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今、今この瞬間に

歌いだしたくなる
人ごみの中
夜のけだるげなにおいのする人たちの群れ
改札に向かう足取りの中

疲れた目を足元に向けていたお姉さんからは
一転、さわやかで甘い香りがした

この香りをまとった、家を出る前のあなたは、夜のあなたがそんな目をすることを予想していましたか

頭の中に流れてくるメロディを
口から出したくて、今この瞬間に
理性みたいなリミットを外してしまえたらいいのにと思っている

いや、リミットを外すことはかなり容易で、私はいつでもそれができる
できるけれどやっていない

できるのに?
やらないのにしないのは、できないのと同義なのではないのか

こんなこと、実際は考えちゃいない
考える前に、歌いだしてしまった

さよならはあなたから言った
それなのに頬を濡らしてしまうの
(「シャルル」バルーン)

音がジェットコースターのように行き来するメロディが好き
となりのお姉さんにはきっと聞こえただろう

こうやって、「ちょっと変な人」に片足を突っ込む。
もうずいぶん前から突っ込んでいる。

後ろの西洋人のおじさんは、かわいらしい西洋人の男の子を肩車して、西洋の歌を歌っている
いいメロディだ
ちっとも思い出せないけれど
あなたが口ずさんでいたメロディはとても素敵だった

聞いてみたらよかった
あなたの歌う、その歌はなんて歌?

#エッセイ #詩 #歌 #変な人

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ぺちこ
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