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お気に入りたち

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ちょっと前の私がかいた、今の私がいいなと思える、noteたちです。もし読んでくださったら、とっても嬉しい!
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#平成最後の夏

彼の、夏の

夏は、ほんのすぐそこまで来ていて、彼は少し雨の匂いを嗅ぐ。
綺麗な水しぶきをあげながらおばあさんが道路に打ち水をしているのを眺めていたら、段差を越えてしまって、がくりと自転車が大きく揺れた。

片耳にだけつけているイヤホンからは、歌なのかノイズなのかわからないような重低音重視のハードロックが流れている。
首筋には汗の玉がいくつも浮かんでいて、シャツの襟に触れた瞬間にシャツの染みへと変わっていく。彼

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夕暮れの羽根

夕暮れの羽根

毎夏毎夏、私は、誰に言われることもなく、蝉が鳴き始めていることに気づいていた。今年はあの子の言った「蝉、鳴き始めたね」という何気ない言葉に、始めて蝉が鳴いているのに気づいた。

私は私を取り巻いている世界について、鈍くなっているかもしれないし、これは年齢を重ねたことの正しい反応かもしれない。よくない変化なのかもしれない。
別段、何も示唆していないのかも。
蝉が鳴いているなんて、夏が本格的に始まった

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みんな夏フェスになっちゃえ

みんな夏フェスになっちゃえ

先日野外フェスに行ってきた。所謂夏フェス。
私は音楽の野外フェスが大好きで、これまで6回程参加している。

今回行ったものは、4年連続で参加しているフェスで、とても好きなフェスだ。勢いのある若手バンドから、会場を沸かせるのはお手の物、なお兄さんバンドまで揃っている。

夏フェスと言われても、あまり想像がつかないなぁという方に向けて、私の偏った経験から、夏フェスの様子を少しだけお伝えしたい。

まず

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