短い午睡を前に
「この人と出会っていない人生もあったかも知れない」
『マチネの終わりに』(平野啓一郎著)はそんなことを僕にも想像させた。
ある出会いによって、未来だけでなく過去までもが変わってしまう、ということは人生でどれだけの数起こるのだろう。
人生の中でただ一度起こるだけでも、幸運なのではないかとすら思う。
この物語のせいなのか、それともあなたのせいなのか。そうと意識せずとも、寝てしまえば忘れ去られていくようなその冬の一日の中に、空白を見つけるとすぐに、「あなたと会っていなかったら」そんなことを考えてしまう日々です。
それは、あまりに決定的な出来事でした。
ある晴れた冬の日の朝に。