『名牝系』 華麗なる一族 〜ハルーワスウィート(Halwa Sweet)編〜 活躍馬まとめ
競走馬の世界には牝系という概念があります。
牝系とは、家族の考え方を競走馬の世界に落とし込んだもので、『母』や『母の母』、『母の母の母』というように母方だけを辿っていく概念になります。
そもそも何故この考え方をするのというと、
サラブレッドには
『thorough』[完璧な、徹底的な]『bred』[品種、育ち]
という意味があり、より優秀なものを生産していくというのが目的であるため、1年に1頭しか産めない牝馬と違い、牡馬は種付けすれば父親になれるので、優秀な馬しか父親になれないという理由があります。
優秀な馬しか父親になれないという事は、父親で大きな差は生まれにくく、母親で差が生まれることになります。
それは何代続けても同じ事が言えるので、結果的にこの牝馬は、、からこの牝系は、、という考え方になっていきます。
結果的に牝系ごとに評価される事となり、優秀だとかそうでないとかという話になります。
セリなどではその評価の差が価格に反映され、大きな差が出ます。
たとえ母親が競走馬として優秀ではなくても、牝系が優秀だと高値で取引されます。
そういった馬から強い馬が現れるのはサラブレッドの世界では日常茶飯事なので、バイヤーはあまり気にしないですし、むしろ活躍していない事から少し安くなるので多くのバイヤーが狙う馬にもなります。
牝系について長々と書いてきましたが、この記事では、大魔神佐々木主浩氏の持ち馬として有名なハルーワスウィート牝系についてまとめています。
ハルーワスウィートについて
ハルーワスウィート
父 Machivellian 母 ハルーワソング 母父 Nureyev 生年月日 2001年03月12日
通算成績:22戦5勝(5-2-1-14)
代表産駒:シュヴァルグラン、ヴィルシーナ、ヴィブロス
名牝グロリアスソングから続く、名牝系に属している事やそこから付けられている種牡馬が母方に入ってとても優秀な事から、成功は必然と言える血統背景の持ち主である。
尻尾がない競走馬として知られており、同馬の産駒を所有する事になる佐々木主浩氏もその特徴からこの馬のファンであった。
現役時は5勝とそこそこの活躍馬であったが、繁殖として大成功を収める。
産駒がG1を3頭で5勝したというのも十分凄いのだが、2着10回と惜しいレースもかなり多く、先着馬にはジェンティルドンナやアーモンドアイ、キタサンブラックなど歴史的名馬が並び、相手が悪かったと言わざるを得ない結果でもあった。
牝系の活躍馬
ヴィルシーナ
父 ディープインパクト 母 ハルーワスウィート 母父 Machivellian 生年月日 2009年03月05日
主な実績:ヴィクトリアマイル(G1)1着、デイリー杯クイーンC(G3)1着、桜花賞(G1)2着、優駿牝馬(G1)2着
三冠レースは全てジェンティルドンナの2着で、ジェンティルドンナさえ居なければという実力の持ち主だった。
だが4歳以降は成績が不安例になり、ヴィクトリアマイルを連覇したものの、2度目はディフェンディングチャンピオンでありながら11番人気という低評価だった。
血統譲りの繁殖成績で大物が出るのも時間の問題だろう。
ブラヴァス
父 キングカメハメハ 母 ヴィルシーナ 母父 ディープインパクト 生年月日 2016年01月22日
主な実績:新潟記念(G3)1着、七夕賞(G3)2着、チャレンジC(G3)2着
シュヴァルグラン
父 ハーツクライ 母 ハルーワスウィート 母父 Machivellian 生年月日 2012年03月14日
主な実績:ジャパンC(G1)1着、阪神大賞典(G2)1着、天皇賞(春)(G1)2着、ドバイシーマクラシック(G1)2着
G1は1勝のみながら勝ったのはキタサンブラックやレイデオロを相手にしたジャパンCであり、2、3着も計7回と長きにわたってG1戦線で活躍した名馬である。
ハーツクライ産駒らしく成長が遅めで中長距離で活躍した。
スタッドインした本馬は、血統背景からG1 1勝の実績以上の数の牝馬を集めており、活躍が期待されている。
ヴィブロス
父 ディープインパクト 母 ハルーワスウィート 母父 Machivellian 生年月日 2013年04月09日
主な実績:秋華賞(G1)1着、ドバイターフ(G1)1着、香港マイル(G1)2着、ドバイターフ(G1)2着
日本でのG1実績は、秋華賞の1勝でそれ以外に特筆すべき成績はないのだが、海外適正が非常に高くドバイターフには3年連続参戦し、1着、2着、2着という素晴らしい結果を残している。
ヴィブロスとは全姉妹だが、本馬は春のクラシックには間に合わず秋に追いついた事から、比較的晩成の感があり、ハーツクライ産駒である半兄シュヴァルグランに似た成長過程といえる。
まとめ
いかがだったでしょうか。
まだ新しい牝系なので活躍馬の絶対数自体は少ないですが、質は非常に高くそれを裏付ける血統の持ち主なので、これからも活躍馬は出るでしょう。
ハルーワスウィートの血を引く牝馬は現在7頭ですが、孫世代からも活躍馬が出ており牝系の活力は健在なので今後も大注目の牝系です。