュールのおかげでアイテムが軽やかな印象になりました。
お花のテープレースは土台のレースとフリルのチュールの境目に手縫いでこまかく縫い付けています。やっと出番だ!とわくわくしながら縫っていきました。
テープの端は腕組のような形で互い違いになるようにしまいこんでおり、ここを綺麗に縫い付けようと頑張ることが結構好きです。
幅広なヘッドドレスですが、今回はリボンで結ぶタイプよりもクリップタイプが可愛いだろうと考え、いつもより幅の広いクリップを取りつけています。
飾りのリボンについて
左右の飾りにはお花の刺繍モチーフのついたリボン飾りを作りました。
刺繍はそれぞれキンモクセイ、ラベンダー、サルビア。図案からオリジナルで製作しました。
以前は絵を描くことに苦手意識がありましたが、この活動ももうすぐ3年、お花の図案を書くことがどんどん得意になっている気がします。やりたかったサルビアは殆ど一発でうまく書けました。
レシピとして残した図案は葉っぱのみにしています。葉っぱの部分は刺繍糸で、花びらはバランスを見ながらフリーハンドで刺繍をしています。そのため個体差が比較的生じやすいですが、その個性が自然のお花のようで魅力に感じます。
ヘッドドレス本体につけたお花のテープレースはよく見るとリボン刺繍用のリボンで作られています。アイテム内に統一感がでると考え花びらはリボン刺繍にしました。リボン刺繍では印影がつくため、シンプルに単色のみで刺繍しても立体感がでて綺麗だなと思います。
プチエクランエトワールはどこかに冷たさを作ることを意識してものづくりをすることが多いです。あたたかい色味やナチュラルな素材が中心の今作でも冷たい要素をスパイスのように加えたいと考え、刺繍の周りをチェコガラスのビーズでぐるりと囲むようにしました。 (プチエクランエトワールでよく使うサイズの少しカクカクしたチェコビーズです)
大きめの二重リボンの形を作るのに使用したのは綿サテンです。ガラスビーズと接するため浮かないように光沢感が欲しい、でも他の素材たちのやさしい空気感とも馴染むものがいい、そんなわがままを叶えてくれました。
滑らかで少し厚みがあるため、この形のリボンにしても形状がしっかり保たれるのが好きなポイントです。
ビーズとリボンの色もカラーバリエーションの3色分それぞれ変えて作っており、色選びは頭を悩ませながらも楽しく行いました。
”生成り”は「明るさ」を重視し、薄いくすみグリーンのリボンを選びました。グリーンのリボンはオレンジと生成りの華やかな雰囲気をほんのり落ち着かせる効果があったと思います。ガラスビーズはアクセントとして濃いカーキ色の(1粒の中で濃淡のグラデーションのある)ビーズを選んでいます。表面の輝きが強く、光の反射でところどころ白っぽく見える面が生じるためカーキの主張が強くなりすぎないところが好きなポイントです。
”ブラウン”は紫と合わせてやさしい雰囲気、しかしこのままでは少しボヤっとした印象だったため、ダークブラウンのリボンでしっかりとアクセントをつけました。ガラスビーズには特殊加工でオーロラのように光る黄緑色のものを選んで遊びを加えてみました。全体的にあたたかくナチュラルな印象の中でのこのビーズの無機質な輝きが、まるで肌に金属やガラスのアクセサリーを着けた時のようなキラッと感を思い出させてくれます。
”黒”はお花のテープレースやリボン刺繍で使われている赤が少し薄い赤色で不思議と青みを感じたりします。そのためリボンもビーズも青みのある色ものを使い、ゴシック系定番の黒×赤アイテムをぐっとクラシカルな印象に寄せることにしました。リボンは青みの強いネイビーを、ガラスビーズはエメラルド色のグラデーションビーズを選んでいます。アイテム全体の雰囲気が少し大人っぽくて辛めなのですが、ビーズの強い輝きで丸の形がはっきり見えるため、そこから可愛らしさを感じるポイントです。
(自分用をこの色にして先日イベントでつけていましたが、何度も鏡を見たくなるくらい気に入っています)
それぞれのリボンはブローチピンでつけ外しが可能にしました。大きさや色味などからコートに飾るのも可愛いだろうなと考えています。
アイテム名について
明確なコンセプトやテーマがないまま作ったヘッドドレスのためアイテムに名前をつける際にはとても悩みました。
ヘッドドレスが出来上がりに近づいたとき、チュールのひらひらが以前飼っていたベタというお魚のヒレに似て見えたました。落ち葉を表す"Fallen leaf"から葉っぱをヒレに変え"Fallen fin"という名前をつけました。
もともとが使いたい材料ややりたいことを詰め込んだアイテムの上、以前のペットのことを思い出したこともあってより愛着が湧いてしまいました。
ベタは今もまた飼いたいとときどき思うのですが、主人がとても心配性な性格なので今後は生き物を飼うことがなかなか難しそうです。(来世に期待!)
実は最近文章書くスランプに陥ってしまったのでちゃんと書けているかあまり自信がないのですが、今回も読んでくださってありがとうございます。
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